新・徒然煙草の咄嗟日記

つれづれなるまゝに日くらしPCにむかひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく紫煙に託せばあやしうこそものぐるほしけれ

「トーハク」では軽薄だけど、やはり東博は凄い (その4)

2011-01-14 06:20:11 | 美術館・博物館・アート

「トーハク」では軽薄だけど、やはり東博は凄い (その3) のつづきです。


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110114_1_2 東博本館の今回のリニューアルで12室と13室の展示構成の変更と展示ケースの入れ替えが行われたわけですが、12室の「漆工」の展示はこんな具合です。


とても良い雰囲気です。


展示されている作品も逸品ぞろいで、これでもかぁっと言わんばかりの本阿弥光悦の作品(下の画像は舞楽蒔絵硯箱。おなじみの舟橋蒔絵硯箱も展示されていましたが、そちらの写真は省略)は、やり過ぎの感があったものの、


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田付長兵衛の「蔦細道蒔絵文台硯箱」は、小物も含めてかなり好みです。


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この舟形の水滴なんぞ、いいですなぁ~


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同じくリニューアルした13室は金工刀剣陶磁の陳列室で、まず目を惹いたのはヘビでした。


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宗義(むねよし)作「自在蛇置物」という作品です。説明書きを転記します。


とぐろを巻いた姿からのばした姿まで、生きている蛇と同じようにしなやかに動く。構造は一鱗単位の円筒の大きさを一回りずつ変え、いくつも重ね、鋲で留めている。そのため、本物の蛇のように実になめらかな動きをすることができる。


この作品を観たのは初めてですし、そもそも「自在置物」というものを観たのも初めてでした。
太平の世になって仕事のなくなった甲冑師が、生計を立てるため、持っている技術を駆使して作った工芸品のようです。「自在蛇置物」は昭和に入ってからの作品ですが。

実際に自分の手で触っていじくってみたいところです。でも、この展示のしっぽ付近の様子からして、かなりしなやかに動きそうです。


刀剣コーナーからは、(こしらえ)用の「近江八景図揃金具」。


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江戸時代のお侍さんたちは、こんな細かい細工を施した金具で愛刀を飾っていたんですな。
おしゃれです。


110114_1_8 もう一点、こちらは刀の鍔(つば)、「雲龍透鐔 銘 出羽秋田住正阿弥伝七」。


に惹かれました。作者の正阿弥伝七さんは秋田市の旧鍛冶町(私が小学校低学年の時に通っていた学校の学区内)に住んでいらっしゃったのでしょうか?

また、この鍔をつけた刀を持っていたお侍さんはどんな人だったのでしょうか?


ちなみに私の家は、明治期の戸籍によれば「平民」で、こういったお宝はございません


   


一転して、本館1階の「ジャンル別展示」で、来館者を最初に迎えてくれるこちらの仏像もかなり良い


110114_1_9 醍醐寺の「聖観音菩薩立像」、9世紀の仏像です。


かなり肉付きのよい観音様です。
同じ11室に展示されている三十三間堂(蓮華王院)から出張中の「千手観音菩薩立像」は、横から見ると情けないほどガリガリ(っつうか平面的)なのと対称的です。


同じ平安時代でも、後期になると調和に寄りすぎているというか、おもしろみに欠ける気がして、私としてはイマイチなのですが、この観音様は、衣のヒダの躍動感がとてもステキだと思います。

この観音様、大きな作品ではありませんから、いただけるものなら、もらって帰りたいと思いました。
もっとも、もらって帰ったら、観音様にふさわしい厨子をあつらえなきゃならないでしょうから、結局は私の家には大きすぎるでしょうけれど…


   


本館1階から紹介する最後の作品は、下村観山の「弱法師(よろぼうし)」です。


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謡曲「弱法師」に題材を求めたこの作品、「侘び寂び」と金屏風の華やかさがものの見事に融合している気がします。
見果てぬ夢とはいえ、飾れる場所があれば、こちらもいただいて帰りたい…


このシリーズはまだまだつづきますよ


つづき:2011/01/15 「トーハク」では軽薄だけど、やはり東博は凄い (その5)

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