未来技術の光と影。
SIYOU’s Chronicle




「全米テロリスト監視センター」見学レポート
http://wiredvision.jp/news/200709/2007090620.html

米National Public Radioの記者Dina Temple-Raston氏が、メディア関係者として初めて『Terrorist Screening Center(TSC)』を見学した。
連邦捜査局(FBI)や移民局などから派遣された50人ほどの分析官たちが働く、小さな最高機密扱いの部屋に入るために、私の案内人は、小さなキーパッドにコードを打ち込んで重いスチール製のドアを引いた。そして大きな声で一言、「見学中」と叫んで私の存在を知らせた。
それを合図に、部屋の周囲に配置された各小部屋のフラットスクリーンが真っ暗になった。机が並ぶスペースの前方、上から下がっているスクリーンに映っていた巨大な対話型の地図は、単なるセンターのロゴに切り替わった。

基本的にこういったシステムは、人々に嫌われる。

プライバシー擁護論者の恰好の標的だ。

だが、犯罪の常習犯を監視するのは、必要なことであるし、ましてやそれが、一度に何百人もの命を奪おうと画策しているテロリストが相手であれば、国家予算をかけて「やらなければならないこと」である。

問題は、実際には何の関係もない者が、リストに載ってしまうことにある。

私の考えでは、間違ってリストに載ってしまうことがあるのは、しょうがない。許容範囲であろう。と思う。

だが、それが悪用されたり、その情報が迂闊に流出してしまうよなことがあっては、「絶対に」いけない。
そして、万が一、それによって迷惑をかけてしまった場合には、政府は全力を持って彼の潔白を証明し、社会的地位の回復に、全知全霊を持って当たらなければならない。


「前から疑問に思っていたんですが、リストに登録されている人って、それなりの根拠があるんですよね?」
「あぁ、勿論だとも。」
「検問の時に警官に厭味を言って、その憂さ晴らしに登録された。とかの人はいないんですよね。」
「当然だろう。だいたいだな、本物のテロリストなら、そんな些細なことで、イチイチ警察に目を付けられるようなマネはしないだろう。」
「とは言っても、まるで関係のない人間が、誤って登録されている可能性もあるわけでしょう?」
「『誤って』と言うよりは、50万人のうちのほとんどは、テロリストと目されている対象者と会話を交わした。とか、対象者が彼の経営している店に買い物に行った。とか、同じコーヒーショップに居合わせた。などの、恐らくは何の関係もない一般人ばかりだよ。」
「それでは、我々のしている作業は、殆どが無駄に費やさせれていることになりませんか。」
「いや、それは違うぞ。現に、常時マップ上にプロットされている対象者は、全世界の情報組織から目を付けられている者ばかりだ。」
「その他の目撃情報は、どうなるんですか?」
「ログに保存され、定期的なデータマイニング処理で、対象者との接触回数が多い者や、事件が発生した際に、過去にその近辺での目撃情報が多い者などが、自動的に監視レベルを上がって行くようになっているんだよ。」
「コンピュータが自動判別しただけで、あたかも犯罪者のように扱うのは、問題がありませんか?」
「ある閾値を超えた時点で、調査部に対象者の調査依頼が行くんだよ。トップランクにリストされ、常時監視の対象になるには、入念なチェックが施されているのさ。」
「でもこうして、いつも地図上にプロットされた輝点としてしてか監視対象を捉えていないと、ついつい、彼らが人間であることを忘れてしまいそうになりますね。」
「そうだな、常時監視対象に新規登録された時しか、彼らのプロフィールを見ることが出来ないからな。」
「おや?新入りですね。・・・以外ですね。彼女、かなりイケてますよ。テロリストにしては、人目を惹き過ぎるんじゃないでしょうか?」
「どれ、ちょっと、見せてみろ・・・」

『見学中ーっ!!』

「バカ野郎っ!!誰か、そいつを連れて来いっ!!」
「見学者ですか?広報担当ですか?」
「決まってるだろっ!!名前を確認して、2人ともリストの最上位に登録しろっ!!」

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする