2018/8/4(土) 天気:晴れ
メンバー:K会長,szt
装備:ロープ(8mm×30m),カムC0.1~0.75(未使用)
4:00前つくば発→6:42余慶橋発→7:01火打石谷出合→8:14 10m兆子ノ滝→8:47不動ノ滝→9:26 14+4m滝→10:05ねじれの滝→10:52岩岳沢出合→12:31 1310m支沢出合→13:56稜線登山道→16:52余慶橋
あー暑い.台風一過はだいたい涼しくなったような気がするけれど,盆前の台風はそんなことお構いなしか?こう暑くては気分は完全に沢モード.ようやくエンジンがかかってきた気分.暑さに負けてなるものかと今週も沢登り.行った先は前から気になっていた小常木谷.滝の登攀でも身が引き締まるのではと期待して沢に向かうのであった.
去年火打石谷を遡行した時は登山道の途中のルンゼ上を川めがけて下ったが,出合に登山道が降りてきていた記憶があったので今回は登山道を火打石谷出合まで忠実にたどる.思った以上に大高巻きで7時前なのに暑さもあって登りが意外にツラかった.これならすぐに沢に降りた方が良かったかも.
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火打石谷を渡ってもしばらくは道通しの方が楽そうなので数分道を辿り,確か2本目?の橋の下から小常木谷へ入渓する.
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相も変わらずガイドブックをパッと見ただけでどういう沢か概略をつかまないまま現地に来ており,メインディッシュの置草履の悪場まで長いな~と思ったらそこまで1時間半くらいと書いてあるではないか.兆子ノ滝までは特に悪い箇所もなく淵やゴルジュや小滝が出現し,適度に水を浴びることができて気持ちがいい.
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水を浴びて浮かれたのかやけに息が上がる気がしたので出合から1時間ほど歩いて小休止.もうちょっと歩くんだろうな~と思ったらすぐに花ノ木沢出合に到着.何だ意外といいペースじゃん.息もあがるわけですな.
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出合から5分ほどで兆子ノ滝に到着.ここで先行の3人パーティに追いつく.
さあここからメインディッシュ?置草履の悪場である.下の写真で登っているのは先行パーティの2人目.
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兆子ノ滝は左の凹角に残置スリングが見え,ガイドブックにも左の凹角状を登ると書いてあるが,先行パーティは落口の左へ直登している.スゲーな~.登りを見ていると途中の岩の乗越がおっかなそうなので,わたくしは残置のありそうな左の凹角を登る.凹角状には残置ハーケンも適度にあり無事通過.落口へ向かうと支点構築がめんどくさそうなので,直上しトラロープの巻かれている樹に支点を取る.フォローのK会長には落口にトラバースしてもらい,私はそのまま樹を支点にして懸垂で沢に降りる.
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兆子ノ滝上部には流木がたまり,上部のトイ状は流木を使いそれほど苦労せず通過する.K会長は流木にしがみつき,ハンマーも駆使してクリア.流木はゴム底の靴だと滑るんだよね~.
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滑り台状8mの滝はK会長は水流右を突破.これを見て意外に悪そうと思い途中で水流を横切り,私は左から突破したんじゃなかったっけ?ちょっと忘れてしまった.
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不動ノ滝12mに到着すると,先行パーティは右岸のルンゼ状を巻き気味に登り,一旦ピッチを切って樹林帯を滝の落口へトラバースする様子.パッと見た感じ左岸の支沢からの巻きが楽そうなので,こちらは待つこともなく左岸から巻きにかかる.
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写真ではわかりづらいが,支沢は途中バンド状になっておりそこまで上がることは容易.バンド状から灌木帯までのトラバースは滑りそうだしホールドも少なそうなのでここからロープを出す.途中灌木の株で支点をひとつ取り,(確か)大きな檜でセルフを取る.トラロープもぶら下がっているが,よく見ると倒れ掛かった小さな枯れ木につながっている.こんなの掴まらないでよかった~.
不動ノ滝の先にも滝があり,まとめて巻けるようだが一旦落口へ向かい懸垂で沢に降りる.ロープをばらすのも面倒なので次の5m滝はロープを着けたまま登る.良く探せばスタンスがあり,落ちてもちょっとした釜なのでグイグイと押し切る感じで登る.ここで先行パーティを抜く.下の写真は5m滝上から.
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滝上からビレイをしていて巻き道を見たが,そこそこの高さがあり悪そう.ここは一旦懸垂で沢に降りて正解な気がする.
その先の5m滝を通過すると,,,
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14+4m大滝に到着.ここで小休止.後続の3人パーティが来るかと思っていたが,休憩しているのか我々が先に大滝に取り付くことになりロープを結ぶ.
