acc-j茨城 山岳会日記

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山でのあれこれ、便りにのせて


ただいま、acc-jでは新しい山の仲間を募集中です。

西穂高-奥穂高-槍ヶ岳縦走②

1999年07月30日 15時37分34秒 | 山行速報(登山・ハイキング)

1999/7 西穂-奥穂-槍ヶ岳縦走②

ポツポツと雨がテントをたたく。

時間は5時。外はあいにく雨とガス。「撤収めんどくさいな-」そんな愚痴から 今日一日が始まってしまった。

手早く朝食(乾燥米)を湯に入れ、 ホットミルクを飲む。寒い朝にこの一杯。たまらない。

中でゴロゴロしていると、雨音が止んだ!
今がチャンスとテントをたたいて雨粒を 落としたら撤収開始。


ガスに霞む涸沢からの直下降


ゴロ岩の涸沢岳を過ぎ、涸沢槍の脇を 直下降。
朝一、動きの鈍い体で慎重に下る。

幸いクサリ、ハシゴ、ボルト、L字溝のステップなど 様々な手がかり足がかりがあって助かる。

「カララ・・・」後発者の落石の音がガスの中に響く。そう昨年の地震で壊れた 登山道がこのあたりのようだ。

浮き石が多く、要注意区間である。

最低のコルにへは山荘から約一時間。ここから北穂高岳の間は岩の直登、 トラバ-スの連続だ。岩は安定しており、三点確保を確実に実践していく。


松涛岩


北穂南稜の分岐を過ぎると北穂高岳は もうすぐだ。

眼前に松涛岩を仰いで最後の登りを行く。

北穂小屋の”山岳劇場”

北穂高小屋のテラスはまるで映画館。

晴れていれば(上演中は)”絶壁の絶景” 
ガスっていれば(休憩中は)真っ白なスクリ-ン。


残念ながら本日の上演は ないようだ。

 

さあ、いざキレットへ
ここからが大キレットの始まり。

北穂高小屋からガレとザレの道をひたすら下る。 飛騨泣き

下りきったと思うと 最初の難所、”飛騨泣き”が待ち受けている。

 強い風の中、足元の切れ落ちた それは、見た目以上に恐怖を感じさせ
岩を掴む手に力が入る。

長谷川ピ-クを行く登山者


滝谷の絶壁をガスの合間に眺めつつ、 かなりもろくなった危険な岩壁を降るとそこはA沢のコル。

目の前のピ-クに 登山者が数人。下から見るとすごい所を登っているのがわかる。

対向者に「こわかったよ-」と脅かされながらその岩壁に取り付く。

途中足の置き場に窮する所が 要注意。「もっちょっとで足が届くのに・・・」私の足が短いのだろうか?

 


頂上に達するとそこが”長谷川ピ-ク”。”Hピ-ク”のペイントが目印だ。

混雑時はここでの渋滞に注意。反対側が見えないので、防ぎずらいところだ。 
(ナイフリッジでの待機時間は妙に長く感じるものです)

快適な縦走路にガスが湧き立つ

無事にピ-クを超えるとそこは長大 かつ快適な尾根道。

ウキウキ気分で歩みを進める。

しかし不気味なのは、 前方のシシバナの垂壁。

ごつごつした灰色のそれはまるで要塞のようにも 見える。


シシバナの不気味な岩壁


シシバナの垂壁はハシゴと三点確保で よじ登る。

下半身はもとより上半身も使い、全身の筋肉を働かせる。

岩が少なく、砂が多くなってくると、ピ-クも近い。 
そこは大キレット展望台”シシバナ”だ。

一応大キレットはここでおしまい。南岳小屋で「ほっ」と一息、ジュ-スを 一気に飲み干す。


穏やかな岩稜、南岳


ここからなだらかな岩の稜線。
歩くとカラコロ岩音が美しい 音色を発する。

そんな稜線を中岳、大喰岳と進む。
ふと耳を澄ますとガスの向こうから 賑やかな声が聞こえる。

そう言えば、好天ならば槍が眼前に立ちはだかる所なのだ。

 

槍岳山荘手前のテン場


賑やかなテント場をすぎるとそこが槍岳山荘である。

「今日はなんだかくたびれた。」天気も悪いし風も強い。 
腹一杯メシも食いたい。

そんな言い訳を用意して今日は小屋泊りへ変更。

あったかい小屋の宿泊人となった。

 

槍ヶ岳独りぽっち明けて天気は・・・ガス時々雨そして風。

一日余裕があるので、東鎌尾根方向へ足を伸ばそうかと思ったが、 天候の好転も望めないようなので、 本日の下山を決意。

風雨の中、槍ヶ岳を往復。

独りぽっちの槍の先。祠に手を合わせ、今年のシンボル、”槍”の看板(?) を写真に撮る。

1999槍ヶ岳のシンボル


思い起こせば去年もこんな天気だった。

体力不足に泣かされた去年の失敗。

あれから一年。槍を眼前に仰ぐ事はできなかったが、 
ずっと目標にしてきた夢のような稜線に別れを告げる。

 

そこから上高地へは一気に下る。

元々下り足(逃げ足?)の速い私。 鍛えた筋肉はこの時最大の武器になるものだ。

槍沢、横尾、徳沢、明神と駆け抜け上高地へ。 
なぜそんなに急ぐかといえば、平湯温泉へのバスが最終2時なのだ。

できれば上高地からの穂高連峰、じっくり鑑賞したい。そんな 思いからなのである。 

上高地から

さあ、もうバスの時間だ。

結局、ガスのない穂高連峰をカメラに納められなかった。

まあ良しとしよう。それもこれも今度の楽しみだ。

一年に一度の高山山行。来年の今ごろは何処で何をしているか?

