・ 期間:2017年10月7日~10月9日
・ メンバー:sasa,S田
・ アクセス:自家用車、七倉~高瀬ダム上までタクシー利用(2,100円/台)
・ コースタイム:
10/7 7:45七倉-8:10高瀬ダム-11:05湯俣-14:10千天出合-17:20北鎌沢出合
10/8 4:35北鎌沢出合-6:40北鎌のコル-9:35独標-13:20北鎌平-14:15槍ヶ岳-15:00槍ヶ岳山荘-15:25小槍取付き-17:25槍ヶ岳-18:15槍ヶ岳山荘-20:35水俣乗越-23:30北鎌沢出合
10/9 8:30北鎌沢出合-11:30千天出合-14:00湯俣-16:15高瀬ダム上-16:30七倉
・ コース状況及び危険個所:
1)湯俣~北鎌沢出合
雨の影響で水量が多く、渡渉にはストックを使い、スクラムで行くことがあった。
2)水俣川出合の吊橋からの巻き道
巻き道は川から高い位置にあり、ザレた足場の悪い箇所を通る。
何箇所目かのザレたトラバース道でトラバースするロープと河原へ続くロープの両方が出てくる。ここで下りても先へ進めるようであれば下りたほうがよい。トラバースすると、その後河原へ降りるのに灌木を伝いながら苦労して下りることになったからだ。
3)千天出合の高巻き
大高巻か小高巻かで2ルートあった。目印は赤布(大高巻)とフィックスロープ(小高巻)で、両方とも右岸にてほぼ隣接している。
往路小高巻は見るからに悪そうだったため、大高巻を選択。大高巻は踏み跡を辿って上がった尾根から踏み跡が不明瞭。尾根からは熊笹を藪漕ぎしながらルンゼ状をトラバースして尾根伝いに下ると小高巻ルートに合流した。河原への下り口に赤布あり。
帰路は小高巻ルートを通った。道はかなり不明瞭であり、狭く、崩れているところもある。目印である赤布が色あせて木や葉と紛れてしまっていた。往路で大高巻ルートを進んだ時は、ある程度トラバースしてから小高巻ルートに合流したおかげで悪い箇所を通らずに行けたものと思われる。
4)北鎌沢出合~北鎌のコル
北鎌沢出合からしばらくの間は水が流れていた。
5) 北鎌尾根_独標直登ルート
取り付きへは切り立ったピナクルを天上沢側からハイマツを踏んで回り込むと、頭上に古いスリングが下がっている。ここでロープを出した。スリングが下がっているチョックストーンを超える箇所が悪かった。
6)北鎌尾根_P14周辺
P14手前にある白くザレたピークの所ではロープを出して登った。ロープは20mもあれば間に合うと思われる。
P14の登りはザレているので直登せずに千丈沢側を少しトラバースしてから尾根へ戻った。ガレ場が多く怖い思いをしたので、トラバースせずに直登した方が良いと感じた。
7)北鎌尾根_槍ヶ岳穂先直下
下部チムニーを右側から回り込んで登り、上部チムニー付近ではスリングに誘われて右へ行ってしまった。その後、左へルートを取り直し山頂へ上がった。
8)小槍~槍ヶ岳
小槍からの懸垂下降では50mロープ1本だと、足場の安定したコルまで少し足りない。残地スリングを利用してコルへ降りた。
曾孫槍、孫槍のピッチには中間支点が少ないためカムでランナーをとった。各ビレイポイントはしっかりしている。
孫槍を過ぎ槍ヶ岳頂上までのピッチは、50mロープだと長さが少し足りないため2ピッチで登った。
・ 記録:
1日目:10月7日 雨 一時くもり
水俣川に架かる吊橋
今回、1名は渓流シューズ、1名は月星ジャガーシグマの装備。
水俣川出合の吊橋からの巻き道
ザレた足場の悪いトラバース道
水俣川
ロープがたくさん垂れ下がるへつり
