2015/5/13-14 飯豊山
GWは全日仕事です。
そんな私にゴ-ルデンな日々、終了後のささやかなひととき。
ざ・ん・せ・つ・♪
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良い響きですなぁ。
残雪というのは山の好きな要素の一つ。
なんでだろ?
行きたいところは山のようにある。
【 同じ風景を見に 】
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-その昔の追憶-
「あの・・・。赤湯ですよ。起きてください。」
青森発上野行きの夜行列車内での出来事をふと思い出す。
もはやセピア色の時代。
昭和の出来事だ。
乳飲み子を抱えた婦人の向かいに、後から乗ってきた一人の酔っ払い。
彼はさっそく面前の婦人に半ば一方的に話しかけていた。
たまらず、婦人が聞く。
「どちらまで行かれるんですか?」
「俺はね、赤湯まで帰るとこなんすよ」と酔っ払い。
「それじゃ、もう少しですね」と少しホッとした表情の婦人。
「飯豊が見えるんすよ。家からね。」聞いてもいない事を話す酔っ払い。
「飯豊はいいでぇ、、、なんてねー。あはは。」
私はその時、「いいで」というのはなんなのか解らなかったし、気にも留めなかった。
その後、酔っ払いは座席に丸まって寝入ってしまう。
そして車内放送が「赤湯温泉」に到着するアナウンス。
「あの・・・。赤湯ですよ。起きてください。」
困った婦人が酔っ払いを揺り動かすが、男は寝言を言うばかり。
果たして男は乗り過ごし、婦人はどうしようもなく隣の車両に移っていった。
このエピソ-ド。
そして婦人の言葉が脳裏に残っていた。
今となっては、なんで一緒に起こしてやらなかったのかと思うばかりなのだが、若かりし日々の小さな後悔は人を育てるものなのだと自分に言い訳をしてみる。
そしてもう一つ。
山を知った、今となっては解るのだ。
「飯豊はいいでぇ、、、」
この言葉の意味を。
【この季節、この道を】
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前夜出発して途中仮眠したりしながら、6時に朝靄かすむ大日杉。車は一台もない。
残雪を踏みながらザンゲ坂。
この上からは登山道が出ており赤布を探す手間はない。
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御田で再度、雪が出てくる。
その上からは夏道と雪道を繰り返し地蔵岳直下は豊富な残雪。
ここから、飯豊の峰が眼前に現る。
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このころから風が強く、風よけに雨具を着込む。
前日、台風から変化した温帯低気圧の通過で「晴れ」は堅いが吹き返しが強いだろうというのは想定内。
ま、このくらいならという感じだった。
しばらくは雪堤を拾いながら。
それが切れたところは夏道を行く。
この雰囲気、好きなんだよね。
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御沢分れで切合小屋への道を行く。
豊富な雪の尾根をしばらくで切合小屋。
しかしながら、時に耐風姿勢をするほどに風が強い。
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今日は本山小屋までという計画だったが、飯豊の峰はネズミ色の雲の中。
無理せず今日はここで泊。明日になれば幾分風も治まるだろうと考えた。
ならばと昨夜の寝不足を一気に解消モ-ド。
昼前から寝袋の人になる。
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質素な食事をとって、さらに寝る。
暗闇の中、気になるのは風が弱まる気配がないことだ。
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明けて日の出とともに行動開始。
若干ではあるが、風も弱まったような気もする。
切合から頂を望むと流れる雲が早いものの、一ノ王子まで視界が効く。
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草履塚から先は夏道通し。
だが、しかし。
御秘所あたりから次第に猛烈な風。
時に岩陰に隠れてやり過ごす。
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【そしてその場所を】
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一ノ王子は何の変哲もない平地。
それこそ、テントが張れるくらいの平さ、そして広さ、何しろこの展望だ。
休憩するなら、、、確かにココだ。
なのだが、、、
猛烈な風に立って歩けん。
(写真じゃまったく想像のつかない世界、、、)
まさか、まさかの匍匐前進か?
という思いがよぎったが、四つん這い状態で三点確保しながら進む。
砂利や砂が飛ばされてきて、顔に当たる。
・・・痛い。
でも、背を向けると、送り出されるようにして飛ばされそうで怖い。
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本山小屋手前の平地も同様に進み、本山小屋でようやくひと心地。
ここから飯豊山まで往復30分くらいのところなんだけど、この風、そして稜線だ。
それこそ、匍匐前進か?
強風に煽られ滑落の危険も。
ということで、山頂は放棄。
まぁ、またくりゃいいか。
あとは、忠実に往路を戻るのだが、風は終ぞ止まなかった。
【エピロ-グ】
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同じ風景を見に。
この季節、この道を。
そしてその場所を。
それでも謎は解けないけれども。
どうしても時間は戻らないけれども。
彼の見た景色が、どんなだったか。
そのうち話せる時も来ると思う。
sak