エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

今どきの人が「ながら族」になる訳

2014-09-20 12:59:56 | エーリッヒ・フロムの真まこと(の行い)

 

 どっちを向いて生きるのか、を明確にするためには、日々の訓練がとても大事になります

 p100のしたから3行目から。

 

 

 

 

 

 

 どんな技術でも身に着けるうえで、集中力が必須条件だと証明することは、必ずしもない必要がないほどです。技術を習おうと思う人なら、誰だって知ってることです。でもね、自己鍛錬以上に、集中力は、私どもの文化では、少数派になっています。逆に、私どもの文化は、集中することにない、散漫とした暮らしをもたらします。それは他に比べるものがないくらい。あなたも、たくさんのことを同時にしてるでしょ。ものを読み、ラジオを聴き、おしゃべりをし、タバコを吸い、ものを食べて、飲む。あなたは、くちをアァンとあけた消費者でしょ。あらゆるものを吸収することに貪欲ですし、吸収しようとしています。絵画も、お酒も、知識もね。集中力がないので、自分と向き合うこと、すなわち、自己内対話ができません。静かに座っていること、おしゃべりも、タバコも、読み物も、飲み物もやらないでいることは、ほとんどの人には不可能です。静かにしてたら、皆神経質になり、落ち着かなくなります。ですから、手か口が何かをせずにはいられません(タバコを吸うのは、集中力がないことの印です。タバコがあれば、手、口、鼻が手持無沙汰になりませんでしょ)。

 

 

 

 

 きついですね。特にタバコを吸ってるあなた! 集中力が欠けてる印だなんて言われちゃったらね。日本でも「ながら族」なんて言葉がずっと前から言われてますもんね。私どもも、集中力が欠けている、「同じ穴の狢」何でしょうね。

 

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やり取りは、悦びによって、次々に広がっていきます

2014-09-20 11:48:29 | アイデンティティの根源

 

 

 神様が支配しているところでは、必ず「やり取り」が生まれます。それ全ては、神様が私どもひとりびとりと、悦んで≪自発的犠牲≫を払ってくださるおかげで、神様と私どもひとりびとりが、「やり取り」のできる関係になれます。その関係から、日々温もりと悦びをいただけるからこそ、私どももお互いに「やり取り」ができる、という仕掛けになってます。

 p347第3パラグラフ。

 

 

 

 

 

 

 私が理解しているところを、自分の言葉で申し上げるなら、こうです。すなわち、これらの引用から明らかなことは、イエスが語る≪神が支配するところ≫とは、イエスの仲介を受け入れた者なら誰にでも開かれた、≪自己内対話≫であると同時に、≪やり取りのある関係≫でもあるんですね。これまで見てきましたように、ヤーウェの神様が、その存在の本質が能動的な神様である以上、能動的に事を始めることが、人間が≪いまここ≫で生きる、ということの大事な特質だと明らかになります。そのような能動性は、イエスが仲介してくれればこそなんですね。というのも、やり取りのある現実とは、ひとりびとりの≪いまここ≫にあるポテンシャルだとハッキリと話し言葉にする声を伝えることが、イエスの宣教の本質だからです。「神様の指がまさに…」。このようなポテンシャルを理解するための条件が、信頼であることを、これまでも見てきましたでしょ。もちろん、この信頼には、悔い改めも含まれます。しかし、ここでもまた、自分個人の形で、普遍的な原罪があることに気づくのは、個人の決断ですし、もちろんこの普遍的な原罪のおかげで、隣人にも同類の普遍的な可能性があると、気付くことにもなることも意味します。こういったことすべてが物語るのは、≪神が支配するところ≫は、もはや固定的な領土(かつて、そういうことがたとえあったとしても)であったり、あらかじめ決められた時間であったりするものではない、ということです。≪神が支配するところ≫とは、神出鬼没のおとり仕切り、神の再臨、「生きる道」です。≪いまここ≫に、将来の期待が満ち満ちていることです。

 

 

 

 

 ≪神が支配するところ≫は、将来の期待がガッチリ詰まった≪いまここ≫を、悦んで生きること、そこには自ずから、やり取りが生じます。将来の期待は、神様との≪自己内対話≫によって、次第次第に明らかなされ、その期待が次第次第に現実になっていることに、はたと気づかされます。それはそれは、嬉しさの限りではないですか。するとね、眼の前にいる子どもと、≪やり取りのある関係≫に自ずからならないはずがありませんでしょ。そうやって、≪神の支配するところ≫は、次から次へと、次第次第に、広がっていくんですね。面白いですよね。

