acc-j茨城 山岳会日記

acc-j茨城
山でのあれこれ、便りにのせて


ただいま、acc-jでは新しい山の仲間を募集中です。

二子山・スーパーたこやん

2025年01月02日 19時47分08秒 | 山行速報(アルパイン)

2024/12/19 二子山・スーパーたこやん

2021年拓かれた二子山のマルチピッチ「スーパーたこやん」
今は亡き国際山岳ガイド篠原達郎さんが橋尾歌子さんとともに拓いたルート
関東近郊という気軽さもあって「いつかは」と考えていた

yukさんとは碧岩西稜に息合わせに行ったけど、クライミングというにはちょっと物足りない側面もあった
また、お互いに取付いたことのないこのルートなら、互いに楽しめるというものだ

関東平野部でも雪の予報に躊躇はしたものの、南向きの岩場なら何とかなるだろうと望みを繋いで二子山に向かう
途中、雪のちらつく場面もあったが山行をためらうほどの降りではなかった
それでもさすがに二子山の駐車場は数センチの積雪があり、まずは取付きまで様子を見に行く

幸い、岩場自体を覆うほどの積雪とはなっておらず何とかなりそう
1ピッチ登れば、陽光を想うがままに浴びられそうだった
足場の悪い斜面で装備を付けて、sakから取付く

1P:リード
手がかり足掛かりは多く、凹凸の多い岩はフリクションが申し分ない
むしろ凍えた指が、エッジの効いた手がかりに食い込み痛いので軍手をはめていく
フェイスの後、バンドから目前の岩を左右どちらからでも回り込める

おそらくは右のクラックを手掛かりにスラブを上がるのだろうと思ったのだが、手指の感覚が怪しくなっていたこともあって左から岩壁を一段上がり、右に立派な支点を見出す



2P:フォロー
正面の凹状をクラック伝いに登っていく
下部に支点はないので、キャメの2~4番があるといい
上部で岩を乗越すあたりがオモシロい
立ち木でビレイ

3P:リード
歩きピッチ
念のため、ビレイをしてもらいロープを延ばす
岩場手前の立ち木でビレイ

4P:フォロー
容易だが、岩は脆く浮きも多いので要注意
正面に立派な岩塔が見える
立ち木でビレイ

5P:リード
岩塔の肩に乗るところが核心といわれるピッチ
左右どちらからも登られているらしい

左は左頭上の岩が突き出ていて少し被っているように感じる
溝に指2~3本入るホールドで体を上げられそうだったが、次の一手に確信が持てず、右へと転進
右は少し傾斜は寝ていて細かいホールドを繋げば抜けられる
しかし、岩の剥がれた跡が真新しく不確定要素も強い

支点のボルトは幾分左よりに設置されているので、この登路は左を指し示しているのかもしれない
ルート開拓者の意志はどのようなものであったかと思慮する


開拓者の一人、篠原達郎さんとは2度お会いしたことがあった
はじめは、吉田海岸、魔王
二度目は越後・金山沢鉱山道

いずれも偶然お会いしたのだが、大変気さくな方だった
ルートの情報交換を同じ山屋目線で応じてくれ、親近感を抱いたものだ
それだけに事故の報せは大変ショックだった

この目の前にあるボルトも、篠原さんの手によって打たれたものかもしれない
だとするならば、その高さや位置には意味がある
それを感じ、読み取りながらボルトにヌンチャクをかける

結局、sakは右から、yukさんは左から抜けた
このあたりは体躯によっても感じ方は違うのだろう
手にかけた手がかりが意図するものかどうかは別としても、先人への敬意をもってとりつきたい

そして最後の岩塔は正面の手がかりを見出せず、左側壁を行く
岩塔上から少し下ったところの立ち木でビレイ
実質の登攀はここで終わり

6P:フォロー
簡単な岩場から歩き
山頂手前にボルトの終了点もあるが、その先の山頂まで歩いてボディビレイで終了



東岳からは全方向的な景観と、西岳のトンガリが特異
二子山東岳はだいぶ前に一度来ているのだが、山頂の景色に全くの覚えがない
後になって紐解いてみれば、「ガスで全く展望が得られなかった」とあった

おそらくまた来ることになるだろう
そんな予感を感じながら、装備を片付ける

今への道程
一つの出会いで未来は変わる
新たな選択は何処に向かうのか
そうして今は創られていく

下山は股峠へ
径に雪が残っていて「下山核心」となったのはこの後の出来事だ


sak



 


西上州・碧岩西稜

2024年12月07日 22時25分05秒 | 山行速報(アルパイン)

2024/12/3 西上州・碧岩西稜


あしひきの山のまにまに


晩秋から初冬にかけての山といえば、西上州
紅葉もさることながら、藪岩の小径を辿る楽しさがある

碧岩は西上州の奥深くに位置する尖塔
山裾に三段の滝を有し、ハイキングはもとよりクライミングも楽しめることから藪岩マニアから愛されている
初顔合わせのyukさんと息合わせに丁度いいかと、西稜へ行くことにした

