acc-j茨城 山岳会日記

acc-j茨城
山でのあれこれ、便りにのせて


ただいま、acc-jでは新しい山の仲間を募集中です。

アイスクライミング2024 備忘録

2024年04月11日 19時32分33秒 | 山行速報(雪山・アイス)

アイスクライミング2024 備忘録

標を目指す
新たな景色を見るために

この一手は次に繋がっている
そうして、こう思う
やっぱり山は良い、と

最後に残る原動力はやはり「好き」なのだ

 

ブログ記事まとめ

八ヶ岳・広河原沢左俣

足尾・松木沢名無し沢

西上州・仔犬殺しの滝

小川山・唐沢の滝

八ヶ岳・南沢小滝


↓動画も

 


八ヶ岳・南沢小滝

2024年03月22日 12時31分22秒 | 山行速報(雪山・アイス)

2024/3/3 八ヶ岳・南沢小滝

暖冬の影響で一時はどうなることかと思ったが、寒が戻りなんとか今年ラストのアイスクライミング
とはいえ、相応の人出も予想されるのでヘッデンを灯しながら美濃戸口を出発

久しぶりに美濃戸への林道、南沢の登山道を歩く
冬型のお陰で青空が広がる
しかし、雲の流れは速い
稜線はいかほどの爆風かと思いながら、南沢小滝を目指す

メンバーは4人
いつになく賑やかな山行となった

滝の左側や中央あたりを登りこみ、それはもうおなか一杯
それぞれの課題と向き合いながら、来季を見定める


南沢大滝を見学

標を目指す
壁を乗り越えるためには、忍耐や根性も必要かもしれない
成果の裏に称賛を期待することもあるかもしれない
だけど最後に残る原動力はやはり「好き」なのだ

そうして、こう思う
やっぱり山は良い、と


sak

 


小川山・唐沢の滝

2024年03月10日 20時31分34秒 | 山行速報(雪山・アイス)

2024/2/22 小川山・唐沢の滝


唐沢の滝でアイスクライミング

計画では八ヶ岳だった
予報は雪
雪なら何とかなるかもと期待を繋いで美濃戸口まで
しかし、生憎の雨

しばらく車中で停滞も7時を回って、さすがに無理かと断念
岩根山荘のアイスツリーではどうか、という話となって移動を始める
結果として、アプローチの良い小川山・唐沢の滝に落ち着く

廻り目平駐車場はガランとしていた
さすがにこの季節、そして平日、しかも雨降りに来る人はいないようだ

傘を差しながら1時間ほど歩いて、唐沢の滝
isiさんは安定のリード
中段で薄い所もあったけど、なんとか登れるレベル
上段の立った氷でトップロープを張り数本登る

時に霙に変わったり、青空が覗いたりしたけど、概ね雨の一日
冷静に見れば、何だろうね
特異な人たちに見えるのだろうね

それでもそれぞれ過去があり、迷い、躊躇い、闘いながら今がある
雨に打たれながらの汗は、人知れず流れ消える

下山時、霧に包まれた幻想的な森を歩きながらそんなことを考えていた


sak


西上州・仔犬殺しの滝

2024年03月08日 07時53分46秒 | 山行速報(雪山・アイス)

2024/2/17 西上州・仔犬殺しの滝

数日前に春一番の報が届き、氷結状態に不安はあった
最悪、相沢や神津牧場への転戦も視野に林道を詰める

林道終点からは踏み跡程度ながら、30分ほどで氷瀑を目前にできるのだからありがたい
仔犬殺しは下部が薄くて厳しいかと思ったが、左岸から巻いてトップロープを張れば、なんとか登れた

犬殺しは滴りがひどくて氷結も甘い
取付いてみたけど、早々に諦める

あとはアバラコフやスクリュー技術の練習など思い思いに過ごして滝場を後にする
おそらく、このエリアは今シーズンこれで終了だろう

そういえば、帰宅時の出来事
妻に「どこに行ってきたの」と問われて、「”仔犬殺し”に行ってきた」と答えたら、絶句された

正しくは「仔犬殺しの滝」ですからね
くれぐれも注意しましょう


sak


蔵王

2024年02月29日 21時03分39秒 | 山行速報(雪山・アイス)

