白川静「字統」によれば、令とは、礼冠をつけた巫祝(シャーマン)がひざまずいて、神意の命ずるところを待つ姿をかたどった文字。西周後期に至って、祝詞(のりと)を収める口型の器を加えて、命という字が成立。つまり、令と命はもともと同一の字であった。
漢字は、3千年以上前の中国大陸に生きた人々の習俗をとどめる文字であり、古臭いのは当たり前なのだが、私は令字を目の当たりにした瞬間、文字の意味が現代から大きくかけ離れているのでは、と思った。
また、日本で作られた国字でない限り、出典が中国の書物にあるのは至極当然なのに、万葉集のどこどこの文章にあると政府関係者の強弁する姿に何か違和感が残った。
というのが令字を見て、浮かんだ感想である。