acc-j茨城 山岳会日記

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山でのあれこれ、便りにのせて


ただいま、acc-jでは新しい山の仲間を募集中です。

南伊豆・吉田海岸 魔王

2020年12月24日 16時30分49秒 | 山行速報(アルパイン)

2020/12/14 南伊豆・吉田海岸 魔王 

 

もちろん、山は好きだが、海も好きだ。
山でスカイラインを望むように、海には水平線がある。
僕らは境界の彼方に何を見るのか。

目指すはシ-クリフ。
ワクワクが止まらないのは言うまでもない。

走れ。
闇中を、南へ。

前夜、吉田海岸まで入る。
集合場所は想像したよりずいぶん狭い駐車スペ-ス(2~3台)。
往路を戻って近くの道の駅で集合し、車1台乗り合わせとして現地入りすることにした。


翌朝、車はすでに2台。突当りのトイレ脇駐車スペ-スは埋まっていた。
昨夜は見いだせなかったが、すこし手前の路側帯にも数台停められそう。
平日であることに安堵。

ちなみに1台はクライミングが目的みたい。
急いで競走みたいになるのも、なんだかなぁ。。。という気がしたのでノンビリ準備。

パ-トナ-はisiさん。
遠路、南伊豆の提案に快く乗ってくれた。
有難き幸せ。

海を正面に右の岬を越えようと、ログ風建物前の広場を行くが小川に阻まれ、結局は堤防に出て岬のコルを目指す。
先行が進んだ経路からコル左寄りを目指したが、自然と右寄り、最低コルへの踏み後に入ってしまう。
そこからは”沢ヤ”的なカンで草付きとボロルンゼを下る。(ちょっと怖い)

※帰りに分かったことだが、コル左寄り(岬側)を超えた先にはフィックスが張ってあるので安全に下れる。

大小、岩の転がる海岸を行く。
まるで沢登りのようだが、フリクションが効いて小気味良く歩ける。

今日は、2018年にガイドの木村・山下両氏が開拓した4ピッチル-ト「魔王」の登攀が目的だ。

取り付きで準備をしながら先行を見送る。
打ち寄せる波が激しく、時に波しぶきが風に舞う。
大潮なので、潮位も高いのだろう。

先行リ-ドが2ピッチ目をスタ-トしてから我々も出発。


攀じれ。
岩壁を、空へ。


1ピッチ:sak
緩傾斜のスラブから草付きバンドを伝って立ち木まで。
スラブ上部にボルトがある。
草付きバンドは問題なく歩けるが、念のため岩溝にカムで支点をとる。


2ピッチ:isi
草付きバンドを進み、右のフェイスを登る。
傾斜は立っているけど、カチやポケットがたくさんあってフリクションもバチ効き。
岩登りは良いですなぁ。って感じ。
フェイスの後は岩バンドを左へ。凹角を右上して2ピッチ目は終了。


3ピッチ:sak
凹角右のフェイスを行く。
2ピンとったら、凹角を跨いで左の岩溝に入る。
岩溝を登ると小テラス。
先行がここで切って、先を譲ってくれた。

その先のスラブ状カンテはホ-ルドが細かく少し難しい。
立木のある大きなテラスで切る。


4ピッチ:isi
ル-トの核心。コ-ナ-スラブ。
2ピンまで足が少なく怖い。
無念のA0。

その先、スラブを右へトラバ-ス。
手足が細かくペタシペタシとごまかしながら。
本来はその先も繋げるのだが、核心だけ短く切ろうというのは事前打ち合わせ通り。


5ピッチ:sak
コ-ナ-から左クラックを登りスラブを直上。
容易だが岩も柔らかいので慎重に。
念のためカムと灌木を数ケ所使う。
稜線の灌木でフォロ-を迎え、終了。


輝く海原は美しく、風が強い。


飛べ。
海原を、彼方へ。

自由な風に不自由を恵んでやるよ。
潮風に手綱をつけてやれ。

空と海の境界を見に行こうぜ。
欲しいものなんか後でいい。
必要なのはそんなんじゃない。


藪の稜線をしばらく下る。
コルあたりで踏み後がなくなったので、周辺を探すと捨て縄があった。

ここから懸垂下降。
50m×3ピッチとガイドブックにあったが、1ピッチ目は25mほどで次のラッペルステ-ション。
明らかに下の立木まで届くと思ったが、念のためここで切る。

結果としてこれが正解。

稜線の灌木は海風に鍛えられ枝張りが濃く、強靭。

そのためロープ回収時に、灌木でスタック。
isiさんに登り返してもらい、無事回収。
やれやれ。

結局、立木を繋いで4ピッチの懸垂下降。
スタ-ト地点に戻って大休止。

白波立つ海岸で装備をしまいながら、これからの話をする。

憧れはいくつもある。
日常と折り合いをつけながら、次を目指す。
このくらいの自由が丁度いい。


行け。
この道を、未来へ。


sak


裏妙義・木戸壁右カンテ

2020年12月22日 16時42分53秒 | 山行速報(アルパイン)