碧岩西稜は12年前に一度辿ったことがある
この時も、登攀トレーニングとしての山行だった

朝集合で車を走らす
南牧村に入ると道に霜が降りていて路面が白い

勧能を過ぎて熊倉の登山口
さすがに平日、他の車はない
と思っていたら、歩き始める直前に一台駐車場に入ってきた

居合沢を縫うようにつけられた登山道を行く
丸太橋は今にも崩落しそうなものもあって、かなり怖い

三段の滝を眺めながら左岸を回り込んで滝上
ここから見える第一コルを見送って、ケルンと赤布あるルンゼを行く
ルンゼは所によってグズグズなので慎重に

岩壁に突き当たったところでロープを出して、コルへと向けて登り始める
フリクションも効くし、登山靴のままでも不安はない
コルに残置もあるけど、50mロープは半分も出ていないのでこれを見送り岩稜を右上
テラスとなった場所に残置があり、ここでピッチを切る

2ピッチ目はyukさんリード
一か所、高低差のある所を乗越すところが少し面白い

3ピッチ目をリードして岩リッジ手前で切る
この先は藪の斜面となるので一旦ロープを仕舞う

グイグイ登って、北西壁がよく見える場所を過ぎると再び岩場が現れる
ここが西稜の中でも一番すっきりとした岩場で、面白い所
ロープを出しながら「リードします?」と、yukさんに水を向けると「行きます!」とのこと

色々ルートはとれる所だけど、yukさんは右にトラバースしてから直上
いくつか残置もあるのだが、ぐらつく岩もあるので要注意

立ち木でピッチを切って、続く藪岩をひと登りで碧岩の頂
西上州の山々が一望できる

山頂からは南稜を下るのだが、急な岩場もあるので慎重に
不安があれば、懸垂下降したほうが良いだろう

径を大岩へと向かう
大岩からは、碧岩の尖塔が美しい
登っているときにはあまり感じられなかったトンガリがここで実感できる

神が御宿りし碧岩
そして、西上州の山波


あしひきの
山のまにまに
彷徨へば

巡り辿りて
ゆくへを思ふ


ありのままに歩く
自分と向き合う
そして、明日を想う

やはり、山は好い

sak

 


 


明星山P6南壁フリースピリッツ

2024年10月20日 05時41分16秒 | 山行速報(アルパイン)

2024/10/5-6 明星山P6南壁フリースピリッツ


sztさんから計画を聞いたとき、これに乗らないわけにはいかないと思った
これがラストチャンスになるかもしれない

仕事のことなど後で考えればいい
そこには、過去の後悔があった

あれは何年前だったろう
明星山・ACC-J直上ルートの開拓に携わったガストンさんにこのルートへ誘われたことがあった
まだまだ、前時代的な労働環境が色濃かった頃の話だ
平日休の私にとって、土日の登攀に参加することは困難であった

今まで、そんな仕事を何度恨めしく思ったことか
否、それを言い訳にして挑まなかったのは自分だったと、今になって思う
忌むべきは、あの時の自分自身だ

時は流れ、巡ってきたこの好機
湿原系沢屋に傾倒した最近の私にとって、フリーマルチは心理的ハードルが少々高めではある
気軽な山ではない、という緊張感があった


前夜、展望台のある駐車場まで入り車中泊
隣には少し前に着いたと思しきパーティーが幕を張っている途中であった

3時間ほどの仮眠
5時に起床するが、天気はどんより霧雨が舞う

この時点で今日の登攀は停滞ムード
装備を付けて万全の態勢となっていた隣のパーティーも「様子見」とのことだった

明るくなって岩壁を偵察するといたるところが濡れている
天候は回復傾向であるものの、より条件の良い明日の予備日に登攀することし今日は停滞
午後に取付きまで偵察に行くことにして、それまでは糸魚川の街に出たり、海を眺めたり、温泉に浸かって過ごす

昼過ぎに展望台まで戻ってお昼を食しながら岩壁を観察
だいぶ乾いてきているが、染み出しはまだ多い
偵察で下降路の確認と小滝川の状況、取り付きの確認
幸い、小滝川の水量は少なく渡渉の必要はなかった

他にやることもないため、車を走らせてフォッサマグナ(糸魚川ー静岡構造線)の断層見物や買い出しでまったりと過ごす
展望台に戻ったら、早々に食事をとってあとは寝るだけ
昨夜の寝不足を解消すべく、17時前には寝袋に入り12時間ほど眠りに入る


翌朝、雲の合間に星も見えて雨はなさそう
駐車場には昨日とは違う車が1台
私たちが準備をしていると、すでに準備は整っていたらしく早々に出発していった

アプローチは土産物屋(営業はしていない)から舗装路を左に少し降りた凸凹ガードの始まりから藪をかき分けて下る
次第に踏み後も明瞭となり小滝川に至る
下流に向かって河原をしばらく歩くと大岩が3つ連なっている
フィックスロープは切れているがいい目印になる
1つ目の岩からジャンプで2つ目へ渡って、あとは川原に降りる

岩壁基部を右に10mほどでリングボルトが1本打たれた箇所が取り付き
その先のリングボルト2本まで行くと行き過ぎというのは、予習済み

先行パーティーも同ルートとのこと
先行Pのフォローを見送り、適度な間隔が開いたら打合せ通りsakが先行、以下ツルベで登攀開始

1P:Ⅲ:40m、リード
草付き、ブッシュの岩場を左上
中間支点はブッシュで取り、ピッチの終了点は明瞭

2P:Ⅳ-:20m、フォロー
出だし3m程の小垂壁を越え、スラブバンドを左へトラバース

3P:Ⅴ+:30m、リード
スラブから真上の凹角をウメボシ岩に向かって登る
左上にフレークがあり、それを使って右上
一歩、スラブのちょっとした窪みに足を置くと安定する

