新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

医療の質の向上のために:安全弁を設置できる医療従事者の増加を!

2011-10-29 09:54:47 | 医療

まだ、10時前なので少し記事を追加します。

 

医療事故関係。いろいろ思うところがありますので、一筆書いてみます。

 

       第3回「医療の質の向上に資する無過失補償制度等のあり方に関する検討会」(10月24日、厚労省内)
 厚生労働省は10月24日、「医療の質の向上に資する無過失補償制度等のあり方に関する検討会」(座長=里見進・東北大病院長)の第3回会合を開き、前回と同様に関係者からのヒアリングを続けた。医療事故・裁判を経験した遺族などが意見を述べた。


 同検討会の構成員で、遺族の立場から発言した豊田郁子氏(新葛飾病院セーフティーマネージャー)は、「患者・家族・遺族が一番に望むのは原因究明と再発防止。経済的補償だけでは救済されない」と強調した。また、日本医療機能評価機構の「産科医療補償制度再発防止委員会」で委員を務める勝村久司氏が、参考人として出席。勝村氏は自身が医療裁判で原告だったことを踏まえ、「被害者が裁判に追い込まれるのは、事実のごまかしや隠ぺいがあるため」との考えを示した。勝村氏は、「この検討会で、立場を超えて、みなにとって何が大切なのかを見据えて、議論をしていただきたい」と訴えた。
 ヒアリングを受けて、高杉敬久(日本医師会常任理事)構成員から、「事故を究明して再発防止につなげるのと、補償制度創設には違う視点での議論が必要ではないか」との意見が出た。この他、この日の会合では、山本和彦副座長(一橋大大学院法学研究科教授)が、医療裁判外紛争処理(ADR)の現状を報告した。 次回会合では、無過失補償制度の創設に向けた論点を整理する。

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医療の質の向上・・・非常に重要なことです。
日本の医療は世界でもかなり高い位置にあると思います。それは一つの事実です。
クリントン現国務長官が以前言った日本の医者はまるで『聖職者』のような自己犠牲の精神で働いている
 
という言葉の通り、少なくともアメリカなどでは考えられないような献身的な活動をしているのが日本の医療従事者である。
 
 
これは日本の医療、日本の国民が誇りにしていいところですよね。
 
原因究明と再発防止に関してですが…原子力発電所などではシステム上10個の安全弁があると・・・以前泊原発に行った際に説明を受けました。一つの安全弁のミスが仮に1%(もっと低いらしいです)が10個あるので(0.01)^10となるわけです。
 
医療はコンピューターがやっているわけではないので、安全弁を自動的に設けるわけにはいきません。人のカバーを人が行うことになります
もちろんコンピューターなどでカバーできるところは行うべきですが、それでも人が最終的に確認するのが必要です。
 
そのための人が全くないのが、今の日本の医療だと思っています
 
チーム医療を行うための人数も足りなかったり、一つの診療科を一人で見ていて結局はその人の力量・知識ですべてが決まるようなところもあります(こんな治療:数年前の治療法・・・・を行って効果がないから紹介しました・・・という病院の先生もいて、内心怒ったこともあります)。
 
 
医療の発達は早いので、多くの患者が集まり情報が集まってくる病院の先生ならともかく、あまり見ないような疾患の最新の知識をすべてアップデートするのは不可能です
 
先日の内科専門医試験受験の際にも「この分野は新たにこんな話が出るようになっていたか・・・」と思うところもありました。
 
ファブリー病なんて・・・USMLE(アメリカの国家試験)の勉強をしていた時に覚えてから、知識はアップデートしてなかったので2004年に酵素の補充ができるようになったなんて知りませんでした。もっとも、知らない病気はすべて専門医に送るのですけど(疑えればよいという考え方ですね)
 
