2008/11月下旬 妙義・金鶏岩~筆頭岩
前衛
金鶏岩は、過去に取り付いたことがあった。
しかし、登り口を取り違え、垂直の東壁に阻まれたという記憶があった。
言ってみれば、リベンジの山であった。
「見晴らし」の駐車場から中之岳神社方面へ数分
立派な階段、数段を上がることから始まる。
なんとなく上のほうへとグイグイ登っていけば、やがてアバタ状の岩肌が現れる。
手足の置き所には苦慮しないので、面白いように高度を上げていく。
ルンゼを詰め上げ、傾斜を増した頃、リッジにあがるのだが、途中、このリッジに微妙なバランスで建つ石碑が印象的。
奇峰、妙義の前衛を守る金鶏山。
山頂の石像や標石はその険しさゆえ、修験道としての歴史の香りが色濃く残る。
風情
金鶏岩からは筆頭岩を目指して縦走路を行く。
峰峰の登り下りを繰り返すものの、判然としない箇所もたびたび。
以前は縦走路として機能していたらしいが、今では篤志家向けの薮山となっているかの様相だ。
この季節に西上州の薮山は実にイイ。
落ち葉をサクサクと踏みしめながら道を読む。秋風に枯葉がカラカラとなる。
実に風情があってイイ。
こんな何気ない場面が心癒す
いかに、普段の疲弊が進行していることかと時に哀しくもなる。
追憶の季節。高い空に葉の落ちた木々がよく似合う。
登攀
行き着いた筆頭岩南壁を左にトラバ-ス。
登攀は西稜より。
ロ-プを出してクライミングシュ-ズに変えれば、登攀自体、さして困難はない。
都合4ピッチ。途中のナイフリッジが見晴らしも良く爽快。
そして適度に楽しめる快適なクライミング。
秋の好日、秋風に吹かれながらが、心地よい。
妙義紅葉ライン(自動車道)がほぼ直下に見える。落石は厳禁。
山頂でゆったりと大休止。
追憶
山頂からは南壁を懸垂下降。
1ピッチ目は一段7mをまず下り、のこりは45m、1ピッチで。
岩に薮に遊ぶ妙義の前衛。クライミングで〆れば今日一日、イイ気分。
充実の秋の一日となること請け合いだ。
追憶の季節に追憶の山行。
暑くもなく寒くもない。実に快適、爽快なクライム。
仲間の笑顔で存分に楽しくもあり、充実の一日に一抹の物悲しさ。
秋の日は人々に何か語りかける、そんな季節であったのかもしれない。
sak