4P:Ⅳ+:30m、フォロー
凹状を少し登り三角形の岩の頂点からスラブを下りトラバース
このスラブ下り数mが濡れていて、非常に怖かった
ここしかないと思われる窪みに足を置いてあとは滑らないことを祈りながら体重を乗せる
トラバース後は簡単なバンドを右上しハング下までバンドを右上

5P:Ⅴ-:20m、リード
ハング下のスラブを左へトラバースしウメボシ岩直下まで

6P:Ⅴ+:15m、フォロー
急な凹角を登りウメボシ岩を左から乗越し、岩を抱えながら下り気味にトラバース
ウメボシ岩の乗越は後ろにあるスタンスを使えば登りやすい
トラバースの初め、岩を抱えて一段降りるところは足場が見えないが、スタンスはあるとリードのsztさんが教えてくれた

sztさんと初めて山に行ったのは2014年11月
西上州の大津という、いわゆる「藪岩ルート」だった

それから、一ノ倉二の沢本谷3ルンゼ幽ノ沢左俣滝沢大滝などでロープを結んだ
彼にとってアルパインクライミングはどのように映ったか
今となっては聞くこともないが、彼自身の研鑽と継続によって今もこうして明星P6南壁の只中で共にいる

現在、私の技術は彼に及ばないのが現実で、できることといえば経験則によるルート考察だろう
技術と考察
共に作り上げるというのが、何よりも尊い

7P:Ⅴ+:30m、リード
頭上のフレークを越え右に見えるカンテを越えフェースを直上、上に見えるハングまで
出だしで少々左に行ってしまい、右へと移動するのに苦労しA0(残念!)

8P:Ⅳ+:40m、フォロー
ハング右下の切れ目凹角を越え、緩傾斜のスラブを直上

9P:Ⅴ:30m、リード
ハングの間、カンテ左裏に有る凹角へラインを取る
クラック伝いに登る為ホールドは少なくジャムとバックアンドフットで登る
支点も見当たらずカムが必要
凹角を抜ければ左上する中央バンド緩傾斜帯

10P:Ⅱ:20m、フォロー
中央バンドガレ場を登る
非常に不安定なガレ場で、ここでの落石は南壁基部に落ちるので慎重に
上部岩壁基部までくればひと休みできる

11P:Ⅲ:50m、リード
11-12ピッチは迷いやすいというのは予習で把握していた
パートナーと相談して以下のルートを選択した

への字ハング下の岩壁のもう一段下
いかにもⅢ級と思われる容易なバンド状緩傾斜を行く
次第に階段状の凹角となり、黒い垂壁を目指して右上、このあたりは容易だが支点少なくランナウト
少し上にリングボルト2本があるが、それを見送りハンガーボルトが2本打ってあるところまで進む

これが「正解」かどうかはわからない
手前のリングボルト2本がオリジナルとしては正解なのかもしれないが、12Pへ繋ぐ意味ではこのルートが合理的であると判断した
また、この場所はACC-J直上ルートと交差した場所というのも理由の一つであった

ACC-J直上ルートはこのP6南壁をほぼ直上する人工主体のルート
1970年にACC-Jによって拓かれた

ガストン氏は初登攀メンバーに名を連ねてはいないが主体的に開拓に携わっていた一人
彼がヨーロッパ遠征中にこのルートが完遂されたと聞く

初登攀の発表後、氏がACC-J直上ルートを完登したのは1977年
会報・なーげる8号(1977年)には「やっとACC-Jルートを登った喜びは大きい」と記されていた

その後、氏が故郷・茨城に移り創設したのが「ACC-J茨城」
初めはACC-Jの茨城支部という位置づけだった

後年、彼は明星山P6南壁に訪れた際、ACC-J直上ルートに取付くパーティを見てこう回顧した(R&V23号:1996年)

ルートというものは無形のものであるが、なにか自分の子供のように可愛く感じてしまうのだ。
できればそばに行って”ACC-Jルートを登ってくれてありがとう”と握手を求めたい心境である。
(中略)
このルートには私の青春がある。
それだけ情熱をかけたのだ。

でも、完登されたとき、私は海外登山で日本を留守にしていてメンバーに入れず、今でも少々悔しい思いが残っているのも事実なのだ。


その情熱と交差する場所に今立っている
時の経過とともに風化していくであろうルートの痕跡と自身の気力を前に、せめても会の先達が情熱を注いだ場所に立ちたい
私がこの登攀に込めた意義の一つでもあった

12P:Ⅴ-:30m、フォロー
11Pのラペルステーション(ハンガーボルト2本)から真上の凹角状を直上し中間部より左上する

13P:Ⅳ:30m、リード
凹角からパノラマバンドを左へトラバース
顕著なバンド下のスタンスを拾っていけば快適

14P:Ⅴ+:40m、フォロー
凹角から凹状左フェース、右にカンテ越え緩傾斜帯の草付きへ

凹状の左フェースがこのルートの核心かと思う
手足ともに細かくバランシー(力及ばず、A0で)
抜け口左にあるガバをとれれば、一気に体を上げられる

sztさんはロープが重く途中で切っていたので、sakがそのまま上がり上部の松の木まで
実質の登攀はここで終了

15P:Ⅱ:20m、リード
松の木から左へトラバース
岩交じりの安定した踏み後をリッジのテラスまで

16P:Ⅲ:20m、フォロー
リッジ通しに行く
途中の岩にスリングとカラビナの残置があり、本来14P終了点の松の木からここに上がると思われる
この先の岩塔は左を回り込む