2020/12/3 裏妙義・木戸壁右カンテ


11月から始まったクライミングロ-ドはまだまだ続く。
先週の太刀岡山の苦難を乗り越えて、今日は癒しの岩登り。

多少の脆さはあるけど、ホ-ルドもフリクションも支点も充実したここは初めてのマルチに丁度いい練習場。
リ-ドやツルベを実戦形式で試すこともできる。

miyさん、kumさんは新人同士でツルベ登攀。
tosさんはマルチピッチの練習メイン。sakと組んでセカンドで。


-クライミングメモ①-

「パ-ティ-を組む」ということは相手に自分の命を預けること。
決して一方的に信頼を寄せるものではありません。
互いに預けるのです。心して臨みましょう。


1~3ピッチ
概ね安定した岩場を快適に行く。
時に被り気味のところも支点がたくさんあるので思い切り行ける。
反面、支点が多く玉切れ注意。

tosさんは久々のクライミング。
ハイステップのところで逡巡。
そこは、足にね。乗り込むんですよ-。

kum-miyパ-ティ-は、じゃんけんで勝ったmiyさんから。
順調に登ってきます。


-クライミングメモ②-

岩登りは足の使い方と重心に気を配りましょう。
体が伸び切ってしまっては、次のホ-ルドに手が届くことはありません。
まず、足を上げられる場所を探しましょう。

 

4ピッチが核心。
高度感あふれるピッチですが、思い切って体を壁から離して。
しっかり足に乗りましょう。

5ピッチ~
最後の終了点手前は左の凹角ではなく右上フェ-ス。
ほら、支点があるでしょ。

終了点から懸垂下降。
スタックリスクを避け、ロ-プ一本で。

安全確実を心がけて。
途中のラッペルステ-ションは狭いので、待機場所での位置取りに注意します。


-クライミングメモ③-

懸垂下降でのミスは致命的です。
万に一つも無傷で済むことはありません。
一つ一つ、安全を確認してから体重を預けましょう。

 

下降を終え、木戸前ルンゼというオプションもあったけど、miyさんのリクエストで1ピッチ目をトップロ-プで反復練習。
フィジカルに優れたスポ-ツマンのmiyさんは腕力に頼る傾向があるので、足に乗ることを意識して登ってもらう。
あとはその足に重心を乗せることですかね。
安定すれば、両手を放すこともできますよ。

ひとしきり飽きるまで登りこんでから撤収。
表妙義の岩塔群を望みながら。

 


-山岳会メモ-

acc-j茨城は、クライミング・沢登りを中心に活動している社会人山岳会です。
あなたの華麗なクライミングデビュ-を応援します。
次はあなたが主役です!

現在会員募集中。詳しくはこちらまで

 


sak


太刀岡山左岩稜(中退)

2020年12月20日 22時36分22秒 | 山行速報(アルパイン)

2020/11/26 太刀岡山左岩稜(3P中退)


道半ばにして、無念の中退。

中退というと、ネガティブな印象が強い。
だけど、そこに至るまでの奮闘や数々の体験は無駄ではない。
価値はそこにある。


太刀岡山左岩稜は、下部のクラック、そして上部は古くから登られている開放的なリッジで構成される。
核心は下部クラック。

過去、1ピッチ目はクラックを避けて右の凹角を行った。
今回はクラックを繋いで上部に抜ける計画。
だけど、クライミングを始めて間もないメンバ-には、ちと辛かったみたい。

1ピッチ目、最下部の外傾した岩を乗越て小テラス。
そこからハンドクラック。
ジャムしたり、クラック左に重心を置いてレイバック気味に行ったり。
miyさん、kumさんはここでだいぶ腕力を消耗したらしい。

2ピッチ
以前は左のクラックに体がハマり込んで苦労した記憶。
それを教訓にあまり体を入れこまないよう、ステミングとバックアンドフットでいく。
途中体を入れ替えて、快適に登る。

3ピッチ
下部のフィンガ-クラックは足が入らず、だいぶ迷った。
クラックの左エッジを手掛かりに右エッジ足をかけレイバック。
ここは右から小さく巻くこともできるのは、後にわかったこと。

中間部のスクイ-ズチムニ-は岩上スラブへ乗らず、中を通り抜ける作戦。
どうしても最後の出口で腰の骨盤がハマって抜け出せない。
チムニ-出口の2mくらい上が少し広くなっており、そこから脱出。

上部のクラックは容易。

miyさんが登り始めるが、下部のフィンガ-クラックで苦戦している。
しばらくの奮戦。
kumさんに選手交代したが、やはり1ピッチでの消耗でかなり厳しいようだ。

ここさえ抜ければ、快適なリッジの始まり。
引き上げたロ-プをフィックスして、懸垂下降。
二人のもとに降り立ち、ユマ-リングでなんとか登れないかやってみたけど握力に確信が持てないらしい。

これでは辛いばかりだろうと、中退決定。
独り3ピッチ目をゴボウで登り返し、ロ-プセット。懸垂下降で取付きへ。

想い届かず、課題に背を向けることは、少なからずある。
「勇気ある撤退」と人は言うが、大切なのは「その後、どうしたか」

miyさんは下山後、缶コ-ヒ-のプルトップを自分で開けられないほどに握力を失っていたらしい。
店員さんに「開けてもらえませんか」とお願いしたのだそうだ。

上等じゃないか。
それほどに握力を酷使することなんて、普通できない経験だぜ。
いうなれば腕力や握力に頼りすぎた、ということ。

敗退を恐れるよりも、何もしないことを恐れろ。
壁はそこら中にたくさんある。


sak