秋葉大権現 【5.12b】
ロープのかかっている秋葉大権現の下部.ここがどれだけ苦労したことか.ロープとヒノキの線が鉛直方向なのでそこから被り具合がわかるかな?写真の撮り方がへたっぴですみません.
秋葉大権現は右側ののっぺりした壁を登っていきます.わかりづらいよな~
4/22 U先生のビレイ
北落師門の報告でも述べたけど,河又から転戦してU先生が取り付いていた課題だった.北川はチャートと聞いていて,個人的にはチャート以外の岩場の課題に挑戦したかったから遊び気分でここに来たのだけれど,【秋葉大権現 5.12b】で"課題見て登りたくなっちゃう"病を発症.
被ってはいるけれどパッと見た感じホールドがシンプルで壁がスッキリとしていた雰囲気に惹かれ,グレード的にも自分にとって多分限界ギリギリで,もしかしたら登れるかもしれないし登れないかもしれないしという難易度だし,課題を見たらとにかく頭から離れなくなってしまった.こういうのを惚れちゃったっていうのかな?登山していて景色を眺めていたら,強烈に印象に残ってとにかくその山や壁を登ってみたいという衝動ってありません?そんな感じというか...
この日触った【北落師門 5.12a】は軽く片付きそうな手応えだったので,とにかく早く片付けて挑戦してみたいと思ったのでした.
5/4 4トライ(ヌン掛け含む)
この日は,K崎さん,Hさん,Tさんと一緒に北川にやってくる.一便目はまず下からとにかくヌンチャクを掛ける.こんなグレードは自分にとって限界ギリギリなんだから迷わずとにかくかける.
二便目.U先生はハング越えのムーブが難しいと言っていたので1ピン,2ピンにプリクリしてトライ.下部は全然わからない.あんまりこだわっても仕方ないので中間から上部にかけても整理する.中間部までホールドは細かく指にかかるところを探す.上部のホールドはそれまでと比べよくなるが被っているし下で消耗すると繋げられるかなんて自信は全くない.ただほぼ各駅停車ではあったけど終了点までは到達.
三便目.やっぱり下部が全然ダメ.ハングを超えたガバをU先生がどう取っていたかもよく覚えていない.この日来ていた別パーティの方が右で取ってましたと教えてくれる.その方は左で取ったそうで多くの人は左で取るみたいだそうな.う~ん,解決すべきところはいっぱいあるのでここはひとまず後回し.
四便目.このルートは2ピン目をクリップするまでと4ピン目のクリップが問題になりそうということが大まかにわかる.後はどれだけ消耗しないで上部までこれるかな~そんな感じでこの日のトライを終えたのだった.
5/21 5トライ
U先生と約2週間ぶりのトライ.正直5月の連休と前週の土日を使えなかったのが痛いな~と思っていた.ちょっと梅雨入り前に片づけられないだろうな~,まあ秋に繋げるムーブ固めのつもりでやってくる.岩のコンディションは湿気り気味.ヌメっていてアップの10bでものの見事にフォールするくらいだった.
下部ハング越えのガバ取りが決まらない.U先生にガバを取りに行く手前のホールドの持ち方のコツを教わりほんの少しだけ前進した感じを掴む.この日来ていた他の人の話も参考にさせてもらい,どうやら自分にとってガバ取りは右手出しの方が良さそうとの結論に達する.ここばっかやると指や手を痛めそうなので,中間部から上部もトライ.4ピン目のクリップムーブまで繋げられない.まだまだ解決すべきところはいっぱいである.わずかに前進.そんな一日だった.
5/24 3トライ
パートナーはHさんと.この春三回目の平日有給カード切り.仕事の有給が取れそうなのが今年はもう最後だろうということでひとまず使う.休暇ってそのためにあるし手は尽くさないとね.
下部ハング越えのガバが止まり高度を上げる.しかし4ピン目どころか3ピン目を掛けるのがやっと.それでも前回から一歩進んだ感じ.その後のトライでは手がヨレハング越えの精度が下がる.それにしても4ピン目のクリップはおっかない.保険で長いヌンチャクを掛けているが必ず長ヌンに頼ってしまう.21日からのインターバルが短いせいか体がヨレるのも早い.3トライが精一杯だった.