きっと今年と同じように「まあ良しとしよう」 なんて言っているのだろう。

sak


西穂高-奥穂高-槍ヶ岳縦走①

1999年07月30日 15時24分35秒 | 山行速報(登山・ハイキング)

1999/7 西穂高-奥穂高-槍ヶ岳縦走①

 

夏山シ-ズン到来!梅雨も明けて すばらしい景色を期待しながら新穂高バスタ-ミナルに降り立つ。

登山計画書を提出し、新穂高ロ-プウェイ乗り場に急ぐ。 
さすが観光地。ずらり行列が並んでいる。20分待ちで第一ロ-プウェイ、15分待ちで第二ロ-プウェイに乗る。 このロ-プウェイ。第一はすごい傾斜、第二はすごいスピ-ドで登っていく。鉄塔通過するたびにユラユラゆれる(乗客大歓声!)

ロ-プウェイの終点は「千石平園地」になっており、すばらしい景色の中散策を楽しめる。


樹林と笹の登山道


展望を一通りカメラに納めたら、 背丈ほどのササ原を登山道へと入る。


何にしろ今日は西穂山荘までの行程だ。

意識しながら、思いきりゆ-っくりと みずみずしい樹林の道を歩く。

 

 

賑わう西穂山荘


1時間ほどで山荘が見えてきた。

ちょうど森林限界に立っている為、焼岳、上高地、笠が岳など 景色が良く嬉しい。

早速テン場の受付を済ませ、設営。受付の際に聞いたのだが、このあたりで クマの目撃情報が多いようである。今の所、被害はないが気をつけるよういわれた。


さて、後は気ままに過ごそうか。


賑わう山荘の片隅で本を読んだり、植物の写真を撮ったり、 独標手前のピ-クまで行ってみたり。

一気に高度を上げた影響でちょっと頭痛がしたけれど、日没の頃には治まった。

お花畑から西穂を望む
風がテントをたたいている。

ネボケ眼で外を見る。月明かりが眩しいくらいだ。
時間は2:30。出発予定が 4:00だからもう一眠りだ。


と気がつくともう4:20。慌てて朝食を摂りながらの 撤収。結局55分の遅れ。

しかし山道では慌てないよう言い聞かせながらいつものようにゆ-っくりと 歩き始める。

 

1時間ほどで独標に到着。

今日も好天かなと思いきや、西穂高岳より北は ガスがかかり始める。

 

ガスの出始めた西穂山頂


独標から1時間ほどで、西穂高岳に着く。

先ほどのガスは確実に近づいてきている。

山頂ではガスにたたられてしまった。

う-ん残念。ここで一休み。

さてこれから先が難所続きの稜線だ。

ここで帰るパ-ティ、先に進むパ-ティちょうど 3組ずつ。帰る方々に見送られながら、先に進む。


間の岳手前のガレ場を通る
ちょっと進むと向こうから誰かやってくる。 ???。

話を聞くと昨日、間ノ岳手前でビバ-クの末引き返してきたとの事。

元気で何よりだったが、それ以上に自分自身にその出来事を投影してしまう。

ここで更に気を引き締めさらに先へと進む。

 

間の岳山頂

間ノ岳へは西穂高岳から1時間20分かかった。

話で聞いてはいたが、山頂前後がかなりの悪場。

浮き石が多く、かなり 気を遣いながら一歩一歩どうにかたどり着いた。

さらにル-トが不明瞭な事、またル-トを少しでも外そうものなら 「蟻地獄」ならぬ「浮き石地獄」。

要注意区間である。

間の岳から見た逆層スラブ状岩壁

さあ、ガイドブックに必ず出てくる 「逆層スラブ状岩壁」が目前に迫る。 
逆層スラブ状岩壁を見上げる

確かに辛そうな岩壁であるが、クサリもあるので見た目以上に辛くない。

そこを登り切れば天狗岳山頂だ。

天狗岳山頂


天狗岳の前後で奥穂からの登山者と 擦れ違う事となる。

ちょうど中間点になるようだ。

しかし天狗岳を過ぎてから、しばらく岩壁と格闘するもその頂が見えてこない。

この頃から、常に3点確保を意識しながらの急登の為、下半身はともかく、 上半身が疲れてきた。

独標から強くなってきた風の影響もあるのだろう。 
ジャンダルムと思っていたロバの耳ようやく空が広くなり、頂に近い事を知ったのは天狗岳から2時間後の事だった。


平らな岩の頂に立つとガスの向こうに峻立する岩峰が・・・・・2つ。
 

瞬間、ガスが晴れる。この手前のピ-クが、ジャンダルムなのである。

しかし、致命的失敗!!!

