新・徒然煙草の咄嗟日記

つれづれなるまゝに日くらしPCにむかひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく紫煙に託せばあやしうこそものぐるほしけれ

「トーハク」では軽薄だけど、やはり東博は凄い (その3)

2011-01-13 00:02:58 | 美術館・博物館・アート

『トーハク』では軽薄だけど、やはり東博は凄い (その2)」のつづき、東京国立博物館(東博)リニューアルした本館1階「ジャンル別展示」のご紹介です。


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何度行っても新鮮な体験ができる東博の常設展、いや、総合文化展ですが、今回は信じられないほど初めて観る作品に出会うことができました。
私のイチオシは、2月20日まで14室で開催されている特集陳列「香りをたのしむ-香道具-」


まずは、幼稚園・保育所や小学校でストーブの周りに柵を置いている様子を連想してしまったこちらの作品です。


110113_1_2 真ん中に置かれた香炉が「八橋蒔絵阿古陀香炉」で、それを取り囲んでいるのが「梅鉢紋蒔絵伏籠」。


伏籠(ふせご)」というのは、説明書きによりますと、


伏籠は、衣服に香をたきしめる際に用いる道具。上に衣服を被せてその下で香をたくと、内側に香気が充満し、効率よく全体に香をたきしめることができる。このように大小17本の棒を組み合わせた折りたたみ式のほか、5面の格子を組み立てる立方体の形式がある。


だそうです。上にリンクを貼った通販サイトによれば、かなり、かなり高価なもののようです。


この作品を観て、映画「最後の忠臣蔵」(感想はこちら)で、嫁入り直前の可音から着物をプレゼントされた孫左右衛門が、焚きしめられた香りを嗅ぐシーンを思い出しました…


さて、世の中には香道」「香遊びというみやびな遊びが存在していることは知っていた私ですが、そのためのセットを観たのは初めてでした。


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扇散蒔絵十種香箱(おうぎちらしまきえじっしゅこうばこ)」というものらしいこちらのセットも、説明書きを拝借しましょう。


十種香箱は、組香に使用する諸道具を一括して収める箱。香盆・聞香炉(ききごうろ)・火道具(灰や銀葉、香木などを扱うための七つ道具)・香札・札筒(ふだづつ)・折据(おりすえ)・香包・記録板・重香合(じゅうこうごう)・銀葉盤など、種々の細々とした用具を収納する便をはかり、二段重ね形式が一般的である。


これを読んでも、どれを何に使うのかさっぱり見当がつきませんな


更に、この隣りの展示が、これまた驚天動地でした

これは何だと思いますか?


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なんだか、私が幼少のみぎりに憧れていた複数のボード・ゲームがセットになったものを思い出します。

これは「四種盤(ししゅばん)」というもので、これまた説明書きを拝借しますと、


四種の組香(競馬香・矢数香・名所香・源平香)に用いる盤と矢や樹木などの立物、人形を一組にしたもの。人物や立物を盤の上に並べ、香を聞き当てた数によって、動かしたり、取り合ったりして勝ち負けを競う。もっともよく普及した組香のセットである。


ですって

いわば、聞香(もんこう)を競い合った結果をボードゲームで使うサイコロに代えるという、二重のゲームなわけですな。


さらにさらに、四種盤の隣には「十種盤のうち蹴鞠香」というプレートが付されたこんなのとか、


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十組盤のうち花軍香」というこちらとかが展示されていました。


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もう、うなるしかない、まさしく手に負えない世界です。

いやはや、まいりました… m(_ _)m


   


と、ここまでの記事、正直なところ、大部分は一昨日11日夜の段階でほとんど書き上がっていました
このブログでは、基本的に、アップする前夜に書いて、翌朝、アイスラテを飲みながら文やレイアウトやリンク状態をチェックしてアップしていまして、めったに書き溜めしません。
3連休から間もないという特殊事情がなせるワザ(?)です。


で、きのう(今時点では「今朝」って感じ)の出勤時、電車の中で日経新聞を読んでいた私、毎週水曜日のお楽しみ「200年企業 成長と持続の条件」を見て、かなり驚きました


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きのう取り上げられていたのは、線香やお香のトップメーカー、日本香堂さんでした。

㈱日本香堂という会社自体の設立は1942年ですが、創業は「天正年間」とされています。
この辺りの事情は日経から引用してしまいましょう。


平安時代の貴族の間では香木をたき、甘い、酸っぱいなどの香りから産地を当てるゲームがはやった。遊びは室町時代、香木の香りを楽しみ珍重する「香道」に発展。天正年間(1573~91年)には香りをつくる調香のプロで、宮中御用を務める「香十」という専門職が生まれた。
《中略》
線香や香のトップメーカー日本香堂(東京・中央)は、この香の匠(たくみ)の流れを受け継ぐ。香十は1950年代後半、17代目・高井十右衛門のときに断絶しかかっていた。そこで日本香堂の創業者の小仲正規氏が、香十に伝わる調香術の譲渡を受けた。


ということで、400年以上にわたる「」の伝統を引き継いでいるわけですな、日本香堂さんは。

この記事を読んだ時、一瞬、「あれ 今朝アップしたのは『香』の話だったっけ? 『遺跡』の話だったっけ?」と、混乱してしまいました。
それほど、ビックリした次第です。


それにしても、「博物館に初もうで」の見聞録がさっぱりはかどりません


【追記】日経の記事からの転記ミスと、関連する記述を修正しました。 (2011/01/13 10:05)


つづき:2011/01/14 「トーハク」では軽薄だけど、やはり東博は凄い (その4)

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