2007/5月中旬 泙川・小田倉沢
難航
2007・沢シ-ズン初めのル-ト選考は難航した。
候補に挙がったのは実に10を越えた。
大常木谷、小常木谷、和名倉沢、大黒茂谷、小室川谷、豆焼沢・・・。とはいえ、今の心境に響く水線が 見つからなかったコトも難航の理由であった。
栄誉ある沢初めを決める唯一の選考委員、さかぼうの基準はこうである
①魚が釣れる
②登攀が少ない
③水量が少なめ(泳がない)
④アプローチが少なめ
⑤ナメがよさそう
もはや沢ヤとはいいがたくもあるが、癒し系の沢旅にはこのくらいが丁度いい。
結局、急浮上した泙川・小田倉沢に決定した。 実に山行前々日のことだった。
初夏
奈良の駐車場から林に入って泙川に下りる。
降り立った丁度対岸に小田倉沢は出合う。
広い河原はもはや初夏の陽射しを照り返し、目も開けられないほどに明るい
シバラク河原歩きに従事するが、容易なナメ滝からが小田倉沢の実質的なスタ-トとなる。
ナメとゴルジュを過ぎるとF1、8m直瀑は左岸。大ゼン20mも左岸にフィックスが張ってあるので容易。
滝上はナメが美しい。
焚火モ-ド
あとは今日一日どこで幕を張っても問題ないのでココからはゆったりと釣タイム。
滝場はいくつかあったけれども、どれもフィックスが張ってあるので通過に問題はない。
どうにか今夜の食料計画も予定通り配膳できる目途が立ったので、ココからは距離を稼ぐ。
小田倉沢最後のF7・10m手前で幕とした。
毎度のことではあるのだけれど、単独での幕場業務は熾烈を極める。
整地から始まり、幕張り、薪集め、火熾し、魚捌き。
ヤレヤレってな具合だけど、今宵を思えば苦ではない。
残った僅かな時間で更なる獲物を狙いに行くが、始めて僅かで仕掛けが絡まりあえなく敗退。
潔く諦めもはや気持ちは焚火モ-ドだ。
今宵の一献は菊水ふなくち。コンビニでも入手できるがナカナカどうして。
容器もアルミ缶なので沢にはもってこいの一品。
豪勢な焚火を眺めながら沢でやる一杯。ひとくち目は唸り、ふたくち目には天を仰ぐ。
天を仰げば焚火の火の粉は、そのまま星になっていく。
津室沢
明けて、最後の滝を左岸から小さく巻くとあとは平凡な流れを奥の二股まで。
立ち木にペンキマ-クがあり、微かに延間峠への踏み跡が判別できる。
二股からは尾根を一つ乗り越し、津室沢を下降する
津室沢はシバラク平凡な流れを淡々とこなしていくが、下部に滝場が連続する。
10m滝は右岸を巻き下るが、足元が落ち葉に埋もれて、緊張を強いられた。
45m三段ナメ滝は3つあるリングボルトに捨て縄をして懸垂下降を2セット。
ツルツルのナメで鉛直方向に振られないよう注意しながらなので緊張感は最高潮。
最後の25m三段も懸垂下降。鉄杭やワイヤ-ロ-プといった、変則支点に緊張を強いられる。
あとは一投足で泙川。
少し下れば三重泉沢出合。そこを堰堤先まで遡りあとは適当なガレを林道まで上がる。
一時間もあるけば駐車場のある奈良だ。
道すがらオヤツを頬張りながら、山行を振り返っていた。
とある休日のこの安息。
孤独と言えばあまりに孤独、自由と言えばあまりに自由なこの時間。
このゼイタクさ、ご理解いただけないものだろうか。
sak