17P:Ⅲ:20m、リード
岩塔左の基部から一段上がれば、左右どちらでもルートはとれそう
左は切れ落ちていそうだったので、安全第一で右から回り込むと南山稜の踏み後
ここから踏み後を少し下るとスリングの巻かれた松の木があって、そこでロープを外し靴を履き替える
いつものことながらこの瞬間はホッとする

下山は急な踏み後を行く
少し行くと左岩稜の大岩上の松の木が見えるのでそれを目指してクライムダウン
そこからはフィックスやピンクテープを目印に下るが、時に不明慮となる
あとは山屋の勘で踏み後を探しながら行くと導水管のある場所に出る
南山稜の松の木(靴を履き替えた所)から約1時間半だった

あとは導水管伝いに下り、小滝川は飛び石伝い
少し登り返して舗装路に出る
ここまでくれば駐車場までは一投足


「気持ちいい」
岩壁を仰ぎ見て、優しい風に吹かれながら想う

山は逃げないというけれど、時の経過からは逃れられない
それでも「行きたい」という気持ちに偽りはない

自由を手に入れろ
魂を磨き、解き放て

FREE SPIRITS


sak



↓動画も

 

~追記~

振り返ると、明星山の存在を教えてもらい気にかけ始めたのがもうかれこれ10年近く前。

3年前に展望台に立ち寄って南壁を目の当たりにし、具体的に登ろうと思ったのが1年くらい前の話。そのころには磨いていた登攀力はすっかりサビついていて、それからのサビ落としのトレーニング中は楽しい時間でもありました。

藪をつかみ、ヌンチャクをつかみと何でもありでスピードを意識しながら登り、10ピッチをこえるルートでしたがsakさんとお互い持っている良さを出し合ってまずまずのスピードで登りきることができたかな?と思っています。道中の運転は全部sakさんにお世話になって、無事に事故なく自宅まで戻ることができました。どうもありがとうございます。

それからサビ落としのトレーニングにお付き合いいただいた方々や、トレーニングの時間を融通してくれた家族にもお礼をお伝えしなければなりません。どうもありがとうございました。トレーニングはまだまだ続きそうなんですけどね、ムフフフフ、、、

同行者より


剱岳・本峰南壁A2稜

2024年07月20日 23時24分42秒 | 山行速報(アルパイン)

2024/7/18(木)〜2024/7/20(土)

(1日目) 扇沢〜雷鳥沢テント場〜新室堂乗越〜剱御前小屋〜剱沢テント場

(2日目) 剱沢テント場〜前剱〜平蔵の頭〜A2取付〜剱岳山頂〜剱沢テント場

(3日目) 剱沢テント場〜剱御前小屋〜雷鳥沢テント場〜扇沢

メンバー: azm, nksさん

記録: azm

 

ACC-J茨城に昨年秋ごろ入会した2人で、剱岳の本峰南壁A2稜に行って来た。

今日まで会の皆さん、とりわけsakさんには山行を通して本当に色々なことを教えていただいた。

まだまだ未熟な我々であるが、今回の山行は自立した登山を行えるようになるためのマイルストーンとなるよう意識して励んだ。

 

南壁への取付。雪渓が想定していたよりもかなり残っていた。

平蔵のコルからは雪渓の角度が急でチェーンスパイクで下るのは無理そう。平蔵の頭から斜面を谷側に下降し、雪渓をトラバースすることにした。

トラバースも滑り出すと止まらなさそうで怖い。

ピッケルとストックを補助に使いながら、平らになっているところを足掛かりに渡っていく。

一ノ倉沢でsakさんに「雪渓はこう歩くんだよ」と教わった経験が生きた。とはいえ今回一番怖かったのは間違いなくこの雪渓横断だ。

 

(P1: azmリード)

雪渓をトラバースし、赤丸の雪の窪みの地点から岩を眺めてみる。

残置支点などはなかった。おそらく本来の取り付きは雪渓の下なのだろう。

登山大系の解説には「取り付きはA1との間のルンゼの左側の顕著なスラブ」とあったので、この時点ではルートはもう少しルンゼ側にあるのだろうと認識した。

雪渓から岩への乗り移りはなんとかできそう。

ここでハーネスを装着してロープを出し、azm先行でルンゼ側へ岩をトラバースして見に行ってみることにした。

あとから振り返ると、雪渓から岩に乗り移った先でそのまま上へ行ってしまっても良かったかもしれない。

 

(P2: nksリード)

A1との間のルンゼを認めて、A2の右端あたりに到達したところでピッチを切る。

nksさんリードで行ってもらうと残置ハーケンが見つかり、やっとルートに自信が持ててくる。

ロープをなるべく伸ばしてもらい、次のピッチへ。

 

(P3: azmリード)

フェースの残りを登っていくとどこかで聴いた光景。

「ハイマツをつかんでリッジに移る。」(登山大系)

こういう追体験は楽しい。

 

(P4: nksリード)

リッジを進んでいく。

 

(P5: azmリード)

さらにリッジを進む。左右にもルートを取れるがなるべくリッジを選んで登る。

少し難しそうな凹角を手前にピッチを区切る。

 

(P6: nksリード)

