黒猫 とのべい の冒険

身近な出来事や感じたことを登載してみました。

両手の表現者

2017年09月16日 22時01分28秒 | ファンタジー

 このごろ、奇妙な踊りを披露する猫たちの映像がよく投稿される。表情こそ地味だが、さすが猫のシュールなまでの身の軽やかさには目を見張るものがある。さて、彼らは何のために踊っているのだろうか? そんなことを聞いても答えてくれるはずがない。私の見解では、猫は強制を嫌う生き物なので、本人が踊りたくて踊っているのだろうと思う。 
 私の性格はそんな猫たちとどこか似通っている、と言う人もいる。
 学校の先生に怒られた子猫が踊る「猫じゃじゃ」は、私も意識的に照れ隠しのため踊ることがある。それ以外、踊ることなんてありえないと思っていたのだが、そうではないらしいことが判明した。
 踊りとは言えないが、私は、普段から黙って立っていたり座っていたりし続けられない。本人はまったく無意識なのだが、他の人によると、体のどこかをひっきりなしに動かしているそうだ。年を経るにつれ、いっそうひどくなるという。
 さて、私がしゃべり始めるとどうなるか。言葉の表現能力に不安があるからだろう、口を開くと同時に宙を舞う両手が、貧困な語彙の何倍ものパフォーマンスを披露するらしい。残念なことに、私はその振付けをまったく覚えていない。
 先日、人前で若干の見解を20分ほど発表する機会があった。意識して両手をしっかり机に固定し動かないようにした。すると、確かにいつもより口が回るような気がした。回りすぎたのか、予定の時間が5分ほど余った。その5分間に思わぬ落とし穴が待っていた。受けをねらってしゃべったことが、ある人の顰蹙を買ってしまったのだ。
 ちなみに、漱石の猫は酔っぱらって踊ったために残念な事態を招いた。気をつけよう、猫と人。(2017.9.16)

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