acc-j茨城 山岳会日記

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谷川岳幽ノ沢ノコ沢大氷柱

2023年03月12日 23時15分34秒 | 山行速報(雪山・アイス)

ザワザワする日々を言い訳にして引き籠る
邪魔もののない世界は快適だ

その小さな世界はやがて襲われる
自分自身に

「諦め」で心満たされるものか!
そして薄暗い部屋で地図を手に取る

 

2023/3/6 谷川岳幽ノ沢ノコ沢大氷柱


ノコ沢大氷柱のポイントは雪の状態判断
あの氷柱に取り付くかどうか
雪崩が頻発しての撤退記録も少なくない
滝下に飛ばされたという記録もある

当日の天候に抗らうことはできなくても、準備と偵察で登攀に没頭できる確率が1%でも上がるなら取り組むべきだと思った。

5日前はあちらこちらで聞こえた雪崩の轟音も、前日の偵察では静かな幽ノ沢
雪の状態はいい
取付きまで闇夜の中でも行けるという確信も得た

当日は午前1時半にisiさんと合流
2時前にベースプラザを出発
一ノ倉出合、幽ノ沢出合まで踏み跡をトレースする

3時頃から雪が舞う
雪の勢いは増していき、実に嫌な降り方だ

前日の偵察でノコ沢に5パーティ-入ったと聞いていた
彼等の踏み跡をありがたく使わせていただきながらも、この降雪で踏み跡が消えるほど積もるなら撤退しようと思案する
昨日の好天に、今日の積雪は危険だ

幸い展望台の尾根に上がる頃には雪はあがり、積雪も5cmに満たない
ここで身支度をして尾根を詰める

次第に辺りは明るくなるが、淡い霧の中
この辺りで大氷柱を望めるはずなのだが、今はその姿を見ることができない
雪崩リスクを考慮するならむしろ「いい天気」と言っていい

尾根からノコ沢の左岸をトラバース気味に行く
基部の左岸側で登攀準備
50cmほどシュルンドが開いており、念のためロープを出してシュルンドを跨いでトラバース
氷柱下、スクリューでビレイ

氷瀑中央あたりから凹状とフェイスを繋ぐ
isiさんのリードは安定
余裕をもって登ってゆく

50mロープで2ピッチ
アイスクライミングは1.5ピッチという感じか

滝上は左岸を右上、堅炭尾根に向かう
過去の記録では落ち口から沢筋を詰めて石楠花尾根に乗る記録も多いようであったが、雪崩リスクを考慮すればこちらのほうが合理的だ
雪のつき方次第でルートは変わるだろう

雪壁を詰める
この先sakがルーファイを見誤り、非常に悪い凸岩で苦戦する
ここは大きく左から巻いて行くと容易だったようだ
この辺りのトレースが消えかかっていたこともあるが、完全なルーファイミス

時に開いたシュルンドを回り込んだりして滝上から3ピッチで堅炭尾根に乗る
この時を待っていたかのように展望が開け、あたり一面に谷川の峰々

下山はβルンゼ
懸垂支点のあるコルなので見紛うことはない
クライムダウンで降りるが、見た目以上に急で長い

あとは氷柱を仰ぎ見ながらノコ沢へ小尾根を乗り越せば、アプローチの踏み跡に合流する
往路を忠実に戻るのだが、幽ノ沢出合からベースプラザまでの下山は腐り雪の踏み抜きに辟易した

準備において不安を払拭できた会心の山行だったが、山行後感は反省点の多さに複雑な胸中であった


【エピローグ】


ザワザワする日々に、空を見上げる

情熱だけでいいのなら、誰でも空を飛べるだろう

想い届かぬこともある
現実に押し潰されるときもある
快適なことばかりではないけれど、
それでもやっぱり、リアルはオモシロい

そうして人は翼を手に入れるのだ

 

sak

 

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