核心部をnksさんがトライ。しかし、思ったより悪いらしく1ピン目をかけた後どうにも手が進まず...消耗してしまい交代の打診。

古いハーケンが連打されていて、先人もここを嫌がったのかなあと思ったり。

 

(P6リトライ: azmリード)

核心部を交代してリトライ。左側にあるオフィズスサイズのクラックをうまく使って登ることができた。

触りながら見つけたクラック内部のホールドを使ったり、腕をスタックさせたりして楽しめた。

 

(P7: nksリード)

リッジの残り。ロープを伸ばし切りたいところだったが、重たくなってしまいもう1ピッチ。

 

(P8: azmリード)

ザレ場の手前まで。P8の終了点からコンテで少しだけ進むとロープなしでも進めそうなことが分かったので、ロープを解いて進んでいく。

ザレ場を数メートル進むと一般登山道と合流できそうなのが見えた。山頂方面へ直接登ってゴール。

 

振り返って、今回の山行は2人で出来うる限界ギリギリくらいだったように思う。

雪渓の状況などもう少し条件が悪かったら...

同じルートを辿っているけれど、山行の内容は毎日変わる。

記録や残置物だけを頼りにするのでなく、状況に応じて自分で見出したルートも組み合わせることで山行を成し遂げる。

そんな経験がちょっとだけ出来たような気がして嬉しかった。


谷川岳・一ノ倉沢烏帽子沢奥壁南稜

2024年07月13日 22時03分45秒 | 山行速報(アルパイン)

イチノクラ
この響きは何度聞いても特別だ

いつだって山行前はナ-バスになる
心の奥底に臆病な自分がいる
その彼が何か伝えようとしている
そんな気がしてならないのだ

道の駅・水紀行館で仮眠
3:30起床
皆、無言で身支度を始める
今日への意気込みが伝わってくる

ロープウェイ駐車場に移動して装備を整え出発
一ノ倉出合を目指す

烏帽子沢奥壁・南稜は一ノ倉の人気ル-ト
快適なリッジやフェ-スの続き、乾いていれば快適の一言に尽きる

nksさんたちから「一ノ倉の南稜に行きたい」
そう聞いたとき、「まあ、そうなるよね」と思った

思い返せば自身もそうであった
アルパインクライミングの舞台として誰しも憧れる場所だろう

一方で不安もあった
3人を引率することへの不安だ
個々が最低限の自立した技術と知識は持ち合わせてほしい

一ノ倉は彼らがこれまで経験してきたクライミングルートとは一線を画す場所
タクティクスと装備は指定し、厳守とした
登れるかどうかではない
無事に下山ができるかどうかが重要だと諭した

メンバーは4人
skmさんは一度経験があるとのこと
nksさん、azmさんは一ノ倉デビュー
そしてsak

南稜は、一ノ倉の全体像を知る意味でとてもいい場所にある
所々でレクチャーを入れながら行く

一ノ倉沢出合駐車場で装備を付ける
河原をしばらく歩いて右岸の踏み後へ入る

沢へと復帰し、ゴーロを行くと前方に雪渓
幸いテールリッジまでつながっており、雪渓通しでいく
衝立沢側は降りられそうもないので本谷側を少し登ってテールリッジ末端
そこから衝立沢側に回り込んでからフィックスに導かれてリッジの上の出る
このあたりは知らないと思わぬ苦労をするだろう

テールリッジのスラブも一部濡れてはいるものの、フリクションは十分効いている

新人を連れてここを歩くのは何回目だろう
新しい仲間が増える度、先人の務めとして幾度となくこの道を歩いた
「連れて行ってあげれば」自ら学んでくれるだろうという期待もあった
しかしながら、多くはそうならなかった

「連れていってもらった」山行は、次への要望へと繋がっていく
つまりは「消費者」を増やしたに過ぎず、勿論長続きはしなかった

自立した登山者の育成には「主体的な学びの実現」が必要だと悟った

そういう経緯から今回のメンバー3人には厳しく指導した
もしそれでついてこられないというのであれば、遅かれ早かれ遠のいていくのだろう
時に厳しい言い方で指導したこともあり、本当に申し訳ないと思っている

「楽しい」だけではない
自分で作り上げる山、その先の景色を見てほしい
その一念あってのことなのだ

中央稜取付きでクライミングシューズに履き替える
烏帽子沢奥壁基部のトラバース
中央カンテ、凹状、変形チムニー、南稜フランケの取付きを指呼しながら南稜テラス

ロープを出して登攀体制
先発:skm-nks、後発:sak-azmでツルベ登攀

1P(リード)
南稜テラスから直上し右に少しトラバース
チムニー手前で切る

2P(フォロー)
チムニーを抜ける

3P(リード)
フェースを右上気味に

4P(フォロー)
草付き(笹原)を踏み後に従い歩く

5P(リード)
フェースから大岩を回りこむ
先発が大岩で切っていたので、その先(リッジの基部)まで伸ばすよう指示

6P(フォロー)
コールの声から先発は馬の背の途中で切った様子
azmさんには、先発より上(垂壁手前)まで伸ばすよう指示して送り出す
しかし、途中でロープが重かったらしく馬の背途中で切っていた

