禍中の先に
波は繰り返す。
小さく、時に大きく。
そして嵐は次第に凪へと移り行く。
嵐もいつかは収まるもの。
混乱の渦中にあっては、その先の準備の話をしようと思う。
◆点検
年始からの山控えモードな日々。
今まで、酷使してきたガチャ達の点検と交換をしようと思い立つ。
山に行ったつもりで、交通費予算を新しいギアに費やすというのもアリだ。
まずは、カラビナやクイックドロ-のすべてを「キーロック」にした。(オレンジ色は個人所有の識別マーキングです)
ちょっとしたことだけど、煩わしいあの一瞬はリスクでもあるのだ。
さようなら、ピンロック。
これからは残置用として余生を過ごしてもらおう。
それから酷使しがちな懸垂下降用のオートロックカラビナもロープによる摩耗跡が見られたので交換。
一番手元で活躍してきた手に馴染んだカラビナなので、別れ難いものはありますが命にかかわるものですからね。
今まで、ありがとう。
ビナ購入の検索ついでにカラビナとロープの見識も深まる。
予想外の効果だ。
なるほど、ためになりますなぁ。
@テクノロジーが進歩しても、カラビナの強度が変わらないのはなぜ?
@使い方を誤れば、カラビナは簡単に壊れる
@クライミングロープも簡単に切れる、なぜなら…
◆導入
ナチプロ登攀を何本かこなしてカムの携帯方法について思うところあり。
ギアラックを物色。
自身、今まではテープスリングを襷掛けにして使用していた。
こうするとカムが下の方に集まってしまい、登攀時に足の邪魔をする。
しからば、とデイジ-チェ-ンを襷掛けにしてみたが、ラックとなる部分が小さく柔らかいので整理しづらい。
やっぱり、ギアラックがいいかもなぁ、と思い至ったわけである。
携帯性や軽さなどもさることながら、カムを1セット以上必要とする場合を想定。
メトリウス マルチループダブルDギアスリングにした。
脱着可能なオプションコードも含めると5つのラックがあってサイズごとに仕分けができそうなのが決め手だ。
ピッチごとのパートナ-への受け渡しも可能。
足上げに干渉する位置にカムを掛けなければ、足上げもノーストレス。
これからトライアンドエラ-を繰り返して創意工夫をしていくのが楽しみ。
◆故障
今まで使っていたカメラが動かなくなった。
少し前から調子が良くなかったが、まぁ寿命だろう。
なんと2003年発売の年代物だ。
なぜ、相当に古いこのカメラを使い続けたか。
答えはシンプル。
片手で操作可能な防水カメラであるという点だけで使い続けてきた。
もちろん、すでに生産は終了しメーカ-修理も受け付けていない。
沢登りはもちろんアルパインや雪壁のすべてで活躍してきた。
画像は今のスマホに比べ見劣りするレベルだが、撮りたいときにすぐ取り出して撮影できるところがいい。
それこそビレイしながら、登攀しながら片手が空けば撮影可能だった。
さて、これからどうするか。
防水対応カメラを家電量販店で手に取り使用感を試してみる。
しかし「片手で」となると、これぞ!というものがない。
いっそ、GoProでユーチュ-バ-でも目指そうか(笑)
と冗談半分で思ってみたが、動画から画像を切り出すものアリか。
いや、しかしわざわざ切り出すのが面倒だな。。。
などとウェアラブルカメラも視野に検索して見つけたのがこれ。
CanonのiNSPiC REC
「手軽に写真を楽しむアソビカメラ」というコンセプトらしい。
防水、耐落下性能は基本性能としてアウトドアでは欠かせない。
そしてデジカメでありながらモニタ-がない、という潔さ。
当然、その分小さくて軽い。
本体の四角く開いたフレ-ムが(おおまかの)ファインダ-となっていてカラビナ構造にもなっている。
なんか、使い捨てカメラ「写ルンです」を思い出す。
価格も15,000円ほどとお手頃なのが嬉しい。
もちろん、構図にこだわった写真を撮りたい方には物足りませんが、余裕のない核心部での記録写真優先なら、断然アリです。
近所の公園で試し撮り。
フィールドでの使い勝手が楽しみな日々。
◆未練
それでもやはり、諦めきれない。
あの手にしっくりとくる、ホールド感。
で、見つけましたよ。サイバ-ショットDSC-U60。
メルカリで。
もう、ジャンク品(故障した部品用)以外で見つけるのは諦めかけていました。
しかも破格の2,100円。(笑)
手にするこの感じ。
これまで培ってきた山での携行ノウハウも活かせるのが嬉しい。
実は、これで3代目。
私にとってこれが最後のU60になるでしょうね。
◆目標
目標は必要だ。
自身のモチベ-ション、日々の過ごし方も目標あってこそ。
先の見通せない今だからこそ、季節ごとに行きたいルートを連ねてみる。
そのために何が必要か。
研究するには今、一番じっくり取り組めるのではないだろうか。
あとは自分次第、か。
波に翻弄され、方向を失わないためにひと時立ち止まる。
禍中の先にある、標こそ私たちの未来となる。
sak