2024/2/10 蔵王

冬の蔵王
勿論、これは自分へのご褒美

 

日常の些事に息切れを起こしてしまうのなら、自分を喜ばせることも必要だ
文明の力に揺られてスノーモンスターに逢いに行く
そして、訪れる癒しの時

さすがに冬のハイシーズン
想像以上の人出に行列
これはもう自分好みの山ではないな、と思ったものの少しだけ視角を変えてみる
自分の志向を縛り付けない、しなやかさ

ライザのゲレンデトップから人の流れに乗る
樹氷は見頃、そしてこの好天
トレースを逸脱して森へと迷い込む

ツボ足でも膝下程度
持参したワカンを出さずに行く
雪との戯れが趣深い

少し森に入っただけでこの静けさ
来てよかった

ここあたりでゆっくりするのも良いが、やっぱりというか習性というべきか、
高い所を目指してしまうのはご愛敬
刈田岳から熊野岳を往復
鉛色の雲が広がり始めたので、早々に高度を下げる

下山途中、県道12号白石上山線を横切ると2つの県境標識
何気ない県境の景色だが、この地には過去の遺恨があった

蔵王県境裁判

世に不条理は溢れている
不条理で、不合理で、不平等で、理不尽で、残酷
日常の些事にしても同様だ

“青い鳥”を求めて放逸に流れる
その振る舞いとどう向き合うのか

日頃の愁いが白い世界に解けていく
そして、訪れる癒しの時

独り
神々の集う森で、カップ麺を食す

「あー、うめぇー」
案外このくらいが、沁みるってものだよ


sak

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松木沢・アイスクライミング

2024年02月23日 22時14分35秒 | 山行速報(雪山・アイス)

2024/1/28 松木沢・名無し沢

 

松木沢でアイスクライミング
この日はWCM(ウインタークライマーズミーティング)が足尾で開催されていて、銅親水公園駐車場は満杯
どうにか隙間に駐車して歩き出す

計画ではウメコバ沢だったけど、夏小屋沢あたりが登れそうだということで、途中下車の旅
結局は夏小屋沢よりウメコバ沢寄りの名無しの沢(滝)を2か所ほど登降

最初の滝は傾斜が緩く一旦上まで行って、懸垂で降りて終了

それより少しウメコバ寄りに、結構立派な氷瀑
isiさんは安定のリード
フォローながらスクリューの回収で1テン
悔しー

流石にマイナーな場所らしく終日貸し切り
この先にも滝場があるので、穴場なのかもしれない

で、その後
バーチカル部分をなんとかノーテンで (๑˃̵ᴗ˂̵)و♡

ふふふ
トップロープですけど(笑)


「楽しい」は正義です!

。:.゚ヽ(´∀`。)ノ゚.:。 ゜


sak


八ヶ岳広河原沢左俣

2024年02月19日 18時40分00秒 | 山行速報(雪山・アイス)

2024/1/22 八ヶ岳広河原沢左俣

約1年ぶりのアイスクライミング
前日は荒れた天気も、心配したほどの積雪はなかった
それでも沢筋のラッセルは辛い

下の大滝は見た目以上に立ってる
isiさんのリードは安定している

一方、フォローながら1テン
全然乗れてないのが自分でもわかる

上流の滝でトップロープを張って練習
少しは乗れてきたと思う

新たな景色を見るために
この一手は次に繋がっている

sak


南アルプス・仙丈ケ岳

2024年01月13日 17時53分25秒 | 山行速報(雪山・アイス)

2023/12/27‐28 南アルプス・仙丈ケ岳


人には捨てられないものがある


雪山用のハードシェルを新調した
これまで使っていたのはたしか1999年に型遅れをセールで購入したものだ
シームテープは何度となく張り替えたし、壊れたジッパーのツマミもなんとか開閉できるように細引きで補修した
今となっては重くて嵩張るし、素材の機能性もおそらく何世代も前のものだろう

とかく、登山は装備で快適性が格段に向上する
その快適性を得るためには経済的な裏付けが必要なわけだが、どちらかというとこれは性分

登山道具の修理や補修、カスタマイズはとかく楽しい
継ぎ接ぎだらけのマイザックは使い込まれた様子が実にカッコいいと思っている
接着剤で補修・補強した沢靴に至っては見た人がドン引きするレベルだ