7P(リード)
馬の背リッジ後半、垂壁手前まで
最終Pはazmさんにリードしてもらうために切る

8P(フォロー)
リードのazmさん、最後のところで少し苦労したけどフリーで抜けた
sakも4年ぶりなので新鮮な気持ちで楽しめた

終了点から少し上がった場所で休憩
強烈な紫外線に皆干上がり、早々に下山にかかる

【6ルンゼ下降の備忘録】

下降は南稜終了点から6ルンゼ方向に少し歩いた懸垂支点から
6ルンゼ懸垂下降の注意点は3つ

① ピッチ切りに注意する(特に懸垂下降3ピッチ目)
② ロープの回収(特に懸垂下降1.3ピッチ目)
③ 斜め懸垂の危険個所(懸垂下降3ピッチ目)

①はハンガーボルトと鎖で構築された支点を繋ぐと無駄がない
南稜テラスへの最終ピッチは50mロープで、10mくらい足りないので、チムニーの下で切る

②は懸垂1ピッチ目の回収時にルンゼ内部へロープが入り込みやすいので「一定リズムで淀みなく」回収する
また、懸垂3ピッチ目は大岩の目線高さにある支点を使うとスタックしにくい

③は懸垂3ピッチ目の大岩手前を降りるとき、6ルンゼ側に引き込まれやすいので注意(先に降りた人は補助する)

無事に南稜テラスまで降りる
残置していた装備を回収したら、烏帽子沢奥壁基部のトラバース
基部バンドまでの下りは結構怖いので、南稜フランケの取付から50m1本で懸垂下降
変チの取付きあたりに流れるわずかな水を啜って水分補給する

中央稜取付きまで戻ってひと心地
靴を履き替え行動食を口にするが、すでに行動水はない
唾液分泌量が少なく、嚥下に苦労する

そうなるとテールリッジの先に見える雪渓の末端から流れる水を求めて下るのみ
テールリッジ末端から雪渓へ乗り移る
ここは「沢登」的な身のこなしが必要
ほかのメンバーは少し戸惑ったかもしれないけど、これが総合的な登山なんだと思う

雪渓は念のため持ってきた軽アイゼン着用でサクサクと
振り返れば、衝立岩が大きい

雪渓末端で念願の水分補給
1.5Lくらい補給しただろうか

最高に冷たくて、最高に美味い
そして皆、最高の笑顔

まだまだ、課題は少なくない
それでも今は皆の笑顔を噛みしめたい


岩壁を振り返る
いつだって登り終えた後の山は
ちょっとだけカッコよく見える
ここに来るたび今日を思うことだろう


sak




霧来沢前ケ岳南壁V字第二スラブ

2024年07月11日 15時31分45秒 | 山行速報(アルパイン)

梅雨入り前、前線が北上するらしい
この知らせをもって奥秩父・鶏冠谷から計画も北上

だいぶ前から「行きたい場所リスト」に入っていものの機を逸していた前ケ岳南壁
「やっぱり秋かなぁ」と思い描いていたものの、条件が揃ったときこそ「ベストタイミングなのだ」と言い聞かせる

- 会 越 -

会越は豪雪に磨かれたスラブと険谷に守られた未開が多く残されている
また近代交通事情から観光地化した山域とは一線を画す
その奥深さゆえの静かな山、そして自然の造形が美しい貴重な山域と言っていい


道の駅かなやまで夜を明かして霧来沢沿いの御神楽岳登山口まで移動
しばらくは登山道を歩く

本日のメンバーはskmさん、nksさん
共に会越の山は初めてとのこと
山の特性、植生などレクチャーしながらそぞろ歩く

八乙女の滝を越え鞍掛沢の手前、八丁洗板のナメ床から入渓
なかなか優雅な風情である

思いのほか素晴らしい渓相に気をよくしながら遡っていき、霧来沢本流へ
630mで右の支流へ入るとゴーロの急登
雪渓の残る崩壊地を過ぎ、滝場が出てきて左岸の小さなルンゼから巻くが藪頼りで腕力を要する

滝上からはV字スラブへと誘われていく
下部スラブを思い思いに登っていくと、広いテラス
ここでロープを繋ぐ

わずかに濡れる水流沿いを行けば容易だろうが、ここは右岸岩壁の凹角を登る
登攀は沢靴でも問題ない

この後も念のためロープで確保をしながらスラブを行く
振り返れば会越の山波に切れ込むスラブ、残った雪渓が独特の景色となっている

都合、5ピッチほどロープを出して稜線直下まで
最後のひと登りはフリーで不安なく登れる

と、ここまではよかった

この先は登山道まで藪漕ぎ
踏み後も薄く、1145峰先で少し彷徨
さすがに初夏の藪漕ぎは濃く暑い
まだ地に足がつくだけマシだろう

前半の気持ちの良いナメ歩き
乾いたスラブ登攀の記憶が、酷暑の藪漕ぎに塗りつぶされる

やはり、秋か
そんな思いを口には出さず黙々と藪を漕ぐ
これはこれで、訓練と思えばいい

会越
雪に磨かれたスラブと険谷に守られた奥深き山々
踏み後も疎らな径を行く
そういう山登りがここにはある

会越初見参のメンバーにはどう映ったのだろうか


sak



 

 


子持山・獅子岩南壁

2024年04月22日 14時59分08秒 | 山行速報(アルパイン)

