asahi.comの社説【原発政策―政治の無責任は許されぬ】(http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=com_top_pickup、2014年1月6日(月)付)。
東京新聞の社説【年のはじめに考える 福島への想い新たに】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014010402000132.html)。
asahi.comの社説【原発輸出―立法府から再考促せ】(http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=com_top_pickup、2014年1月8日(水)付)。
asahi.comの記事【(もんじゅ君のエネルギーさんぽ)今年の再稼働どうなる?】(http://www.asahi.com/articles/ASG166D83G16UCVL022.html)。
東京新聞の記事【原発政策 政権「二枚舌」 再稼働方針は不変】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014011002000139.html)。
北海道新聞の社説【理念なき原発政策 「福島」前に後戻りするな】(http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/514655.html)。
asahi.comの記事【政府、東電の再建計画を認定 柏崎刈羽「7月再稼働」】(http://www.asahi.com/articles/ASG1H5T5JG1HULFA023.html?iref=com_top6_01)。
最後に、東京新聞の社説【東電再建計画 原発頼みは筋が通らぬ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014011602000139.html)。
『原発政策―政治の無責任は許されぬ』のならば、そのためには自公政治家に投票していてはダメ。『年のはじめに考える 福島への想い新たに』したいけれども、どうも自公政権を支持している人たちは、東京電力原発人災を忘れたがっているようだ。
『●国際的な「恥の上塗り」な恥さらし行為:
「安倍政権 「復興予算」を「原発輸出」に流用」』
大飯原発が再稼働する以前も、再稼働停止後も、原発ゼロでも大丈夫だったじゃないの? 一方で、電力会社と原子力「推進」委員会は再稼働をやる気満々のようだが、3.11東京電力原発人災を経験した我が国がそのようなことをすることに対して倫理的に許されるのか? 「恥」「恥ずべき行為」でしょうに。
『●続・今年「も」電力は足りた』
『●原発推進国同士が手を携えて原発輸出、
さらに「死の商人」へ: どうやら「恥」という概念は無いらしい』
ましてや3.11原発人災の当事者の原発再稼働を政府が認めるわけだから、「怒」以外の言葉が思い浮かばない。『政府、東電の再建計画を認定 柏崎刈羽「7月再稼働」』に対して何も感じない自公支持者、自公議員投票者にも同じ言葉しか思い浮かばない。そして、原発輸出までしたくてうずうずしている自公政権、それでも、何にも感じませんか? それは、「将来的にトルコが「できる」余地を残す文面となっている」という如実に「核=原子力」であることを示していますのに。
『●醜悪な構図2: 原発人災・汚染の原因者が「公的支援1兆円 裏で税逃れ」』
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【http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=com_top_pickup、2014年1月6日(月)付】
原発政策―政治の無責任は許されぬ
2014年1月6日(月)付
福島第一原発の事故に苦しむ日本が、脱原発に向かうのか、それとも元の道に戻るのか。
今年はその分岐点になる。
原発の再稼働に対し、新しい規制基準にもとづく原子力規制委員会の最初の判断が、春ごろ示される見通しだからだ。
これまでに規制委に審査を申請したのは、7電力会社の9原発16基。東海地震の想定震源域にある中部電力の浜岡原発(静岡県)についても、近く申請される予定だ。
■目に余るご都合主義
歩調を合わせるように、自民党内では「早期再稼働」の声が大きくなっている。
昨年12月25日には、原子力規制に関する党内チームの座長を務める塩崎恭久衆院議員が規制委に出向き、田中俊一委員長に、もっと国会議員や立地自治体の首長、電力会社らの意見を聴くよう迫った。
規制委の設置にあたり、民主党政権が出した法案に「独立性が足りない」と詰め寄り、今の形に修正したのは、塩崎氏をはじめとする自民党だ。
ところが、規制委が活断層の調査や規制基準の策定に厳格な姿勢を見せるや、原発推進派の不満が噴出する。自民党が政権に返り咲くと、影響力を行使しようとする流れが加速した。
ご都合主義が目に余る。
自民党の長期政権下で原発の安全神話を増長させ、必要な対策を怠ってきたことへの反省はどこへいったのか。