とはいえ、価値を見いだしたなら衝動的に購入してしまうのも人の理
欲望には抗らえない、今回の新調もそれが理由だ
さすれば、さっそく使ってみたいと思うもの

どうせなら行ったことのない山がいいな♪
いつになく心は弾む

呼応してくれたのはazmさん
柏木登山口から地蔵尾根で仙丈ケ岳を目指す
距離は長いが2日あるので、冬季小屋を利用しての快適な雪山泊を楽しむ計画となった

空が少し明るくなってきた頃に登山口を出発
枯葉を踏み、緩やかな道を辿っていく

時に林道を交えながら、明るい落葉松の森を行く
南側斜面は雪が消えているが、そうでないところはうっすらと積雪が残る

次第に登り行程が増えてくると重荷が堪え、息も上がる
そして歩きながらも眠気に襲われる
これは寝不足が理由ではない
軽い高山病の症状だ
高山に入るのは久方ぶりで、身体の反応は正直だった

それはそれで泊付行程だから日暮れまでに小屋につければいい
自分のペースで歩が止まらぬように行くだけだ
とは思えど、後に続くazmさんには心配をかけたと思う

そして森林限界を越えると岩峰の先に仙丈ケ岳
来訪者に驚き、冬毛の雷鳥が這松から飛び立つ
見回せば日本の屋根が一面に見渡せた


人には捨てられないものがある

理屈じゃない
結局、私たちは好きか嫌いかで動いている

辛い時だってある
悔しくて泣きたい時もある
それでも続けているのは、結局「好き」だからだ

敬意を払い、尊重し享受する
そして、価値は自分で決める
それを手放すことはないだろう


雪面に延びる影
未だ思わしくない体調に、千丈の峰へは明日立つことにする

まだまだ元気なazmさん
彼も「明日にします」と言ってはいたが、彼なりの気遣いであることはわかった
だからこそ、厚意に甘えた

仙丈小屋の一夜

オリオンも霞む寒月の輝き
千丈峰の黒き光彩

光と影
山と谷

深窓と向き合えば、澱が舞う
嬉しいのは知らぬ自分に逢えたとき

 

山と共に歩む喜びがここに


sak


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奥利根・利根川を跨ぐ山谷の旅

2023年04月19日 00時31分14秒 | 山行速報(雪山・アイス)

2023/4/3~6 奥利根・利根川を跨ぐ山谷の旅

 

奥利根に憧憬の地があった
幽の沢山、オミキスズ岩、日崎山

それぞれに相当地味な、そして偏った個人的嗜好の選である
最初は各々の嶺を何度かに分けて個々に目指そうと思っていた

-地形図を眺めれば創造の山並みが手招きをする-

いや、待てよ
これ、繋げてみたらどうだろう

三国川ダムからネコブ山、下津川山、小沢岳、幽の沢山
小穂口沢出合で利根川を渡渉して、赤倉岳西尾根から赤倉岳、オミキスズ岩
楢俣川右岸尾根の主脈を日崎山へ。そして矢木沢ダム

そう考えたとき、息を呑んだ
想像するだけで胸は高鳴った

あれから1年

あとは山行への覚悟と生業の割り切りだ
「いつかきっと」と自分を慰めているうちに、山は逃げる

研究と想像、検討に対策、偵察
そして職場での休暇取得の根回しも忘れずに

この道程の先にあるのは、目標?歓喜?それとも未来?
否、結局のところただの自己満足にすぎない


【2023/4/3】晴れ、夕方曇り(ガス)

三国川ダム~桑の木山~ネコブ山~下津川山~小沢岳とのコル(幕)