2024/3/28 子持山・獅子岩南壁

久しぶりの獅子岩南壁
sztさんと

以前一緒に来たよね、という話題となり指折り数えてみる
そうすると、お互い4回目だった
やはり、良い岩場は何度来ても良いものなのだ

倒木があって1号橋の手前から歩く

2月はあれほど暖かかったが、3月に入ってめっきり寒い日が続いた
今日もどちらかというと、曇天模様の寒い一日
鼻をすすりながら屏風岩の基部を登っていく

左に獅子岩が見えたら踏み跡に乗ってトラバース
基部で身支度を整える
下部のルートは乾いているものの、数日前の降雨による染み出しで上部スラブを行くあたりがどうも怪しい
なんならツララが見て取れ、たまに小さな氷屑が落ちてくる

ということで、鼻をすすりつつsakからスタート

寒さに加えて、冷えた岩に指先は途端に凍える
吐息で温めながら行くが、感覚に不安

短めに切って、バトンタッチ
sztさんも指先感覚に苦労していた
フレークの所は内部が濡れていてちょっと嫌だったけど、このルートで一番楽しい(と思っている)

次のピッチで緊張させられたけど、なんか来るたびに緊張度が増しているように感じるのは、
相対的なものだろう。

ちなみにこのピッチをリードしていたsztさんが中間支点に残置されていたビナを回収
おそらく、ここから撤退したのだろう
今日は乾いていたものの、この先嫌な予感しかしない

次のピッチは直上スラブを乗り越えるか、左の藪に入るか
もちろん、左の藪に入るにはびしょ濡れトラバース&ドロドロ草付きを行かざるを得ない
直上は見る限り乾いているが、その先は見えない

結論として直上を選んだのだけれど、スラブ上は濡れていて明らかに楽しくなさそう
念のため、と渡された残置ビナでロワーダウン
あとは懸垂下降で取付きまで戻った


何かを手に入れたいとき、自分は代わりに何を差し出せるのか
それに見合うだけの価値が自分にはあるのか

同じ道標を行く仲間との時間は尊い


sak


動画も

 


八ヶ岳東面・天狗尾根

2024年04月16日 17時30分28秒 | 山行速報(アルパイン)

2024/3/16-17 八ヶ岳東面・天狗尾根


事の初めはひと月ほど前
山岳会の例会で「泊付、冬山バリエーションに行ってみたい」と持ち掛けられた

自立した岳人育成に、バリエーションへと向かう機会創出は先人の勤めでもあろう
そう思い、日程調整した

八ヶ岳東面の天狗尾根は、初級冬季バリエーションとして人気が高い
静かなアプローチ、樹林の登り、そしてワンポイントながらロープを出しての登攀もある
トレースがなければ奮闘的な山ともなり、冬季バリエーションの養分は高めだ

メンバーは4人
skmさん、azmさん、nksさん、sak
登攀計画はskmさんがリードでフィックスを張って、セカンド・サードはアッセンダー
最後にsakがフォローで回収という算段

初日は美しの森から出合小屋まで
意外と多い積雪、踏み抜きに苦戦しながらも、トレースが拾えた

出合小屋で荷を解いて天狗尾根の取付きまで偵察
先行が入っているようであった

水を確保したら自由時間
ココヘリアプリを実験してみたり、ビーコンの使い方講習をしてみたり
一通り済んだら明るいうちから一杯やる
そうしながらも明日のプラン共有は忘れずに
2パーティーが小屋を通過し、この先で天幕を張るとのことだった

早々に夕食の支度に入り、腹ごしらえ
今宵のメニューは具材たっぷりチゲ鍋
ベース方式はこれができるからいい

夕刻、3人パーティーが到着し、今日の出合小屋は2パーティ、7人
目指すは旭岳東稜とのこと
お互い、翌日は2時4時と確認

明日に備えて18時頃シュラフに潜る
寒気もそれほどではなく、夏用シュラフでも十分眠れた

2時起床
目覚めのコーヒーをすすりつつ、朝ラー(朝のラーメン)高カロリーバージョンの準備
それぞれに身支度を終え、旭岳東稜へと向かうパーティーを見送って我々も4時出発
今日の山行成否はタイムキープにかかっている
余念なく意思は伝える

寒気はそれほどでもないとはいえ、雪は締まり歩きやすい
トレースもしっかり残っていて、ただひたすらに足を前に出すだけだ

隣の尾根に、ヘッデンが揺れる
無言でエールを送る

カニのハサミあたりで展望が広がる
そして風が強い
おそらく稜線は暴風だろう

カニのハサミをトラバースして岩場をひと登り
その先に最初のロープポイント
足元の切れ落ちた岩の基部を右へトラバース
そしてルンゼを直上
タクティクスは昨日申し合せておいた通り

そこからいくつか岩場を通過すると、大天狗が立ちはだかる
トラバースして基部でロープを出す

あとはガスに見え隠れする小天狗の基部岩場を左から巻いてひと登りで登山道
ここで11時
なんとかタイムキープできてホッとする

しかしながら流石に稜線に乗ると風が強い
雲が下がってきており、視界も遮られてきた
4人がバラけないよう、粛々とガレ場を下り西風に叩かれながらツルネを目指す

ツルネ東稜に入ると風が稜線によって遮られ、嘘のように穏やかとなる
雪が舞い落ちてきたが、おそらくこれは稜線の雪が飛ばされたものであろう
しっかりしたトレースも刻まれており、ほっこりした気持ちでボトボトと下る