ただでさえ、急ごしらえの規制委は人材が不足し、財政面での制約もある。むしろ、そうした態勢面の充実をはかることが政権党のつとめだろう。
安倍政権は、表面的には「原発比率を下げる」と言いつつ、原発を「重要なベース電源」と位置づけ、規制委の基準に適合した原発は動かす方針だ。
しかし、規制委が判断するのは科学的な根拠にもとづく最低限の安全確認にすぎない。事故リスクがゼロにならない以上、口先だけではなく、「原発比率を下げる」手立てを総合的に講じるのが政治の役割だ。
そうした見取り図も示さず、再稼働の判断はすべて規制委に丸投げし、そこへの圧力めいた動きは放置する。なし崩し的な原発回帰と言うほかない。
■採算なき再処理事業
再稼働への政権の姿勢が原発政策を無責任に「元に戻す」典型だとすれば、「元のままでやり過ごす」無責任の象徴が、使用済み核燃料を再処理して使うサイクル事業の維持である。
巨額のコストがかかり、資源の有効活用という意義がなくなった核燃サイクル事業は、「撤退」が世界の流れだ。
政府は、非核保有国として唯一、再処理を認められた事情から「日米による原子力協力」を掲げる。
だが米国には、日本が海外での再処理によって核兵器数千発分のプルトニウムをため込んでいることが、他国のプルトニウム保有の口実になりかねないことへの強い懸念がある。
再処理や核拡散問題に詳しい海外の研究者ら5人も、青森県六ケ所村にある再処理工場の稼働中止を求め、それがすぐに決められない場合は長期間棚上げすべきだ、などとする共同提案をこのほど朝日新聞に寄せた。
「再処理しないと使用済み燃料があふれる」との政府の説明も説得力に欠ける。
将来、地中に埋めることを前提に、当面は「乾式キャスク」という容器に入れて地上で保管する方法が海外ではすでに確立している。日本学術会議もこの方式を提言している。
■政策転換への機会に
福島第一原発の事故収束や老朽化した原発の廃炉、代替電源の開発、送電網の再構築など、電力産業が今ほど資金を必要としているときはない。
一方で、巨額の設備投資を電気料金で確実に回収できる総括原価方式は、廃止が決まっている。巨大な「金食い虫」になることが確実なサイクル事業を続ける余裕はないはずだ。
政府内では過去にも政策転換が模索されてきた。それが実現しなかった背景には、使用済み燃料を再処理への「資源」として受け入れてきた青森県に「廃棄物の処分場にはしない」と約束してきた経緯がある。
再処理をやめれば、各原発が青森県から使用済み燃料の引き取りを求められ、原発の稼働に支障が出るという恐怖心だ。
だが、これだけ大きな原発事故を起こしたのである。切るに切れなかった不良債権を処理する機会にすべきだ。
もちろん青森県にはていねいに説明する必要がある。乾式貯蔵についても電力消費地を含めた協議が必要だ。必要な費用を誰がどう負担するかなど課題は山積している。それでも、意味のないサイクル事業を続けるより、はるかに建設的だ。
原発事故の後始末で、国は一歩前へと出る決断をした。原発政策全体についても、責任放棄は許されない。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014010402000132.html】
【社説】
年のはじめに考える 福島への想い新たに
2014年1月4日
時間を押し戻そうとするかのような北風が、年の瀬を駆け抜けました。三度目の年頭。もう一度、心に深く刻まなければなりません。福島を忘れない。
オランダの首都アムステルダムの街を歩くと、三つ並んだ十字の印を至る所で見かけます。
赤い地の真ん中に、黒っぽい横線が一本、その上に白い十字が横に三つ並ぶのは市の旗です。
そして、二頭のライオンに挟まれて、十字が縦に三つ並ぶのが市の紋章です。
◆十文字が意味するもの
三つの十字の意味はと言えば、その昔、街を襲った三つの災い、洪水、火災、感染症を表しているそうです。
起こりうる災いの怖さを子々孫々まで語り継ぎ、常に備えを怠ることがないように、あえて十字を掲げています。
江戸時代からオランダに多くを学び、近代化の礎にしたこの国も、災厄を歴史に刻む方法までは、教わらなかったと言うのだろうか。首都東京の中心が、忘却の波に沈み始めているようです。
福島の事故現場は収束に向かうどころか、混迷を深めています。
爆発を免れた4号機では、傷ついていない核燃料の取り出し作業が始まりました。
しかし、1~3号機から溶け出した燃料は所在さえつかめません。原子炉格納容器の外に溶け落ちた恐れもある。無事故でも一基百年といわれる廃炉、解体への道は、緒に就いたとも言い難い。
汚染水は年末年始もお構いなしに流れ出ています。
熟練の作業員は、被ばく線量が限度に達して次々に現場を離れ、作業の質は低下する。
自治体に丸投げされた、有事の際の避難計画作りは一向に進みません。計画はできたとしても、目に見えない放射線からどこへ逃げれば安心なのか。
使用済み核燃料の捨て場所は、どこにも見つからないでしょう。リサイクルの計画も夢物語の域を出ていません。
十字、いやバツ印をいくつ付ければいいのでしょうか。