前夜、仕事を終えてから南魚沼に向かう
途中、3時間程仮眠をして三国川ダム下キャンプ場の駐車場へ
闇中で身支度を整える

さて、行きますか
ヘッデンが時折、ちらほらと咲く桜を照らした

管理事務所まで雪の残る舗装路を歩く
ダムの右岸道路は雪も残るが歩行に支障はない
やがて十字峡
取付きの導水管が対岸に見える

急登の階段に息も切れるが、とにかく今日はマイペースで行く
やがて階段も終点
岩場は右からこなして、踏み跡も明瞭な藪尾根に乗る

イワウチワが咲き、春がここまで来ていることを感じる
そうこうしていると雪が現れた
ここからは雪がつながり桑ノ木山まで
広くて平らな頂は景観も良く、一休みするには丁度いい
想像以上にネコブ山が大きく名山の貫禄

ネコブ山への急登をこなすと三角点峰、そしてネコブの岩峰はポッコリと露出していた
しばらく日向ぼっこしながら、下津川山までの道のりを遠望

銅倉尾根は雪が切れ切れとなって藪を行くことも多かった
前日と思しきトレースは続いているものの、緩み始めた雪に藪、露出脆岩など時間をかけ慎重に

下津川山
国境稜線に乗ると、ようやく奥利根の山々が見渡せる
この先の未来を目で追えば、目指す峰は遥かに遠い

小沢岳とのコルまでは藪と岩
これがなかなか手強かった
雪に乗れば、今度は緩み切った悪雪に苦闘
幽の沢山までという予定ではあったが、陽も傾きガスが流れ始めたので今日はここまでとする

陽は沈み、やがて街が煌く
闇中に街の明かりが見えるだけで少し安心する自分がいた


【2023/4/4】晴れ

小沢岳~幽の沢山~下長倉沢下降~利根川渡渉~赤倉岳西尾根末端(幕)

早朝は雪もクラストして歩行が捗る
小沢岳から南尾根を下り、黒々とした岩峰の高嵓はリッジを藪頼りに登る
遠く、矢木沢ダムが見える
そこからは幽の沢尾根を辿る

こんもりと丸みを帯びた幽の沢山で一息
幽の沢山は奥利根湖に抱かれた深山の頂
この山を目指したのは奥利根の深山成分に浸りたかったことに他ならない
見渡せば奥利根の谷がそこら中に散らばっていて、その同定が楽しい

そこからは下り基調
登り返しもあるがいずれも高低差100mには満たない

西千ケ倉山(△1594峰)手前のコルからは下長倉沢を下る
計画では西千ケ倉東尾根を利根川小穂口出合まで至る予定であったが、雪の付き具合からそうした

時にデブリを越えながら、小穂口沢まで
さすがに小穂口沢は川幅も広く、今シーズンの寡雪にスノーブリッジも皆無

さて、ここからが本日の要所
小穂口沢、そして利根川の渡渉だ

渡渉対策には携帯長靴と新品の雨具を用意した
登山靴のまま履ける携帯長靴は以前ネットで購入したもの
ワークマンの雨具は新品の状態なら強い撥水性が失われておらず、短時間ならほぼ防水の機能を果たす
加えて雨具の裾を長靴の外に出してゴムバンドで縛ることで長靴内への浸水を防ぐ算段だ

 

長倉沢出合とコゴメの沢出合手前で小穂口沢を2度渡渉
膝上渡渉も想い描いたように上手くいった

そして利根川

小穂口尾根の末端が交わるこの場所は地形図で奥利根湖となっている
しかし、貯水率(出発時、矢木沢ダムの貯水率51%)の低いこの季節は河原となっていることが多い

最深で膝上
渡るには何とかなる深さだったと思う
しかし水勢は強い
ここ最近の陽気で雪解けも進んでいるのだろう

流心を越えた
そう思った瞬間、足を滑らし転倒

とにかく体制を立て直して、流れを渡りきる

渡りきった河原で、しばし放心

胸から腰回りの衣類、下着が濡れた
長靴の中も浸水したが左足の靴下が少し濡れた程度であった
この程度で済んだのは幸いだった

時間はまだ昼過ぎ
だけど今日はここまで
あとは赤倉岳西尾根末端の台地で濡れた衣服を天日干し

奥利根の只中、麗らかな春の日和に全裸で一献
傍らに「山間-やんま-」の純米
実に痛快なひとときだった


【2023/4/5】晴れ、ときどき曇り

赤倉山西尾根~日陰山~赤倉岳~赤倉岳中腹(幕)