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下段の4mは容易.上段は水流沿いがホールドが少なくパッと見た感じ悪そう.左の壁に3本程ハーケンが見えそのうち1本には長いスリングがぶら下がっている.どこがいいのかは良くわからないが,とりあえず目立つ支点のある方へ進む.フットホールドは少し滑るもののツルツルまでには至らず,ホールドも左壁の方がかかるものがありそうな感じ.3本目のスリングがかかった支点にヌンチャクを掛けるまでは比較的余裕をもって進むことができた.ぶら下がったスリングにヌンチャクを掛けたところでヌンチャクをちょっと握って一服.これってA0になるのかな?ただここから腰を引き上げるのに一工夫.ヌンチャクを掴んで上がるのは最後の手段にしたいから,フットホールドを必死に探して残置ハーケンに体重を思いっきりかけずに落口へ抜ける.上部はハーケンが連打されていたのでここを支点にしてフォローをビレイ.ここが嫌ならもう少し登ればビレイできそうな灌木がありました.
大滝をクリアするとねじれの滝が出現.
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下段の2条8mは左壁に取り付く.ここも残置ハーケンは豊富.途中で2条左側の水流に近づき,水流そばの窪んだところをおもいっきり靴のフリクションを聞かせてクリア.ここはラバーでよかった~と思うところだった.支点にできそうな残置ハーケンがあるため一旦ピッチを区切って会長に上がってもらう.
次の上段は左の水流沿いを登った記録もあるようだが,私が見る限りとても突破できる気がしない.左の側壁沿いがクラック状になっていると情報を得ていたので,ここでカムの出番かと思ったがちょうどいい間隔でハーケンが打ってあるではないか.おまけにカムを効かせるにはちょっと小さいかな~という印象.ひとつ前の大滝ではクラックが大きすぎてカムを効かせず登ったし,今回もカムはただのおもりと化してしまった.
残置ハーケンがあるのはわかったが取り付きから一段上がるのにちょっと苦労した.会長はフォローで登るときロープをおもいっきり引っ張ったとのこと.わかる気がする.一段上がればコーナーに決まっている残置ハーケンでプロテクションが取れるから幾分緊張は和らぐ.落ち着いてホールドを探しフリーで通過.上部にもハーケンは連打されておりここを支点にフォローをビレイする.ちなみにビレイ点からはこんな感じ.
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フォローの会長は残置ハーケンとスリングを使い,熟練の技で2段目の滝を通過.さすが,山歴50年は伊達ではないのだ.このねじれ滝,左岸から巻けるようだが,滝に降りるところはガレていて悪そうな気がしたけど踏み跡があるのかな?
これで置草履の悪場は終了.岩岳沢出合に11時前に到着した.
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事前の打ち合わせでは,ここまでで遅くなっているようなら岩岳沢を詰めるということを話していたが,まだ12時前ということもあってガイドブックに載っている1310m支沢を目指すことにする.
12m滝は水流右を直登.落口の抜けるところが少し嫌らしかった.ロープを出していたので,手前のどこかにプロテクションを取るべきだったと少し反省.
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8m滝は途中まで滑りそうなうえ,落口に向かって立っているように見えて手強そうな感じがしたが,水流右を登っていくとホールドは豊富で見た目以上に易しかった.一応ロープは出したけどね.
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6×8mはウォータースライダーできそうで楽しそう.
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途中右岸にこんな支沢を眺めつつ本流を詰めていき,,
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時折あらわれるナメ滝に癒される.
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左岸から流れ込む沢を見送ると,,
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なんともシャワークライミングにもってこいな滝が出現する.会長は左から巻いていたが,ここが最後の水遊びの予感がしたので淵と水流に突っ込んでいく.
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途中から会長も水線に合流し,,,
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この滝も水流を直登し,その先で...
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1310m支沢の出合となるのでした.
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詰めていった支沢はこんな感じ.
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伏流水となり水が果てるが,少し進むと細いものの水が再び出てくる.
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稜線登山道にむかってガレた沢をつめるが急傾斜と暑さも重なって登山道までがなかなか遠い.
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稜線に近づくと密笹薮との情報だったが,笹が枯れていることもあってあまりつらさは感じない.枯れているから踏み跡っぽくなっていることもあって,歩きやすいところを辿っていくと,,,
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14時頃,稜線登山道に到着.装備をバラし,登山道を下る.
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登山道は意外に長く感じられ,基点Pの余慶橋に着いたのは17時近くであった.
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途中会長のキノコ教室が開催されるほど,下山路はキノコ狩りの様相になる.ここでチタケ,オオイチョウタケ,タマゴタケを教わる.真夏でもこんなにキノコがわんさか採れるとは予想外だった.
沢の遡行自体は,置草履ノ悪場で概ねの滝を登ることができて大満足.登攀力のあるパーティならすべての滝を直登できるのではないだろうか?立った滝に巻き道もあっていろんなパーティが入れると思うが,やっぱりできるだけ滝を登った方が充実する沢のように感じた.会長の体力と技に感謝の一日だった.
szt