千天出合から少し手前の右岸_大高巻入り口
小高巻ルートが見るからに悪そうだったため、大高巻ルートを選択した。
P2入口
千天出合の高巻後左岸に渡渉して少し進んだところにあった。
テン場があり、木の幹にピンクテープが巻いてある。
近くにはレリーフもあった。
北鎌沢出合
目印にケルンがあり、周囲はテン場。
この日は7張ほどあった。
2日目:10月8日 晴れ
北鎌のコルへの最後の草付き
2,300mを過ぎた所にある二又でピンクテープのない右側の沢を進んだ。
あとはコルと思われる場所を目指して、登りやすい所を選んで登った。
北鎌のコル
ピンクテープの左側の沢も尾根道に行くが、北鎌のコルへ行くなら赤布と沢筋の方向に注意したほうがよい。
独標付近からの北鎌尾根全景
「北鎌尾根は基本直登、回り込みは千丈沢側」の方針で攻略。
独標取り付きから上を見る
最初が悪いが、そこを越えるとザレているが登りやすい。
白いザレの登り
P13~P14あたりの白いザレ場はヒヤヒヤする。
P14はザレているので直登せずに千丈沢側を少しトラバースしたところ
傾斜のあるガレ場
P15の尾根に登りあげる。
P15のレリーフ
穂先下
最後の直登。下部チムニーは右から回り込んで登った。
上部チムニー付近ではスリングに誘われて右へ行ってしまった。1段登った後左へルートを修正した。
山頂からの槍ヶ岳山荘方面
3連休の紅葉シーズンのため、登山客でにぎわう。
槍ヶ岳への登山道よりルンゼを下る
小槍基部と同じ高さまで下り、トラバースする。
小槍基部
カンテを登り、途中からクラックを目指してフェースをトラバースする。このフェースにはハーケンが3ヶ所あった。
身体ごと入れるクラックを抜けた先にしっかりとした支点がある。さらに5mほど上部にもしっかりとした支点がある。ここが懸垂下降の支点でもある。
小槍からの懸垂下降
小槍から降りてきた時点で16時を過ぎていたが、続行することにした。
孫槍のフェース
小槍・曾孫槍が見える。
孫槍ピークからの眺め
雲海に沈む夕日
孫槍ピナクル
ここから大槍取り付きまではフリーでクライムダウンした。
大槍への1ピッチ目
槍ヶ岳山頂
頂上に打ってあるリングボルトを確保支点にした。
なんとか明るさが残っているうちに登頂することができた。
槍ヶ岳山荘
槍ヶ岳山荘より水俣乗越まではしごが多く、水俣乗越からは傾斜のきついザレ場。
ザレ場の下りでは踏み跡が出てくるまで気が抜けない。
3日目:10月9日 晴れ
テン場周辺の紅葉
1日目の沢装備は乾いていないため、着るのがつらい。
千天出合の高巻後、振り返る。
写真左にフィックスロープの小高巻ルートがある。
水俣川出合にある吊橋近くに続く高巻へロープを伝って上がる。
水俣川の紅葉
湯俣到着後は早足で下山。高瀬ダム16:15到着。
高瀬ダム~七倉間のタクシー通行時間はこの時期6:30~17:00だが、高瀬ダムに待機しているタクシーは16:30七倉に引き上げるそうだ。間に合ってよかった。
(S田)
水俣川と天上沢の沢登りは、何度も急流の渡渉をしたり、高巻きやへつりなど、5月の時期よりもかなり大変でした。
湯俣から北鎌のコルまで、水俣乗越から湯俣までの沢歩きをカシミールを使って測定してみるとトータルで24kmもあった。
しばらくの間は河原歩きしたくないです。
北鎌尾根が終わって本命の?小槍から槍ヶ岳の登りでは、ルート図をザックに忘れて少し焦ったけど、3000mを超える場所での絶景クライミングは気分爽快でしたね。
やがて槍ヶ岳山荘が雲に隠れ、雲海に浮かぶ小槍と大槍はとても幻想的な風景でした。