これだけ多くの災いの種を抱えているにもかかわらず、政府は前政権の「二〇三〇年代原発ゼロ」から一転、原発を「重要なベース電源」と位置付けました。
ベース電源とは、二十四時間、しかも安価に稼働させられる電源です。震災前は、原発と揚水発電以外の一般水力。そして石炭火力がそうでした。
◆原発こそ不安定では
電力需要時に足りない分を補うのが、ピーク電源と呼ばれるLNGや石油火力です。
原発は、出力調整が極めて難しく、一度運転を始めたら、二十四時間最大出力で、突っ走るしかありません。
今、国内に五十基ある全ての原発が、再び停止しています。
天候に左右されやすく、出力が不安定な風力や太陽光には、ベース電源の重責を担えないといわれています。
だとすれば、無限大の安全管理が必要な、扱いにくい原発こそ、最も不安定な電源なのだと考えなければなりません。
原発を動かさないと、LNGや石油火力の燃料費がかさみ、電力会社は年間三兆六千億円の負担増、百万キロワット級の原発一基を稼働させれば、温暖化の原因になる二酸化炭素(CO2)を、一年で0・5%減らせるとされています。
原発は、本当に割安なのか。
政府によれば、福島の賠償と除染、さらに廃炉や汚染水対策に、少なく見積もって約二十兆円の費用がかかります。
東電の負担なら電気料金への転嫁、国が持つなら税金です。結局つけは国民に回ります。どれだけお金を使っても、福島の人たちの暮らしや風景は、もう元へは戻せません。
現在十六基の原発が、原子力規制委員会に再稼働の申請を出しています。政権は今年を、再稼働の年にしたいのでしょう。
原発は金のかかる危険なものだということに、国民の多くはもう気づいているはずです。
温暖化対策ならば、再生エネルギーの普及の方が王道です。私たちは“太陽と風の年”をめざしましょう。
◆フクシマを心の地図に
ドイツでは、再生可能エネルギーへの転換が着々と進んでいます。総電力の約二割を賄い、温室効果ガスを一九九〇年比で二割以上減らしています。
市民自ら電力会社を設立し、再生可能エネルギーでつくった電力だけを地域へ供給するという、エネルギー自治も進んでいます。
なぜでしょう。
スリーマイルとチェルノブイリとフクシマを、心の地図にしっかりと、刻みつけているからです。
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【http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=com_top_pickup、2014年1月8日(水)付】
原発輸出―立法府から再考促せ
2014年1月8日(水)付
安倍首相がトルコのエルドアン首相と会談し、日本からトルコへの原発輸出を進めることを確認した。
経済浮揚につながるとして原発輸出に積極的な安倍政権だが、過酷事故が起きれば被害は一国にとどまらず、日本も責任を負わせられかねない。
使用済み核燃料の最終処分や管理方法の確立といった国際課題もある。日本とトルコとの原子力協定は、核燃料サイクルをめぐる記述すらあいまいだ。
協定の発効には国会の承認がいる。与野党の議員は立法府の責任として、政府に再考を促すべきだ。
トルコとの原子力協定で問題視されているのは、ウラン濃縮と、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理に関する記述である。将来的にトルコが「できる」余地を残す文面となっている。
いずれも核兵器の製造につながりかねない技術だけに、国際社会はきわめて神経質に対処してきた。
今回、協定が発効したとしても、トルコが簡単に再処理できるわけではない。先の国会でも岸田外相が「日本として認めない」と答弁している。
にもかかわらず、不明瞭な記述となったのは「肯定的な表現」を求めるトルコ側の要望を受けてのことだという。原発輸出の道筋を早くつけたい日本の前のめりぶりを表している。
ごく一部の国に限られていた原発の利用は、ここにきてエネルギー不足に悩む新興国に広がっている。安倍首相がトップセールスで原発を売り込んでいる先も新興国ばかりだ。
原発開発を急ぐ国々には、政情不安な地域や非民主的な政治基盤のところが少なくない。安易に原発を売り込み、相手の求める内容で協定を結べば、核不拡散への国際的な取り組みは難しさを増す。
ただでさえ、国際原子力機関(IAEA)による従来型の査察は強制力に欠けるなどの限界が指摘されている。
日本自体、核燃サイクルは頓挫しており、海外への再処理委託で大量に積み上がった余剰プルトニウムの確実な処理が国際的な関心事となっている。
まずは、足元の問題解決に専心し、放射性廃棄物の管理や処分をどうするかという国際課題に正面から取り組む。それが、安倍政権の責務だろう。
野党はもちろん、自民党内にも拙速な原発輸出や協定発効に対する慎重論があるという。与野党協力して立法府の良識を示してほしい。
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【http://www.asahi.com/articles/ASG166D83G16UCVL022.html】
(もんじゅ君のエネルギーさんぽ)今年の再稼働どうなる?