 

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≪関係=やり取り≫を下支えするものは、≪忠実であること≫=自発的犠牲

2014-09-20 06:05:18 | エリクソンの発達臨床心理


 

新しく、大きいものは良い、とする生き方

2013-09-20 03:38:15 | エリクソンの発達臨床心理

 第三章 「『共に見る』ヴィジョン」 第4節 「国家(民族)の1つの夢」はいかがでしたでしょうか?「アメリカ人の夢(アメリカン・ドリーム)」が、それまでの民族間、宗教間の憎悪を乗り越えようとする、人類史で最も有望なヴィジョンだったのにもかかわらず、インディアンの人々と黒人を差別することを、その最初からしていた。「人間を上下2つに分けるウソ」が、いかに、ひとりびとりの無意識に深く入り込み、いかに慣性が高いか思い知らされる感じでしたね。

 今日からは、第三章 「『共に見る』ヴィジョン」 第5節 「『共に見る』いろんな悪夢」に入ります。


 今日も≪約束≫にお話の続きです。 ≪約束≫は≪やり取りのある関係≫と同義です。

一昨日、2014年9月18日の朝日新聞(12版▲)の17面に、児童養護施設「光の子どもの家」理事長 菅原哲夫さんのインタヴューが載りました。虐待児のケアと、≪約束≫について、良い学びができましたので、このブログでシェアしたいと思います。

 まずこの児童養護施設「光の子どもの家」が小舎制の施設であることに特色があります。小舎制と言われても、ピンとこない人も少なくないでしょう。私はもともと知的障害児施設・滝乃川学園の職員ですから分かるんであって、そうでなければ、小舎制・中舎制・大舎制の違いなど分からない。これは1人の居住単位(「寮」とか「ユニット」とか、呼ばれることが多い)に何人の子どもが暮らしているのか? ということです。その人数が少ないほど、一般的な家庭に近く、多ければ、家庭的雰囲気・家庭的配慮とは異なる場になるということです。小舎制はおおむね十名以下と考えて大過ないでしょう。日本の児童養護施設の職員の配置基準(英語では、staff ratio)は、1人の職員に対して子ども5.5人。職員の勤務時間は、労基法上8時間ですから、24時間は基本的3交代。したがって、現実には、1人の職員が16人の子どものケアをすることになります。寮の子どもが20名を超えると、大舎制ですが、日本の配置基準は、大舎制を基本としているといえるでしょう。いま日本の児童養護施設を利用する子どもは、ほぼ例外なく虐待児ですから、日本は、家庭に恵まれず、その育ちが大きく破壊されている子どもたちに、家庭的雰囲気と家庭的配慮からはかけ離れがちな「大舎制でいいや」と言う態度なんですね。憲法13条で

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

と謳われているのにね。

 この「光の子どもの家」では、8つの寮で、2-5人の子どもを1人の保育士が育てているというのですね。朝5時半から朝ごはんを作り、学校に子どもを送り出し、学校から帰ってくれば、時には叱り、時には抱きしめ、夜は寝かしつける。家庭の代わりをこの寮付き保育士がしていることが分かります。これはとても8時間労働の枠に収まるものではありませんでしょ。でも、本気で家庭代わりになろうとしたら、それくらいの覚悟が必要ですよね。菅原さんも、「そのくらいの覚悟がない人は、児童養護施設で働こう、などとはおもっちゃいけない」とハッキリ言っています。それを菅原さんは「自発的犠牲」と呼びます。「なるほどなぁ」と思います。

 子どもたちが抱える課題は、「なぜ自分はここに来たのか?」と言う不条理だと言います。あるいは「自分はなぜ生まれて来たのか?」と言う根源的な問いだとも。そりゃぁ、そうでしょうね。繰り返し殴られ、タバコの火を押し付けられ、レイプされる毎日。そんな中で「自分はなぜ生まれて来たのか?」と問わずにいる方が不思議。

 その問いに一緒に答えをみつけるために、保育士さんたちの「自発的犠牲」がある。なかには、子どもの留学のために虎の子の預金を取り崩して、提供した保育士さんがいるとも。なぜそこまで、できるのか?親でもないのにね。でもね、その方は次のように言ったと言います。「親として当然のことをしただけ」

 やり取りのある関係をしていくためには、これほどの覚悟でなくても、「自発的犠牲」を厭わない、≪関係に対する忠実さ≫が必ず必要です。それが、πιστις ピスティスなんですね。

 

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