ですので…さまざまなシステム整備も必要ですが「より良い医療の質の向上」のため、聖職者並ではなくて…ちょっと頑張っている過労死しない程度の労働者くらいで医師が働ける(うわ~、もうあきらめてるなw)程度の医師数増加、医療従事者の増加は必要だと思います
これは・・・年数の経過とともに新しい分野が出現するだろうという予測もして…こんなことを書いています。
 
もっとも将来「万能薬」みたいなもの(人の免疫を強力に高めて、あらゆる病気を駆逐するようなw  まぁ、自己免疫疾患が出そうですけど)が出てきて・・医者が要らなくなったら余るでしょうけどw
その時はその時ですしw
 
むしろ医者冥利に尽きますよね。医者はいらなくなればなるほど、世の中はよくなっているといってもよいでしょうから。
 
 
 
その時は釣り人として沖縄か北海道に住もうかな・・・・w
では、また。
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鳩山元首相が間違い:沖縄に基地が必要な理由を説明するのが政治家だと思う

2011-10-29 09:45:15 | 国会議員・地方議員連盟

おはようございます

 

今日は良い天気ですね。このあと少し歩いて来ようと思います。

 

さて、今日の最初の記事(夜中のもあるので2つ目とも言えますが)はこの記事を紹介します。普天間問題の件です。

 

普天間移設問題、野田首相は鳩山氏に過剰な気配り 玄葉氏は腰砕け

2011.10.28 22:38 野田内閣

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先をめぐり民主党の鳩山由紀夫元首相が「最低でも県外」と発言したことを「誤りだった」と断言した玄葉光一郎外相。だが、野田佳彦首相はこの発言を鳩山氏に謝罪し「過剰な気配り」を演出、玄葉氏も28日の記者会見で懸命に釈明するなど、腰砕けとなってしまった。

 発端は26日の衆院外務委員会での発言だった。

 「誤りだったと思っている。あの発言を聞いて、鳩山政権ができたらこの問題で終わるのではないかと思い、現実のものになった

 玄葉氏は、鳩山氏が衆院選前の平成21年7月、沖縄県内の集会で「『最低でも県外』の方向で積極的に行動したい」と発言したことに対しこう答弁した。

 これに激怒したのが鳩山氏サイドだ。周辺は語る。

 「『党沖縄ビジョン2008』に『県外移設を模索』と書いてある。それを選挙で言っただけで勝手に言ったわけではない!」

 しかし、普天間問題は鳩山氏が「県外」にこだわったために迷走した。その反省から、首相は日米合意に基づく名護市辺野古への移設方針をぶれずに進めようとしている。

 にもかかわらず、首相は27日夜、鳩山氏らとの会食で玄葉氏の発言について「間違いだ。申し訳ない」と謝罪してしまった。

 玄葉氏自身は28日の記者会見で、首相の謝罪について「直接聞いていない」としたものの、「『誤りだった』との認識に変わりはないか」と問われると「いずれにしても、沖縄の皆さんに大変申し訳ないというのが私の心理だ」とはぐらかしてしまった。

 当の鳩山氏は28日、都内でアレクサンドル・パノフ元駐日ロシア大使と会談するなど、引き続き外交での影響力発揮に意欲を示している。沖縄では鳩山氏の議員辞職を求める声が依然としてくすぶっているのだが。(坂井広志)

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いずれにせよ、沖縄の基地に関して…沖縄の人は気分を害されるかもしれませんが、あの発言は「間違いであった」と思います。

 

理由は対中国を考えるとあそこに米軍基地がなくては意味がないから

 

日本単独で中国軍とやりあえることはないですし・・・おそらく単独で中国と戦争しようという国はないと思います。しかし、逆はありうるわけで・・・。

 

その中国の太平洋進出のふたとなっているのが「沖縄県」であり、その地域の重要性を考えるとそこにアメリカ軍基地がなくてはならない

 