2014年1月10日09時30分
■原発ゼロで迎えた新年
あけましておめでとうございます。高速増殖炉のもんじゅ君ですだよ。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
じつは2014年は、1970年代以来、はじめての原発ゼロで迎えたお正月だったんだ。昨年9月に福井の大飯くん3号機、4号機が定期点検のためにストップして、そのままゼロがつづいているんだね。
いまは暖房の必要な冬の季節だけれど、原発がなくたって電力不足にはなっていないね。このことがもっと知られるようになるといいな。
■年の瀬ぎりぎりの再稼働申請
ところで、年末ぎりぎりにふたつの原発が再稼働の申請を出したんだよ。そのあとすぐ世間はお正月休みに入っちゃって、あまり大きなニュースにはならなかったけれどね。
ひとつは12月25日、島根原発2号機が再稼働を申請したんだ。
島根くんは松江市に位置していて、全国で唯一、県庁所在地にある原発なの。万が一の事故があったときに、人口の多い市街地まで10キロという近さなんだよ。
■震災で被害のあった女川も再稼働?
そしてもうひとつは、宮城県にある女川原発の2号機。こちらは12月27日と、まさに仕事納めの日に申請が出されたの。
女川原発1~3号機は、ふくいち君とおなじように、2011年の東日本大震災で被害を受けたんだ。電力の5系統のうち四つが地震で断線して、過酷事故にもなりかねない状況だったといわれているんだよ。
再稼働申請を出した2号機なんかは、震災で建屋の地下が浸水して、冷却水ポンプもこわれたの。国際原子力事象評価尺度(INES)では「レベル2」の事態だと認定されたんだ。
■地震・津波がくるとわかっているのに
巨大地震と津波におそわれることのある場所だとわかっていても、女川くんは再稼働申請が出されちゃったんだ。建屋の耐震性を上げたり、防潮堤を建てたりという安全対策は計画されてはいるものの、こんなに早く再稼働を表明できてしまったことに、ボクはすこしびっくりしたよ。
2013年10月の宮城県内の世論調査では、再稼働に反対する声が60%を超えていたから、県民の要望というわけでもないんだよね。
いかにいま、原発をとりまく雰囲気がゆるんでいるのか、電力会社さんたちがエイヤッと申請してしまえるような政治的追い風があるのか、ということを痛感しちゃうよ。
■ずさんすぎて再稼働の許可に遅れ
そんなわけでいまは全国で7電力会社、9原発、16基から再稼働の申請が出ているの。
当初は再稼働の審査には半年から1年ほどがかかるといわれていたんだ。だから、早ければ昨年7月に申請した原発たちが2014年頭に再稼働をはじめるかな?という見方もあったんだけど、そうはなっていないよね。
それは、原子力規制委員会さんは「安全に動かすためにはこれとこれを用意してくださいね」と条件を出していたのに、多くの電力会社さんが「えーい。まじめにぜんぶ準備してたら時間かかっちゃうもんね。とりあえず書類を出しちゃえ」と見切り発車で申請しているからなんだ。
■安全審査の見切り発車はやめてね
2013年7月の申請ラッシュのときには、ボクもニュースを見ながら「あれれ? 準備が不十分なままでも再稼働の書類って受理してもらえるんだ。雑だなぁ……」とびっくりしてたんだけど、さすがにそのままでは審査はパスしないみたい。
ただでさえ日本の安全基準は、真下の活断層ばっかり気にしていてヌケやモレが多いといわれているの。審査だけでもせめてしっかりとして、見切り発車はやめてほしいよね。
春以降には審査の済んだ原発も出てくるかもしれないけれど、そのときには地元の人たちの「こわいよ」「ホントに大丈夫?」って声がますます重要になってくると思うよ。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014011002000139.html】
原発政策 政権「二枚舌」 再稼働方針は不変
2014年1月10日 朝刊
