1999/9/下旬 丹沢・塔ノ岳
突然、1日のお暇をいただける事になった。
「じゃあ、山か?」そんな事から今回の山行は決定したのである。
決定が前夜だった事もあり、準備不足は否めない。 何処に行くか苦慮したが、ちょっと気になる事があったので、 丹沢・塔ノ岳に行く事にした。
ここ丹沢は自身3度目の訪問となるが、いつ来ても新しい発見、感動がある実に懐の深~い山域なのだ。
何百回も塔ノ岳に巡礼している方々も数多く居られるのも頷ける。
登山道は樹林の中を緩やかに登る。
こうして樹林の中に 身を置くと、さらさらと涼しい風が気持ち良く、日差しは夏のように強くとも、やさしく秋を感じさせてくれる。
あっ、ネコだ!
堀山の前後から急登と緩登の繰り返し。
「堀山の家」前で小休止。ひたすら登りが続くと聞いていたが、ちょっと拍子抜け。
そんな事を考えている所になんと、「ネコ」が登場。
「ネコ大好き!」な私は思わず写真をパチリ。
ひたすら登る階段の急登
ネコに「さよなら」をしてから 55分ほどで花立山荘に着く。
しかし、ここまでの登りはきつかった。 急登の階段をひたすら登る。前半、甘く見ていた為、モロにカウンタ-パンチを 貰ってしまった。
塔ノ岳が眼前に迫る
反面、急登になってから展望も良くなる。右に表尾根、左に鍋割山、正面には 花立。それを越えると塔ノ岳が眼前に現れる。
塔ノ岳山頂から丹沢山、蛭ケ岳
丹沢の盟主塔ノ岳へは花立山荘から 30分で到着した。
霞と雲が多く、景色も薄ぼんやりだが、雲に浮いた富士山、 丹沢の主たる山の稜線、360度の大展望が素晴らしい。
山頂の休憩は小休止。なぜかって?実は本日の目的地はここではないのである。
木ノ又大日「木ノ又小屋」
山頂から20分。ここが本日の 目的地、「木ノ又小屋」である。
事は前夜に遡る。ネット上でお世話になっている「歩荷もどき」さん <HP:「木ノ又便り」主宰>が小屋に入るということを知り、 私が、一方的にお伺いしようと決定したのである。
窓が開いている。中から楽しそうな声がする。
かなりドキドキものである。
いきなり「もどきさんですか?」は失礼か?じゃ、ジュ-ス買うふりして さりげなく聞いてみようか?(瞬間の心の葛藤)
そんな思いが交錯する中、思わず口にしたのが「小屋の方いらっしゃいますか?」という一言。
何とかそんな具合で挨拶を交わし、初めてネットで知り合った方とお会いできたのである。
「テッちゃん」<HP:「低山山歩」主宰>ともお会いでき、 時を忘れて歓談。
初めて逢う方達なのに、古い友人に久しぶりにあった。そんな気のする不思議な出逢い。
あっという間に時は過ぎ、もう時計は2時近くを指している。
下山は皆さんにお誘い頂き、一緒に 「木ノ又新道」へ取る事にした。
地図をよ-く見るが見当たらない。何処だろう??
それもそのはず、「地図には載っていない!!」のだ。
ここは、もどきさん達がここ4年で開拓してきた新しいル-トなのである。
木ノ又小屋から尾根つたいに水無川本谷F5へと下り、書策新道に合流する。 ・・・らしい。
小屋からその登山道への入り口は不気味にヤブに覆われて、その先に道があるとは・・・。
木ノ又キレットの通過ヤブありザレガレあり、キレットあり。 なにより静かな山歩き。なんだかとても楽しい。
笹ヤブをかきわけ進む
赤テ-プやロ-プが設置され、踏み後も確認できるが、 判然としない部分が所々にある。気を抜けない所だ。
幸い、開拓者のもどきさんの的確なアドバイスと、テッちゃんの巧みなリ-ドの為、不安を感じる事は なく、むしろ楽しい感情だけがくっきりと浮かび上がってくる。
沢の音がボリュ-ムを増してきた。
小屋を下り始めてちょうど1時間、水無川本谷・F5(滝の名称)近くに 降り立つ。
さわやかな沢の空気、心地よい沢の音。紅葉の時期はさぞかし 美しいであろう。
一同ここで小休止。
堰堤兼林道。ここまで来ればもうすぐだ戸沢の林道終点へは更に1時間、 薄暗い杉の植樹林を緩やかに下る。
堰堤をかねた道路を越えると駐車場が 見えてくる。この山行も終わりに近づいてきた。
山との出逢い、
人との出逢い、
道との出逢い、
そしてその先にある邂逅。
~そんな想い出と出逢いは
褪せる事なく私の宝物になる。~
sak