5/27 2トライ
U先生,千葉のSさんと北川にやってくる.U先生に24日に右手でハング越えのガバ取りができたことを報告.そして実践したら1トライ目で止める.しかし2手先で足がスリップして2ピン目までには至らず.岩のコンディションは予報と違い雨がなかなか上がらずあまりよろしくなかった.自分のコンディションとしても1トライ目でなんか左腕に痛みが走り,おんなじ課題ばっかやってるから左指も痛く,岩場に通うインターバルも短いので体は全体的にヨレ気味.こういう時は無理をせず,この日は2トライで終了.ただ,U先生から上部のムーブでヒントをもらい一手短縮することがわかる.まぁ,明日明日.
一緒に来たU先生は【ルンルン・ヒロシ君 5.12a】を湿気った悪いコンディションの中,気合のRP.思った以上に苦労したみたい.途中危うくグラウンドフォール寸前という場面がありながらの果敢なトライだった.それにしてもビレイは止められてよかった~,ふぃ~~.
千葉のSさんは【北落師門 5.12a】で楽しんでもらえたみたい.また秋に来ましょうね~と言ってこの日はお開きとなった.
5/28 3トライ
近くで一泊して連日の北川.岩のコンディションとしては前日よりましな感じ.後から来た人たちは「濡れててわるいな~」なんて言ってたけど,じゃあ昨日来て「昨日よりいいっすよね~」って言っている我々っていったい,,,?自分の体のコンディションは左の指が痛い!
下部のハング越えは精度が上がらない.指も痛くこの日は早々に諦め,4ピン目のクリップムーブを探る.途中ハングのガバを”取ったとして”から始めてムーブを起こす.写真で見るとそうでもないが,突っ込んでいくとランナウト(3ピン目と4ピン目の間隔が空いていて)していて怖い.ホールドも小さいのでなおさら恐い,怖い.怖いけど,それでもかまわず突っ込まないと登れない.だから怖い気持ちをねじ伏せて気合で突っ込む.
そうこうするうちに,指の置き方,足を置く位置,足と腰の使い方が少しずつ分かってくる.とっても繊細な動きだけれどクリップムーブはなんかこれかなというものを掴んだような気がした.それでも今後は湿度も上がるだろうし,来週晴れるとも限らないし完登は秋かな~なんて思っていた.
U先生は昨日の勢いを落とさずに【錦ヶ浦 5.12c】をRP.やっぱりね.落とすと思ってましたよ.口には出しませんでしたけどね^^
6/3 下部5トライ,トップアウト1回
今週のパートナーはOさん.自分の予想では来週末は梅雨入りしていそう.登るなら今度の土日なのだけれど,正直全然登れるって思ってなかった.じゃあなんで土日来る予定を立てるんだろう?
それは多分ダメだと思ってても手を尽くさないと後悔するって経験上知ってるからか?結果も大切なんだけど,いい結果を得るにはいい過程も大切.手を尽くしていれば,もしこの先いろんな状況が重なってこの課題をクリアできないとしても自分のココロにケリをつけられる,そういう感じかな?
前回までのトライでようやくムーブが全部ばらせた気がしたので今日の課題は2ピン目からのプリクリップでなく,1ピン目からのプリクリップでスタート.これが安定してくればようやくRPが見いだせるのでは?と思っていた.
案の定というか,予想以上というか,1ピン掛かった状態でとっても苦労した.まずはビレイヤーの位置で腕や体がロープにあたってしまいハング越えができない!それからホールドを取ったとしても微妙にロープにテンションがかかり助けられているみたいで,下部のハングを抜けたとしても気持ちがなんだか晴れない!!
この日は途中のハング越えのガバから繋げて初めて4ピン目のクリップがかけられる.それにしても,お助けの長ヌンチャクを掛けていたら突っ込んでいったときに長ヌンが邪魔でしょうがなかった.あー怖い怖い.あんな怖い思いはしたくないのでいよいよ長ヌンチャクは外したのでした.岩のコンディションは今までで最高.人は我々のみ.しかし今一つ気合いが乗っていなかった.こういうコンディションで落とせないのが実力か?いい条件って早々続かない.機会の窓ってそんなに開いてない.やっぱり完登は秋になっちゃうかな~??そんなことを思いながらも,U先生に連絡を取り明日の北川トライの段取りを組むのであった.
6/4 3トライ RP
今までの北川通いでここの岩場の傾向がわかるようになってきた.ここは西向きのため,午後遅くなると岩が暖められてコンディションが下がる.昨日は乾燥して適度な北風が吹き,乾き具合は私にとっては最高だった.今日これからどうなるかはわからない.朝一番にU先生と到着した時には誰もおらず,岩の乾きも昨日と同様な感じがした.勝負になるのは昼前までかな~?そんな風に思っていた.