安倍政権の原発政策で矛盾が表面化している。安倍晋三首相や自民党の石破茂幹事長は「原発依存度をできる限り低減させる」と強調するが、昨年末、政府がつくったエネルギー基本計画案では原発を「基盤となる重要なベース電源」と位置付けている。原発再稼働にも突き進もうとしており首相らの言葉は「二枚舌」と批判されかねない。 (金杉貴雄)
首相は六日の年頭記者会見で、原発について「エネルギー源の多様化を図りながら、可能な限り依存度を低減するのが基本方針だ」と強調した。
首相らは、脱原発を求める世論を意識。「首相が決断して即ゼロに」と求めている小泉純一郎元首相の影響力も考慮し、原発政策を語る時は必ず「依存度減」を強調する。石破氏も「小泉氏と方向性は変わらない」と取りつくろう。
だが、現実の対応は逆だ。エネルギー基本計画案では、民主党政権時代の「二〇三〇年代の原発ゼロ」を破棄。原発を「重要なベース電源」と位置付け「基盤となる」との表現まで追加した。「依存度を可能な限り低減」との表現も盛り込んだが、原発推進の姿勢を鮮明にした。
政権の姿勢には、経済成長には原発による安定的な電力供給が不可欠との判断や、自民党内で電力会社と密接な関係を保つ電力関係議員が発言力を増している影響がある。
政権は、各電力会社が原子力規制委員会に申請した再稼働の審査が終わる見込みの春ごろから、原発を再稼働させていく方針。現在の「原発稼働ゼロ」の状態を転換し、稼働率を高めていこうとしている。
だが、エネルギー基本計画案には自民党内からも「東京電力福島第一原発事故を引き起こした過去の原発政策への反省がない」と批判の声が出ている。連立与党の公明党からも異論が出始めている。
政府は、計画案を一月中に閣議決定する方針だったが、ずれ込む可能性もある。
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【http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/514655.html】
社説
理念なき原発政策 「福島」前に後戻りするな(1月11日)
将来像も理念も十分な検証も欠いたまま、エネルギー政策が東京電力福島第1原発事故以前の状態に引き戻されようとしている。
原発を重要なベース電源と位置付けたエネルギー基本計画案、福島第1原発事故による避難住民の全員帰還を断念する復興加速指針、事故対策への国費投入を拡大する東電の新再建計画。
政府は昨年末、議論を尽くすことなく、これらの重要な政策を矢継ぎ早に打ち出した。
年が明け、新たな規制基準で原発再稼働を判断する原子力規制委員会の審査が始まってから半年が経過した。早ければ今春にも最初の審査結果がまとまる見通しだ。
エネルギー基本計画案は原発依存度を可能な限り低減させるとしながら、将来の電源構成比率を示していない。時間を稼いで再稼働の既成事実を積み重ね、その結果を追認させようとする意図は明らかだ。
これが原子炉3基の炉心溶融という大惨事を引き起こした国の政策だろうか。事故の反省も再生可能エネルギーを育てる意欲も見えない。なし崩しに原発回帰を図るようなやり方は断じて認められない。
◆サイクル堅持する愚◆
日本原燃は、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理工場(青森県六ケ所村)について、原子力規制委に審査を申請した。
工場は20回も完成延期を繰り返し、本格操業のめどは立たない。
それでも申請に踏み切ったのは、「核燃料サイクルの推進」を盛り込んだエネルギー基本計画案に力を得てのことだろう。
長期にわたって巨額の費用を投じながら、展望が全く開けない国家プロジェクトの事例の中でも、核燃サイクルは最悪の見本だ。
仮に再処理工場が稼働しても、プルトニウムを燃やす高速増殖炉が実用化される見込みはない。
プルトニウムを通常の原子炉で使用するプルサーマル計画は安全性に疑問があり、コストも高い。
