最近、中学校高校の同級生巡りにハマっている。この行いは、多くの年寄りにとって、寿命が尽きる前にやっておきたいことのひとつかもしれない。
彼らの家を探し出して、チャイムを鳴らすときの息切れというか、緊張感というのはけっこうなものだ。でも、ひょこっと現れた懐かしい顔を見た瞬間の感激は、逡巡する心の迷いを吹き飛ばしてしまう。この感触を一度二度味わうともう止められない。やみつきになる。
級友の数名はすでに鬼籍に入ってしまった。彼らに対していくつかの後ろめたさはあるのだが、生きている者同士が顔を合わせることで、それらを解きほぐすことができるのではと思う。もう相手を責めようとも殴ろうとも思わなくなるものなのだ。
自分を含め、ほんとうに辛抱強く生きてきた。そういった思いに満たされて家にたどり着くと、同級生たちとのやりとりが耳の中にまるでこだまのようにざわめく。(2021.10.3)