この土日の前の平日は体を休めてスポーレでのクライミングはお休み.アップだって指にあんまり負担を掛けたくないから,5.8を時間をかけてじっくり四肢を動かしながらゆっくり登る.昨日は課題に対して気持ちが散漫になっていた気がする.アップが終わったら下部のムーブを頭で再確認.今までやってきて取れているんだからあとは気合いだ.気持ちが集中できなければいい結果なんて得られない.完登するための手立ては尽くさないと.
1便目.頭で描いていたのは,「昨日は思いっきりが足りなかっただけなんじゃないか?」ということ.「集中,集中」と胸の中でつぶやきながらスタート.ハング越えのガバをきっちり右手で止める.安定して体を引き上げ2ピン目も落ち着いてクリップ.3ピン目下のガバ取りもうまく決まる.「あー乾いてる.こりゃコンディション最高だ!」と思いながら3ピン目にクリップ.さあここからと頭を整理していざアタック.ホールド,足さばきも落ち着きいよいよ4ピン目のクリップ.親指添えて,肘を伸ばして,腰を入れて,ロープをヌンチャクにかける.「落ち着け,落ち着け」と唱えながら足を置きかえて右手を出す.右手が止まる.ここで5ピン目にクリップ!と思ったのだがうまくかけられない.左足がミシンを踏む.「くそっ!落ち着け!」と唱えて左手を添えてから再度クリップ.しかしここで力尽きる.「はぁ~っ!」
これでコンディションが良ければ秋には登れることを確信する.上まではもうわかっているので下まで降ろしてもらう.U先生からは「登っちゃうかと思ったよ~」と言われるが,自分ではこんなもんかなと思っていた.それより下部から繋げて最高到達点まで登ったことが素直に嬉しかった.
2便目.「下部がまぐれだったかも」と弱気なココロと闘いながら,「気合い,気合い!」と気持ちを鎮めてアタック.下部のハング越えは余裕をもってとめられた.1便目よりも全体的にわずかに余裕がありながら4ピン目のクリップもこなす.足を置きかえてさっきのところを右手で取りに行く.今度は右手が浅い!ここでもたつき同じところでまたもやフォール.さっきは足が気になったせいか右手取りが散漫になってしまった.でも原因はわかっているから修正するだけだ.それはジムでも散々やってきたこと.秋には間違いなく登れるとの思いを強める.
北川では雉打ちは旧小学校のトイレを利用する.正午近くで旧小学校へ降りる.カラッとした天気でコンディションは絶好だ.このとき下に降りたら少しささくれ立っていた自分の気持ちが少し落ち着いた.この日は多くの人が規模の小さい岩場に来ていて,それを少しネガティブに捉えていたけれど,なんかうまく気持ちを切り替えられた.
3便目.相変わらず下部に自信は持てないものの,「気合い,気合い!」と集中してスタート.あっさりハング越えのガバを止め,流れるように3ピン目まで体を上げる.レストも落ち着いてできている.足の位置を確認して上部へアタック.4ピン目に澱みなくクリップしていよいよ鬼門の右手出し.エイッと右手を出してみれば今度はいいとこに右手がとまる.ちょっとだけ左手を添えて休ませてから5ピン目にクリップ.その後は予定が狂って考えていたのとはちょっと違った態勢になることも...「大丈夫,大丈夫」と唱えながら腰を寄せ,「落ち着け,落ち着け」と気持ちを鎮めて登っていく.カンテ越しにガバを掴み右足を決めて7ピン目にクリップ.棚の上に上がり一息つく.「はぁ~っ」.最後に乾いて登りやすいスラブを登り終了点に到達したのでした.
正直梅雨入り前にこの課題を登れるなんて思ってなかった.パートナー,天気,いろいろな幸運が重なってできたと思う.人工壁でも登っていれば一定のグレードまで登れることが証明できた気がする.これで秋までゆったりしたペースで課題に取り組めるかな~と思うのだった.
自分にとっての目標からは随分違う道を進んできてしまっているような気がして複雑な気持ちになることもあるんだけれど,世の中で起こることってそんなことばっかりだ.だから数年前は考えてもいなかったことを成し遂げられたことは受け入れて,周りの人たちや環境に感謝した方がいいのかなぁ~?
それにしても最終日は胃が痛かった.フリークライミングは根を詰めすぎると体に悪い??
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