急場が一段落したところで一休み
ダンゴがひどいので、アイゼンを外す

あとは小屋までワンピッチ
稜線で風に叩かれ、時間を要したが明るいうちに小屋に戻ることができた

撤収を終え、あとは駐車場を目指すだけ
なんだけど、緩んだ悪雪に苦労して結局ヘッデンを出すことになった

機会創出と体験は自立した岳人育成の出発点
統率の意思、時に厳しく留意点は伝えた

あとは主体的な学びの実現
山行を消費して終わるのか、この先に臨むのか

Where there is a will, there is a way


sak

↓動画も


西上州・鍬柄岳南稜

2023年12月22日 19時24分57秒 | 山行速報(アルパイン)

2023/12/2 西上州・鍬柄岳南稜

そこここに突き出る岩峰
一つ登れば、その先に見えるトンガリが気になってくる
岩に触れゆく道にスリルと緊張感
西上州には、そういう楽しさが溢れている

鍬柄岳もその一つ
下仁田の街から北に見える岩峰
マルチピッチの練習も兼ねて南稜からのアプローチ
skmさん、nksさんと

駐車場からは鍬柄岳がよく見える
あの先端へ行くのかと思えば、誰しも高揚することだろう

指道標に従って登山道を行く
30分ほどの登りで基部に到着する

登り始めはいくつかルートが取れるらしい
できるだけクライミングの高さを確保しようと、登山道を大桁山方面に下って西面へ回り込む
あれこれ吟味して西面のコーナークラックを登路に定め、装備を纏う

今日はskmさんがオールリード
先日入会のnksさんはセカンドで、sakがフォローしながらラストというオーダー

1P
バンドを少し登ってコーナークラック
右壁にハーケン
用意したカムはサイズが小さく、クラックで支点が取れないようだった
支点を求めて左壁を行くが苦戦を強いられていた

クラックを抜けた立ち木でピッチを切る
本来、その先のリッジまで伸ばせると思ったが、苦戦に加えて岩の冷たさに指が悴んでしまったようだった

続いてnksさん
やはりクラックの所で逡巡するも、時間をかけて登りきる

立木まで到達したのを確認してからsakもクラックを行く
ここはレイバック気味に行くとホールドスタンス共に得やすい

2P
フェイスを少し登ったらあとは階段状をリッジまで
本来はここまでで1Pだろう

3P
目前の岩を右から巻いてリッジに登る
ここは岩を直登の方が楽しいかもしれない
途中にある枯れ木はぐらつくので要注意
松の木をよけてクライムダウンしたら安定のコル
少し上にリングボルトとハーケンがある

4P
フェイスを20mでテラス
skmさんはその上の松の木まで伸ばす
支点は灌木でとれるものの岩が脆いので注意

5P
容易なフェイスだが、やはり岩は脆い
15mほどで山頂

休憩をとったら、登山道で下山する
この登山道もほぼ岩場の下りで鎖伝いに降りていく
15分ほどだが慎重に

岩場基部でお昼時間
もぐもぐタイムをしながら主に支点構築を中心にレクチャー
本日の課題を復習して山を下りる

駐車場から振り返ると、鍬柄岳のトンガリ
いつだって、登り終えた後の山は少しだけ恰好良く見える

あれが鍬柄岳
街道からこのトンガリを見るたびに、今日を思うことだろう


sak

動画も↓

 


足尾・松木沢ジャンダルム中央ルンゼ

2023年12月13日 00時36分59秒 | 山行速報(アルパイン)

2023/11/24 足尾・松木沢ジャンダルム中央ルンゼ

 


砂利道を歩く
小石を踏む音に、この地の道程を思う

松木沢ジャンダルム
朝日に照らされたそれは、岩峰そのものが輝いているように見える

今日は中央壁・中央ルンゼを行く計画
skmさんと

ジャンダルムの基部を左に回り込んでいくと顕著なルンゼを見る
ここが中央ルンゼ
少し上の安定した場所で装備をつける

ジャンケンで勝ったskmさんはフォローをチョイス
sak先行で登り始める

1P(リード)
ルンゼを詰めるが、落葉がたまっており掃除をしながら行く
輝く岩峰にあってルンゼ内には陽が届かず手が悴む
次第にルンゼの両岸が狭まり、斜度も立ってくる
進路が岩で遮られるため、右の岩棚でピッチを切る

2P(フォロー)
岩棚から一段上がるところは右から岩がせり出していて窮屈
ここは左にスタンスを見い出すが、足下は切れ落ちているので少し緊張する
そこからは階段状
ルンゼの行き詰まりを左上する

3P(リード)
ほぼガレ場の歩き
3本クラック基部まで

4P(フォロー)
本来、中央ルンゼは右凹角を行くのだと思うがここは直上ルートに合流して真ん中のクラックを行く
NP経験はないというskmさんだったけどソツなくこなす
クライミングとしてはここが一番楽しかったのではないか

5P(リード)
左のルンゼを行く
両壁に足を突っ張ってジリジリと高度を稼ぐ
コブシ岩の肩まで

6P(フォロー)
コブシ岩の凹角を行く
ホールドスタンスともに豊富で楽しい登り

岩上で一休み
風は強いが、小春日和
今日の登りを振り返りながら、次の計画を語り合う
緊張から解放されたこういう何気ない時間に心満たされる

下降路の右ルンゼは、フィックス頼りでロープを出すことなく下ることができた
取付きまで戻ってデポした荷物をまとめたらあとは往路を戻る


きらめく水面に魚影を見る
それでも、あの頃には戻れない

人も自然も時に翻弄され変っていく
そして、ゆっくりと進む

松木村の今
水面に映る空は青かった


sak


↓動画も