17日、大阪・北区の繁華街のビルで24人が死亡した火災で、火をつけたのはクリニックに通っていた61歳の男とみられることが捜査関係者への取材でわかりました。
男は病院に搬送されて治療を受けているということです。
一方、男の自宅では直前にぼやがあったということで警察が事件との関連を調べています。
17日午前10時20分ごろ、大阪・北区曽根崎新地の8階建てのビルの4階部分にある心療内科と精神科などが専門のクリニック「働く人の西梅田こころとからだのクリニック」で火災があり、28人が病院に搬送され、このうち24人が死亡しました。
男性が14人、女性が10人で、身元は確認されていませんが20代から60代くらいとみられ出火当時、いずれも、4階のクリニックのなかにいたということです。
また、ほかの4人については、3人は搬送時に意識がなく、もう1人は軽傷だということです。
警察によりますと、クリニックの待合室に紙袋を持った男が入ってきて、暖房器具の近くに紙袋を置いて蹴り倒し、液体が漏れ出して燃え上がるのが目撃されていたということで、殺人と放火の疑いで捜査本部を設置しました。
捜査関係者によりますと、男はクリニックに通っていた大阪・西淀川区に住む61歳の患者とみられ、病院に搬送されて治療を受けていますが、容体はかなり危険な状態だということです。
また、火災の現場からおよそ3キロ離れた男の自宅では、30分ほど前の午前9時45分ごろに、放火によるとみられるぼやがあったということです。
警察は事件との関連を調べるとともに、18日も現場検証を行うなどして捜査を進めることにしています。
【近所づきあいはなかった】
火をつけたとみられる男の自宅近くに住む60代の女性は「1か月前から見かけるようになった人は、50代から60代くらいで自転車に乗っていました。近所付き合いはなく、家は空き家だと思っていました」と話していました。
火災のおよそ30分前に男の家でぼやが起き、消火活動のあとに女性は家の中を見たということで「家の中には布団が敷いたままで、カセットボンベや水が置いてありました」と話していました。
2つの火災の前の午前8時前には、自宅のドアの鍵を触っている様子を見ましたが、特段変わった様子はなかったということです。
また、火をつけたとみられる男の自宅近くに住む80代の女性は「4、5日前の朝9時前にこの家の横にある自転車置き場から60歳くらいの人が自転車に乗って出て行く様子を見た」と話していました。
この家はずっと電気がついておらず空き家だと思っていたため「引っ越してきたのか」と声をかけると「はい」とひと言、答えたということです。
繁華街のビルの火災の直前にこの家で、ぼやが起きたことについて、女性は、「火は出ていなくて、煙が出ていた。原因については分からないと聞いた」と話していました。