日本は既に、核兵器に転用可能な余剰プルトニウムを国内外に44トンも抱えている。さらに増え続ければ、核不拡散の見地から国際的な批判を招くだけだ。
核燃サイクルが破綻した現実に目をつむり、ひたすら延命を図る厚かましさには驚くほかない。
青森県など関係自治体と代替策を話し合い、サイクル撤退の道を追求することこそ政治の役割だ。
◆問題多すぎる再稼働◆
再稼働に向けた安全審査は、北海道電力泊原発を含む9原発16基について行われている。電力各社の地震や津波の想定には甘さが目立ち、安全対策への熱意がうかがえない。
北電も原子力規制委の指摘を受け、最大津波の高さをはじめ火山噴火や竜巻被害の想定などで修正を繰り返してきた。敷地内や海底の活断層の疑いも依然残されている。
規制委は政治的圧力や経済性に左右されぬ原則を貫き、厳格な審査に徹しなければならない。
周辺自治体の住民避難計画作りも遅れている。泊原発から30キロ圏内の13町村は本年度内に作成する予定だが、問題はその中身だ。
計画の基礎となる防災指針自体が急ごしらえで、規制委によってさみだれ式に追加修正された。計画はあっても、渋滞対策など詰めるべき課題が多い。訓練も不足しており、現状では実効性が疑わしい。
政府は再稼働の問題を規制委に、避難計画を自治体にそれぞれ丸投げし、成り行きまかせの状況を静観している。無責任な態度と言わざるを得ない。
少なくとも「原発依存度を下げる」と言うのであれば、全原発が停止している今こそ、その展望と電源多様化の具体策を示すべきだ。
福島の事故後、国内の原発はほとんど稼働していない。政治の意思と目標が明確になれば、多くの国民は新たな挑戦に踏み出す用意がある。
脱原発の見取り図を
跳ね上がる安全対策費、立地対策を含む社会的コストなどを考えれば、原発は割安な電源ではない。あてのない放射性廃棄物処分、福島の事故の賠償、除染、廃炉の費用も際限なく膨らむだろう。
復興加速指針は、政府が福島の一部地域について原状回復を事実上放棄することを意味する。
放射能汚染によって故郷が失われ、人が住めなくなってしまうような事態をコストに換算することなど、そもそも不可能なのだ。
一昨年、民主党政権に「原発ゼロ目標」を掲げさせた脱原発を求める民意は、決して揺らいでいない。
将来のエネルギーの選択は結局、どのような社会に暮らしたいかという根本的な問題につながる。
途方もない危険と巨額で無意味な負担を先送りしない見取り図を描き、真剣に到達の道筋を考える時だ。
そのために国民が議論する機会さえ封じておいて、脱原発の目標をあっさり否定するのは、民意軽視も甚だしい。
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【http://www.asahi.com/articles/ASG1H5T5JG1HULFA023.html?iref=com_top6_01】
政府、東電の再建計画を認定 柏崎刈羽「7月再稼働」
2014年1月15日19時07分
政府は15日、東京電力の新たな総合特別事業計画(再建計画)を正式に認定した。2014年度中に柏崎刈羽原発(新潟県)の4基を再稼働させるなどして、年間で1千億円以上の経常黒字を安定して稼げるようにする。再稼働が想定より遅れた場合、電気料金を最大で1割値上げすることも盛り込んだ。
政府は、原子力損害賠償支援機構(原賠機構)を通じて東電株の過半数を保有し、実質的に国有化している。再建計画は、除染など福島第一原発事故の対応で東電を支援する前提になっており、政府と東電は一体となって原発の再稼働を進めていく。
新たな再建計画は、東電と原賠機構が昨年末に政府に申請していた。認可された計画では、原子力規制委員会が審査している柏崎刈羽6、7号機の7月からの再稼働をめざす。安全対策工事をしている1、5号機も15年3月までに動くと想定し、14年度は1677億円の経常黒字を見込む。
・・・・・・・・・。
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