その理由・重要性を県民、国民に説明して、頭を下げてお願いするのが政治家だと思っています。

http://blog.with2.net/link.php?602868

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なかのひと 

そういう意味で鳩山由紀夫元首相の発言は誤りであり、そのことは鳩山氏が謝罪するべきものだと思います。日本国に対して悪影響を及ぼし、沖縄県民に対してもよい影響は与えなかった。

 

沖縄が犠牲になっているのではなく、沖縄でなくてはならないのだと思います。

僕は沖縄が好きです。学生時代に沖縄に行った時も地元の方にいろいろ親切にしていただきました。

 

だから沖縄が犠牲になれとかは思いません。代替可能であればほかの件に移設もありだと思います。

 

しかし、日米安保条約のもとで沖縄にアメリカ軍基地があるから、中国に抑止力が利くのだと思います。

 

世界第六位の排他的経済水域を持つ国である日本。それを守るのは日本だけでは難しいのかもしれません。今は空母を持っても搭載機がない中国は積極的にでてこないかもしれませんが、将来艦載機を満載した中国軍空母が沖縄海域に出撃するような事態にならないように抑止力としての米軍基地があるべきだと思います(自衛隊の基地では抑止力にならん。米軍基地を間違っても攻撃すれば二国との戦争になりますからね、中国は)。

 

それでは、また。

先日の血液学会で・・・6万円分教科書類を買い込みました。

これを含めて6万円分・・・。結婚とかしたら買えなくなるんだろうな~

http://www.nankodo.co.jp/wasyo/search/syo_syosai.asp?T_PRODUCTNO=2263371

P.S

個人的には沖縄県知事にしっかりと説明するべきだと思いますけどね。

 玄葉光一郎外相は28日午前、沖縄県の仲井真弘多知事と外務省で会談した。仲井真氏は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先について「名護市辺野古は非常に無理がある。県外移設を強く要請する」と強調した。これに対し、玄葉氏は「先日、パネッタ米国防長官に『沖縄の声は非常に厳しい状況だ。可能な限り負担軽減の実績を作っていかなければならない』と伝えた」と応じた。

 仲井真氏は米軍基地を抱える県内自治体でつくる「沖縄県軍用地転用促進・基地問題協議会」の会長として、日米地位協定の抜本的な見直しなどを求める要請書を玄葉氏に手渡した。

「琉球王朝時代から…本来沖縄は中国のものだ」といっている時点で、そのうち攻めてくるのは見え見えだと思いますけどね?

コメント (4)
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環境整備が必要・・・(1):デフレスパイラルを一度切るために

2011-10-29 00:47:08 | 医療

さて、続けます。

 

実はすごく眠かったのですが・・記事を書いているうちに目が覚めてきました。もう午前様だよ…とほほw

 

僕は医師を増やさないといけないと思っているのにはいくつかの理由があります。

 

デフレスパイラルに入ってしまったものを改善させるには、システムだけでなく実数の増加が必要だから。

もう一つはやはり絶対数が不足していると考えているからです。

 

デフレスパイラルと書いているのは、例えばわが血液内科(面白いんですよ、別に血液内科はよいところなんです)。

度々書いていますが、まず血液内科は急性白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの血液悪性腫瘍や再生不良性貧血などの造血不全、真性多血症や骨髄線維症などの骨髄増殖性疾患などを扱う診療科です。

こういうと患者さんたちには申し訳ないのですが、命にかかわるような疾患が多いと書かざるを得ません。

治療によって白血球数が低下(特に好中球が低下)すると感染しやすくなります。

体という城を守るために白血球という兵士が4000-8000は常に存在しており、いざというときは10000-20000まで増えて戦えるのにたいして、血液内科領域での化学療法を受けると好中球<1000は当たり前、ひどいと<100まで下がります。というか急性骨髄性白血病の治療ではこれも当たり前です。

