2002/5下中旬 丹沢・キュウハ沢
入渓点
腰を下ろしスニ-カ-から沢靴に履き替える
傍らをゆく清い流れにこれからの山旅を想う
空は青く、新緑が目に映える
これだから山は止められない
レッツビギン!さあ、始めよう
今の僕らにためらいなんて言葉はいらない
考えたって始まらない、自然に体が反応する
誇り一つで、いつでも何だってできる。そうに違いない
ただいま、青春ド真中!
気持ちは岳道一直線!
F2 、5m
どどどどど・・・
怒り狂ったように水が流れる
その姿を見て俄かに躊躇する
重低音の音響と共に瀑風が頬を撫でる
息も詰まる迫力だ
しかし取り付きは向こう正面
こんなところでひるんではいけない
思いきって滝壷の淵をぐるりと回って滝の右側に取り付く
半身はこの時点で滝の洗礼を受ける
背筋がゾクゾクする
期待と感動と冷たい飛沫が体を奮い立たせる
熱い。熱いゼ!こんな瞬間に出会えるんなんて最高だ
奥歯を噛み締めながら思わずニヤリと微笑んだ
キュウハの大滝
左に四町四反ノ沢を見送ると正面にさらさらと美しい キュウハの大滝が見えてくる
由緒正しき鉛直に落つる大滝は左のチムニ-状 を行く事になる
水流と離れ、陰惨とした暗い岩溝の中に入ると 残置スリングが垂れている
暗がりに目が慣れたらエッジを拾い、バックステップを使いながら スリングに手を伸ばす。さて、ここからが核心だ
小さなホ-ルドを頼りにフリクションで 体をズリあげていく
心地よい緊張感。陶酔できるひととき
チャレンジに手加減はいらない
この手と足とハ-トだけが頼りだ
燃えるココロに体は突き動かされる
やったろうじゃん!
登り切って口にした沢水は歓喜の美酒の味がした
ナメ
しばらくは心地よい沢歩きとなる
困難さは感じられず、ただただ瑞々しい流れに逆らいペタペタと、 時にジャブジャブと、はたまた滝のド真ん中を わざと濡れながら登っていく
体が疼く
不思議と疼く
なぜだろう。この沢の流れのせいだよ
滝の飛沫を浴びながら叫びたい衝動を押さえることができなかった
「ファイトォ-!イッパァ-ツッ!」
あぁぁぁっ。この上ないスッキリ感。
日本人なら、わからないはずなどない
あははは・・・何度でも言ってやるぜ!
「オレは山が好きだぁ-!」
「青春のバカヤロォ-!」
2段、10m滝2段・10m
下段は左。
上段も流れの左を登っていくことにした
下段は問題なかったが上段はちょっと緊張する所だ
沢にはモチロン道標などない
自分で何処を行くのか決めるのだ
行き詰まってもあながち間違いではない
次の一手を探し出す努力を惜しまなければいい
さあ、みんな。オレたちはオレたちだけの道を探そうぜ!
そうさ、まだまだ人生これからってヤツさ!
オレたちみんな無限の可能性を秘めているんだ!
信じないのかい?
机にかじりついてなんかいないで、さあ飛び出そう!
キミの歩いた後に道ができる
そうに決まってるじゃあないか!
詰め
本流は大ガラン沢との出合を左に行く
そこからは涸れ沢となり、3mのチョックスト-ン・10mの登りを終えると
後はただひたすらガレ沢を丹沢山に向けて詰めていく
楽しい沢遊びの後だけにこの登りは苦しい所だ
苦しくたって、辛くたって、悲しくたって・・・。
オレたちには明日があるじゃあないか!
青春には苦い想い出のひとつくらい、つきものさ
苦しいなら額に汗して乗り越えればいい
辛ければ辛いほど喜びは大きいはずさ
悲しければ素直に声を出して泣けばいい
我慢なんかしなくて良いんだ!
涙はココロの汗さ!
さあ、オレたちと一緒に山に向かって走ろうぜっ!
・・・つづく(かも)
sak