今日は登り返しの日
赤倉岳まで約1000m
とにかくじっくり取り組むべ、と4時出発

下部は雪を拾えたが、尾根に出ると藪藪藪
小泉共司著「奥利根の山と谷」に”雪消えが早い尾根”とあったが、ここまでくると雪山ではなく全くの藪山
遠くオミキスズ岩が天を衝くのが見える

北側斜面に雪は残っているが、薄くてグズグズ
尾根筋は石楠花と針葉樹のミックス
まったくもって捗らない
石楠花の開花時期には大層美しいのだろうが、ほとほと嫌になってきた

-これを繋げてみたらどうだろう-

あの時の胸の高鳴り、そして覚悟
それはこの程度で挫けるものだったのか?

行く先の雪斜面で、カモシカがこちらの様子を窺っていた
私の心持ちを見透かしているかのようだった

そうして一歩、また一歩
藪を振り払いながら、このありふれた地味な行いを続けるのだ

地味なる所業を続けるのも君の才能なんだろ?
それならここが見せ場じゃねえか、最高かよ!

日陰山の西、1652峰から雪がつながる
しかし、時間はすでに午後
緩みきった雪に苦労はするが、藪よりはいい

日陰山に立つ
赤倉岳は意外と遠く悪雪の登行に牛歩の歩み
しかもこのシャバ雪で靴の中もびしょ濡れの様相
さて、どうしたものか

赤倉岳からはこの山旅も最終章
最短ルート、尾瀬方面へのエスケープもよぎるが初志貫徹
楢俣川右岸尾根に入り、日暮れまで歩いて幕とする


【2023/4/6】曇りときどき小雨、のち晴れ

オミキスズ岩~矢種山~日崎山~矢木沢ダム~須田貝ダム

2時起床、4時発
夜は意外と冷え込まず、濡れた靴の凍結は免れた
靴下も乾ききらなかったが仕方あるまい
あとは足をポリ袋に入れてから靴を履き、わずかながら快適性を保つ
べーパーバリアの理屈だが、応急処置としか言いようがない

一方でこれから先、雪の状態には懸念があった
予想通り雪は緩く、わかんを装着する

楢俣川右岸尾根~矢木沢ダムまでは、この山行でも一番距離が長い
午前中は時に小雨
それでも視界が遮られていないのは幸運と言っていい

オミキスズ岩の南斜面に岩峰群が点在する
一番立派な岩峰は特徴的な形の岩が天を指す

この峰に興味を抱いたのも、その岩峰群の存在だ
本当はそれぞれをゆっくりと観賞したかった
あわよくば岩に触ってみたかったのだが、今その余裕はない

次は沢を繋いで来るもいい
その時は一日かけてじっくりと岩峰群を巡ってみよう
もし登攀が叶うなら、辺境クライミング(辺クラ)といえるのではなかろうか

小さな登り下りを繰り返す
白く丸い頂の矢種山を越えると雪堤が堅く締まって、わかんなしでも何とか歩ける
この雪の回廊はありがたいことにしばらく続いた

日崎山の手前で雪堤は切れる
尾根の藪は屈強で途方に暮れる
仕方ないので北面に30mほども下って雪を拾って歩く
日崎山への最後の登りはきついけど、藪よりはいい

反射板が目印の日崎山
奥利根ダム群に囲まれ、突出したように見える楢俣川右岸尾根の中心峰
私が日崎山を目指した理由だ
付け加えるなら楢俣川右岸尾根の主脈(日崎山~矢種山~赤倉岳)を辿りたいという思いもあった
最後の目的地にこの大きな人工物ってのもどうかと思ったが、里に戻ってきたことを予感する場所としては悪くない

あとは矢木沢ダムへ尾根伝いに北西に進む
しかし、藪と雪と倒木のコンボで荒れており全く捗らない
途中から雪のついた小尾根をビンズル沢に向けて下降した

ビンズル沢は割れたり雪に埋もれたり
開いたゴルジュに出ての巻き下りもあったが、概ね雪を拾って下ります
ダムの管理歩道(地形図の破線)手前からは右岸にコンクリート堤とロープ、鉄梯子(下部がグラグラで結構怖い)があってダムまで下れます
しかし、沢になれた方以外は尾根筋が安全かと思うのでご注意を

