こんにちは
今週は最初から最後までバタバタした1週間でした。
週途中で書きましたが、週頭に急変した患者さんも何とか持ち直し、ご家族も非常に喜ばれていると聞いております。
あと、今日は久々に実験室にはいかずに朝からランニングと筋トレをしていました。11月末に椎間板ヘルニアが再燃して、いろいろできなくなってから4ヵ月ぶりです。
ゆっくり走って、腕立て伏せ、腹筋、5kgのダンベルを使ったトレーニングくらいしかしていませんが、久々に体を動かしたので少し気分が良いです。
さて、この後昼ご飯を食べて、娘に会いに妻の実家に行ってきますが、その前に一つ。
群大病院の執刀医退職…「納得いかない」と反論
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150403-00050004-yom-soci
読売新聞 4月3日(金)7時29分配信
群馬大学病院(前橋市)で腹腔鏡(ふくくうきょう)を使う高難度の肝臓手術を受け、患者8人が死亡した問題で、病院側は記者会見で、執刀医が3月31日付で退職したことを発表した。
退職金は支払われていないという。
また、病院側が3月に公表した調査報告書に対し、執刀医から反論の上申書が寄せられたことも明らかにした。患者への説明が不十分とされた点について、「時間をかけて説明した」と反論。「全例で過失があった」とされたことには「納得いかない」などとしている。
反論に対し、病院側は「診療記録がないため判断できない」と認めなかった。
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先程、いただいたコメントの返信に昔僕が経験した嫌なことを記載しました。
それは当時はベルケイドがようやく使われ始め、レナリドミドもサリドマイドもない時代。骨髄腫は延命することも難しく、QOLをいかに維持するかという時代に、ISSなどで評価すると3年程度の生存期間が見込める方が5年目くらいに病状が増悪しました。ベルケイドは副作用で中止、サリドマイドは個人輸入して使用してみましたが効果がなく、結局緩和ケア的な方向で進みました(というより、血小板も輸血依存になり手づまりという状況)。本人といつもいる家族とは「緩和的に」という方向で了解を得ましたが、遠方から初めて来た長男が「医療行為を止める(わけではないのですが、積極的な治療はやめるという判断をしたわけです)なんて納得がいかない、おれが本人を説得する」と言って、状況説明後も本人を説得し続けて、本人が折れて治療をすることになりました。
その際に治療をやる(副作用で中断したが効果があったベルケイド)時に「効果があればあったで腫瘍崩壊のリスクもあり、透析ができる状況ではなく致命的、効かなかったら副作用が中心になり、本人がつらいだけになる。」と言っても、長男は(他の患者家族もきいていてくださったのですけど)聞かずに結局やって、予測通りの事になりました。
その際に家族に説明した通りのことになり、この時点で打つ手はなく、苦しくないようにすることしかできないことを伝えました。
(ちなみに僕は前の記事でも書きましたが、教授や他の医師が無理と言っても僕ができると思えば救命に行きます。頭の中でかなりのシミュレーションを繰り返しますので、僕が動き出した場合の救命率は高いんですよ。僕が帰ってきてから挿管したりした患者さんの救命率が上昇したといっていた看護師さんもいますし)
長男以外の家族は「説明を受けたとおりになったのだから仕方がない」となりましたが、長男はその後カルテ差押え+文書提出をされました。カルテに記載がある通りで、説明した通りになりました。病気の予後評価として3年のところが5年になり、原疾患が進行して病気で亡くなったと思いますが・・・とお返事をして終わりになりましたが、説明をきちんとしてもこういう話になったりします。
ですので、僕のカルテの記載は実際はもっと説明していますが、時間の記載(今は電子カルテ上に記載するようになっていますが)とかなり細かい内容(教授に説明しすぎて、身動きが取れなくならないように…と言われるくらい)を記載しています。看護師さんから教科書みたいな説明で分かりやすいと(まぁ、一般の人がわかるように書いていますので)いわれますが、そのくらいしていてもこんなこと言われたりします。
カルテに記載がなければ、いくら説明したといっても無駄です。
ただ、主治医の「全例で過失があったと認定」に納得がいかないというのは非常によくわかる言い分です。群馬大学の体質が見えたような気がしたので、ここの大学には行きたくないなと思いました。
腹腔鏡死亡、群大病院が再調査…調査委提案受け
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150402-00050165-yom-soci
読売新聞 4月2日(木)21時50分配信
群馬大学病院(前橋市)で腹腔鏡(ふくくうきょう)を使う高難度の肝臓手術を受け、患者8人が死亡した問題で、病院側は2日夜、前橋市内で記者会見を開き、開腹手術の死亡問題を含め総合的に検証する委員会を新たに設置することを発表した。
患者が死亡しているのに高難度手術が続いた理由などについて再調査し、真相究明を目指す。
この日、東京都内で開かれた調査委員会で外部委員から調査の見直しを提案されたのを受け、決定した。今回の調査委は、病院側が先月公表した最終報告書を巡り、調査手続きや内容を巡る不備が指摘されていたため開かれた。
調査委では問題点として、〈1〉外部委員が報告書の内容を承認した後に「過失があった」などと無断で加筆していた〈2〉執刀医ら当事者の聴取内容の詳細を外部委員に知らせなかった〈3〉検証もなく高難度手術が続けられた背景が解明しきれていない――といったことが挙げられた。
最終更新:4月2日(木)21時50分
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まぁ、やっぱり群馬大学には行きたくないなぁと思ったのが一つと、どの程度まで亡くなった患者さんが続いたら撤退するべきかというのは難しいと思います。
血液領域では有名な話ですが、非常に悪性度が高く病死される方が多い「NK/T細胞リンパ腫」に対するSMILE療法のことです。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/asco2010/201006/515447.html
http://www.bloodjournal.org/content/120/15/2973?sso-checked=true
http://www.nccn.org/about/nhl.pdf
NCCNガイドライン2014に標準治療として記載されているSMILEですが、治験の最初のお2人が亡くなられ、その後は上のような結果になったと聞いております。
2人亡くなった時点で「この治療は死亡率が高い、やめよう」となれば世界になだたるSMILE療法は生まれませんでした。
もちろん、SMILE療法では死亡例が2例続いたため、さまざまな検証をされたと伺っておりますが、どこで引くのか、どこまでは許容なのかというのは重要だと思います。
まぁ、僕は今回の件はどこかで引くべきだったと思っていますが。
いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。
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それでは、また。