2004/3中旬 八ヶ岳西面・赤岳主稜
晴れ男
見上げるとそこには青空が広がっていた
またもこの好機をヒットした
なんということか!俺って晴れ男かも
と、調子に乗るとなんだか後が怖いので今日は今日もでひとまず感謝。
「全国の晴れ男、晴れ女の皆さん、ありがとう」
さらに見上げると目指す主稜も「ここまでおいで」と言っている
まあ、まあ。焦りなさんな
まずは今宵の宿を建ててから。そして秘蔵のつまみと「プシュ」っていうやつを天然冷蔵庫に入れてから
疲れた体に鞭打って、少し重い荷物ぐらい頑張ってしまうわなぁ。
アット-的に楽しいんだもの。どうしたってうれしいんだもの
取付き
主稜の取り付きはイヤというほど予習してきた
その甲斐あってかというか、これほど顕著なというか・・・。
ここはひとまず視界があることに感謝
1ピッチ目、チョックスト-ン
ぎこちなくラインを引かせていただく
普段寡黙な、いや寡黙だと思っているさかぼうが饒舌になるには、山と一献あれば充分すぎる
座を囲み、聞き、笑い、語る
こんな時間はこの上ないシアワセ
無心に登攀をしながら今宵の至高に想いを馳せる
肴
しばらくは雪面をガシガシ登る
上の展望、下の展望、ともに開けて絶好の撮影ポイントだ
ひと仕事こなせばもうすでにビ-ルの旨い頃合い
あの一口が喉を鳴らして沁みるあたりがなんともいえない
くわえて、誰も言い出しやしないけど酒の肴はきっと豪華な筈
少なくともさかぼうはそれを期待しているのですよ
幕場に帰るなり「フフフ」と不敵な笑みを浮かべながらブツを取り出せば一様に「ほほぅ」と唸る
そんな一幕を期待して後半の登攀にも気合が入るのです
綱
後半は形状を失いつつある尾根から左の尾根へと乗り移る
おおむねホ-ルドは安定しており快適なピッチである
一緒に山に登るということ
寝食共にするということ
訥々と語り合うこと
ザイルを共にするということ
それがどうなどと口にすればたちまち陳腐になってしまう
この瞬間、きっと忘れない
トップはただ寡黙にラインを引いていつの間にか岩陰に隠れる
綱はまるで生き物のように微妙な動きでたちまち「あと十」となる
綱の動きは彼の意思
不思議と彼の姿が見えてくる
肴と綱と喜びと
晴天の下、歓喜の瞬間を迎えた
さかぼうにとってそれはただの登攀では無くなっていた
巧く言えないんだけど不思議とそんな気がした
またしても新しい発見に目からウロコな思いでイッパイだ。 しかしそんな発見がまたうれしい
下山は文三郎を行く
肴と綱と喜びと
胸いっぱいに膨らませて
sak