誰もいない矢木沢ダムから、歩いてきた峰々を湖面の向こうに見る
高嵓から見たあの場所に、今立っている

言葉や思念、理想
期待と不安も込めて描いた一筋のラインが、そのまま未来となる
そして満足も挫折もエピソードも全部、君だけのもの

等高線の連なりに繋ぎ、延ばし、交差する
シンプルだからこそ、奥は深い

さて、次は


戻りついた三国川ダム下のキャンプ場は桜が満開となっていた

 

 

2023/4/3
三国川ダム下(4:50)~桑の木山(10:50/11:10)~ネコブ山(13:00/13:15)~下津川山(15:53)~小沢岳とのコル(16:32)【幕】

2023/4/4
コル(5:08)~小沢岳(5:28)~幽の沢山(6:38/6:53)~下長倉沢下降~利根川渡渉~赤倉岳西尾根末端(12:25)【幕】

2023/4/5
赤倉岳西尾根末端(4:08)~赤倉山西尾根~日陰山(14:47/15:02)~赤倉岳(16:57/17:13)~赤倉岳中腹(17:48)【幕】

2023/4/6
幕場(4:03)~オミキスズ岩~矢種山(6:33/6:47)~日崎山(14:45/15:09)~矢木沢ダム(18:02)~須田貝ダム(20:05)

 

sak

 

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上越国境・白毛門~巻機山縦走

2023年04月14日 22時54分12秒 | 山行速報(雪山・アイス)

2023/3/29-30 上越国境・白毛門~巻機山縦走

 


前夜、仕事終えてから水紀行館へ直行
車中で仮眠後、夜明前に土合駅まで

生憎の雨
土合駅で身支度を整え、天気にためらいを覚えながらも歩き出す

白毛門登山口の広場は車で入ることができるほど、雪が消えていた
この先を慮りつつも歩を進める

最初の尾根に上がるあたりで闇中に道を失い、彷徨する
初っ端から先が思いやられる

それでも上へ上へ
雨は上がったものの尾根に乗る頃に夜は明け、すでにヘトヘトになっていた

やれやれ
この先、巻機までたどり着けるのか
撤退の理由を探しながら、松ノ木の頭
都合のいい理由など見当たらないまま、白毛門まではと自分に言い聞かせる


”この道程の先にあるもの”

些細な望みは、救いへの一つの道だ
「あの山巓を繋ぎ歩きたい」
理由なんて、それだけでいい


前日までの悪天もあってか明確なトレースはない
白毛門で一服
笠ヶ岳では避難小屋が完全に露出しており、ネットで見た先週の記録と比較して融雪はかなり進んでいる

朝日岳を越え、ジャンクションピークでこの先を思案
先に進むか、それとも戻るか

覚悟は決まっていた
そもそも、ここで戻るようなら次はない

人は心満たされる瞬間を探して歩き続ける
そして「次」を求める

この道程の先にあるのは、目標?歓喜?それとも未来?

なんてことはない
この道程の先には、まだ道が続いている
その先が果てたなら、そこが消失点

一歩、また一歩
歩程にして僅か五十センチ、高さにしたら二十センチほどの登行
このありふれた地味な行いを続けられるのも才能だと言ってくれ
今の俺にはコレしかないんだよ

檜倉山で幕
風が強いので、平らな山頂から少し下って露出した笹原を風よけに幕を張る
柄沢山が大きい

夜はさすがに冷え込む
明日は雪の緩む前が好機だ
凍える星空に街の明かりが対照的に映る

明けて薄明とともに行動開始
幸い雪面はクラストしており歩行も捗る

時に藪へと突っ込むこともあるけど、ご愛敬
荒々しい山谷を右手に「次」を想う

米子頭山までくれば巻機山は近い
ニセ巻機を行く登山者も見える

抜ける青空に気分が晴れる
そしてまた一歩踏み出す
雪上を彷徨うセッケイカワゲラを踏まないように

 

六日町駅から上越線に乗る
車中、上越国境が白く高く霞んで見えた

乗客の母子がその景観を指さしながら「綺麗だね」と言っていた
私はその一言が嬉しくて仕方なかった


sak


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