そうすれば当たり前ですが抵抗力は非常に低くなり、感染した時にも予備の兵力(まぁ、余裕が全くない状況ですから)がありませんので、一気に持って行かれます。昔、今ほどよい薬がなかったとき・・・適切な対応をしなかったら発熱性好中球減少症の死亡率は7割にも上ったとされています。今はガイドラインで定められていますが、このような状況の患者が発熱して半日以内に治療がはじめられなければ、死亡率はやはりかなり上昇します

 

そういった患者さんたちと一緒に戦っていくのは、いろいろな意味で注意深くないといけません(抵抗力が非常に低くなっていたり、患者さんの気持ちをいかに前向きにできるかというのも重要だと思っています)

そういった状況は医師、看護師ともにかなりストレスです。

 

それゆえ人が減っていくのだと思いますが、先輩方の話を聞くと前線でかなりの患者さんの数を抱えて頑張れるのは…やはり若いうちだけ。最近はその若手が減っていますから・・その上の先生方にも負担が増えていって・・・最終的には血液診療をやめられたりしてしまうとききます

 

そうすると残っている人たちの負担はさらに増加し、ますます「面白くても、一生やっていくには難しい」と敬遠されてしまいます

 

今週の最初のころ、うちの卒業生20年上の先生が講演(授業)に来た際にいってました。

「脳神経外科や胸部外科などで、臨床と家庭を両立しているやつなど見たことない。それほど大変ということだ」

 

今のままではその通りになってしまうと思っています。

 

今のシステムを改善しても、まずはある程度の医師数を増やさないといけません。100が20まで減っても、少しずつ改善させることはできるかもしれませんが、万一0になってしまった場合。誰が元の状況に戻すのでしょうか?

かなり難しいと言わざるを得ません。

 

あと、某A医大では研修医の研修中の進路を制限しています。これは以前にもどこかで書きましたが、基本的には「職業選択の自由」に抵触するような気がします。ただ、一生の仕事として制限しているのではなくて研修のみだから許されるのかもしれません。

これと同じようなことを医師に関して行うか。すなわち職業選択の自由を制限して、地域の制限や各診療科の選択を制限する。

地域や診療科ごとに開業医の定員を設ける?

という話もありました。

 

僕はこれには反対です。理由は「好きこそものの上手なれ」ということが一番です。

アンフェタミンの「心を育む5つの提案」

外科医を志して医師になったにもかかわらず、外科医になることを許されなかったらどうでしょうか?

僕はよく同僚とも話をしますが、医師は医師免許以外に何もないです。そこに制限をもうけられ、自分の道を進めなくなる可能性を考えると・・・医学部に入るのに二の足を踏みたくなります。

もしくはしょうがないのでまずはオーストラリアで研修するとかw

 

優秀な人材を流出させそうですね。

 

僕は今の日本の医療に関しては「医局制度改革」が必要だと考えている人間です。内容に関しては過去の記事にいくつかのっていると思います。

 

また、診療科の振り分けが必要なのであれば・・・きついところには追加のメリットを持たせるしかないでしょう・・・(多分、どこも十分な数がいるとは思えないのですが、特に少ないところに重点配分ですかね。産科などには行いましたが…ほかにも穴があきそうなところはあります)

 

そうやって少しずつメリットを増やして魅力的にするしかないと思いますけどね。

http://blog.with2.net/link.php?602868

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なかのひと 

どうしても「選択しない」のならば「無理やり選択させて見せようホトトギス」みたいな考えが浮いてきていて、なんでかということを重点で書かれる方がいないような気がします。

 

すいませんが、寝不足のためか…若干頭が回らなくなってきました。一回眠ってからもう一度…まとめて書き直したいと思います。

 

それでは、また。

 

P.S

「どくとるマンボウ」の北杜夫さん死去

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111027-00000040-sph-soci

北杜夫さんも子供のころは昆虫学者を目指していたと聞きましたが、僕も実はそうでしたw

昆虫や生物全般が好きで、小学1年生から高校2年までは生物学者志望。

ついでに言うと作家も目指したいと思っていたりw

 

 

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