「ジャンダルム」を「コブの頭」、「ロバの耳」を「ジャンダルム」と、とり違えて、 ジャンダルムの写真撮らずに来てしまった!!!(我ながら情けない・・・)

ウマノセ上部の稜線そうとも知らず「ジャンダルム」「ロバの耳」を慎重に慎重に通過、 奥穂高岳直下「ウマノセ」にしがみつく。

ほんとに切れそうなナイフエッジ を最後のひと踏ん張りで登るとそこが奥穂高岳山頂。 奥穂高岳山頂はもうそこだ

祠の石垣、「テレビで見るより小さいな」などと思いつつ記念撮影。

しっかりした踏み後の登山道を下ると穂高岳山荘。


西穂高岳で知り合った方が10分ほど後に到着。お互い顔を見合わせ笑みがこぼれる。
帯同したことで、気持ちが通じているのだ。


そして”熱い握手”。嬉しさがこみ上げてくる一瞬だ。
 
こんな人と人の心の交差点。これがある限り”山”は止められない。


sak


愛鷹山

1999年07月06日 08時09分02秒 | 山行速報(登山・ハイキング)

1999/7 愛鷹山

梅雨真っ只中。「晴れ乞い?」の願い もむなしく、あいにくのガスと雨。

雨具装備を身につけ、「雨でもたのし」と気持ちを切り替えスタ-ト。 
寂れた愛鷹神社を過ぎると鬱蒼とした杉の植林。 規則正しく植えられた杉林の所々にケルンが積まれている。

銀明水


40分ほど登ると愛鷹山荘に着く。 
定員8人の小屋(要予約)と5,6のテントサイト、有料(50円)トイレ、 そして水場「銀明水」がある。

さっそく味見。甘みはないが軟水、まずまずのお味。 持ってきた水筒の中身と交換する。

 


真っ白な富士見台


山荘を後にまもなく尾根に出る。 
ゆったりとした尾根を、ゆ-ったりと登っていく。

「鋸岳展望台」・・・真っ白・・・

気持ちを切り替えたはずなのに、 
「晴れていれば鋸岳のギザギザがみえるんだろうなあ」 とため息が漏れる。

気を取り直して、白・ピンク・青のシモツケ(かな?)を鑑賞。

 

山荘から80分。「富士見台」 

ここからの富士山は50銭札のデザインにも なった「好展望地」である。雨は上がったものの、やはり真っ白。

そう言えば富士山の裾野まで来たのにまだ一度もお目にかかっていない。

果たして「富士山」は望めるのだろうか?


越前岳山頂


そこから30分ほどで、愛鷹連峰最高峰の越前岳につく。

唯一展望の利くピ-クらしいが、もはやそれは期待できない。 登山ノ-トにコメントを記し、山頂を後にする。

ここからの下りがかなりきつく、雨の為滑る。

セミがオ-ケストラのように鳴いている。 しばし、聞き惚れる。

 

呼子岳山頂


60分ほどで「呼子岳」さらに25分で「蓬莱山」。 双方とも樹林のピ-クで展望は望めない。

山道に咲くバラ類の花


このあたりで「バラ」類の花が目に付く。 
花期は終わりごろだったが、写真をパチリ。 
(名前は今も不明。「野バラ」なのは間違いないのですが・・・)

これから先はこれまでと違う鋸歯の岩稜が始まる。

ここで腹ごしらえ。今回のランチは「アンパン」。 安価で手軽に取れて元気も出るが、つぶれてしまう欠点が・・・。

 

崩落地のトラバ-ス


さあ、核心部の「鋸岳」から「位牌岳」の縦走路。

ナイフエッジ、ガレ、カニ歩き・・・

スリルのある岩稜が続く。鎖が所々にある事と、木の根や枝などの 手がかりが多く、それらで3点確保しながら慎重にすすむ。

(手に取った岩がボロっととれた時には、ヒヤっとした)

 

樹木生い茂る位牌岳山頂

90分ほどで「位牌岳」。ここまでくればもう安心だ。 これからは緩やかな樹林の尾根を下る。 
雨は上がったものの、背丈ほどのヤブを漕ぐため、 葉露で全身びしょぬれ。完全防水の靴までしみてきた。

晴れてきた裾野

 

「靴、買おうかなあ-」などと考えていると、段々空が青くなってきた。 ガスも晴れる。裾野がはっきりしてきた。

「もちょっとで富士山が・・・」気になって仕方ない。 
しかし、またガスる。

「だめか-」どうやら今回はハッピ-エンドではないようだ。


田向から見た富士山


暗い杉の植林を下っていると、小学校の鐘の音が聞こえてきた。 「かなり近いな」と思ったら、しっかりしたコンクリ-トの階段が 現れた。涸れた川を越えるとそこは人里。 
ビショ濡れの雨具を脱いでザックにしまい歩き出す。

ふと空を見上げると、民家の屋根の上に「富士山」が・・・

最後の最後で逆転劇。

その驚くほど大きいシルエットは、今も脳裏に焼付いて離れない。

 

sak