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SIYOU’s Chronicle




46年ぶり皆既日食=硫黄島などで観測成功-トカラ列島、悪天で見えず(時事通信) - goo ニュース
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/nation/jiji-090722X475.html?C=S

 日本の陸上では46年ぶりとなる皆既日食が22日午前、鹿児島県のトカラ列島や種子島、東京都の硫黄島などで起きた。硫黄島や、奄美諸島の喜界島などでは観測に成功したが、継続時間が6分25秒と陸上では最長のトカラ列島悪石島(鹿児島県十島村)では悪天候となり、見ることができなかった。

46年ぶりと期待された皆既日食だが、生憎の天候で殆ど全滅だったようだ。

日本の殆どの小学生は、今年の夏休みの自由研究は、これで終わりだと決め込んでいたに違いない。

残念だったな。

今日、一番怖い思いをしたのは、NHKのアナウンサーであろう。

番組の都合上、曇天であるにも関わらず、屋久島からの生放送は敢行された。

「生放送中の沈黙」を恐れたNHKのアナウンサー(だと思う)は、苦し紛れに「ところで、この『屋久杉』はどうですか?」と、あり得ない『ふり』をしてしまった。
「・・・」流石にこれには、屋久島取材コーディネーターの田平拓也さん(と思われる)も返す言葉がなかった。

恐ろしい一瞬であった。

「曇天下での皆既日食生中継」そのシュールな状況を番組として放映してしまったNHKに拍手を送りたい。

今日の悪天候を見越して、町のおもちゃ屋では、日食観測メガネを投げ売りしている様子が見られた。

「『日食観測メガネ』いかがですか?」
「あー、もう、持ってるよ。それに、どーせ明日は晴れないでしょ?」
「だからこそですよ。この『曇天用日食観測メガネ』、いかがでしょうか?」
「『曇天用』?普通のと、どう違うんです?」
「フィルターの部分が切り取ってありますので、曇り空でも良く見えます。」
「・・・それでは、メガネをする理由が見当たりませんが?」
「いえ、ぜんぜん違います。ただ漠然と眺めているのと、観測するという行為とは、似ているようで全然別モノなんです。この『曇天用メガネ』を着用することによって、『観測するんだ』という心構えができ、観測に集中することが出来るんですよ。」
「んー、なんか一理ありますね。」
「でしょう?今なら3枚1000円でいかがですか?」
「いや、それなら自分で切り取っても同じなんで。(危ねー、危ねー。。。)」

一見、もっともらしい理由があったとしても、人の言うことを鵜呑みにしてはいけない。

自分の本能が何かを知らせようとしている時に、ちゃんと「?」と思える心を持つこと。

それには、子供のころからの、身をもって何かを調べるという体験が大切だ。


「明日、雨だそうですね。」
「ええ、困りましたね。夏休みの自由研究は『日蝕観測』に決めていたんです。」
「ほかの探さなきゃいけませんね。」
「それはムリですね。うちの子は来年中学受験なものですから。」
「ですから?」
「塾の方でも、学校対策で、その日は日程を空けてくれているんです。」
「そこまで、やるんですか?」
「ええ。他の選択肢はありません。なにがなんでも、明日の出来事にて『自由研究』を終わらせないとダメなんです。」
「いっそ、雨乞いの踊りでも踊りますか?」
「雨、振らせてどーするんですか。・・・でも、それ、良いかも知れませんね。」
「はい?」
「太古の社会では、日蝕が起こると民衆は恐れ慄き、シャーマンが祈祷を行ったものです。また、日蝕時には、急激な気温の低下によって、日蝕雲が発生するとの言い伝えもあります。雨乞いとはそもそも、踊りを踊ることよりも、火を焚いて上昇気流を発生させることによって、雨雲が発生することを期待する儀式なわけです。」
「ですからそれでは、余計に曇ってしまいませんか?」
「ひょっとすると、上昇気流がポッカリと雨雲に穴を開けてくれるかもしれません。」
「いくらなんでも、それはムリでしょう。」
「予測を立て、実験し、経過を観察して、結果を考察してまとめれば、『自由研究』は成り立つんですよ。実際に晴れる必要はありません。」
「んー、なんか一理ありますね。」
「それに『日蝕と祈祷』という観点から、社会学的な考察をすることもできます。ただ皆が同じように、時刻と欠けた太陽の絵を並べただけの画一的な自由研究ばかりになるよりは、よほど学術的な価値が高いとは、思いませんか?」
「そう言われると、なんとなく良さそうな気がして来ました。」
「そうと決まれば、早速、心当たりを当たってみますね。」

 ・・・

「会場は、神社の境内が借りられました。」
「良く、借りられましたね。」
「ええ。ただ、日曜のお祭りの準備で、既に境内の中央に御神輿が飾られているので、キャンプファイヤーは無理でした。その代わりに、篝火を焚く許可はもらいました。」
「篝火ですか・・・」
「かなり大型の篝火台が、境内に12基ありますので、下手なキャンプファイヤーよりは火勢が出るかもしれません。」
「それは、凄いですね。」
「ただ、さすがに神主さんは参加できなとのことなので、近所に住んでいるガイジンさんにシャーマン役を頼みました。」
「ガイジンさんって?」
「それが偶然にも、古代文明の研究をされている方で、西洋のシャーマンの風習にも明るいそうです。」
「なんだか、本格的になって来ましたね。」
「では、明日、よろしくお願いします。」

 ・・・

「これ、何語でしょうね?」
「ヘブライ語だそうです。」
「そろそろですね、いくらか暗くなって来ましたし、風も出てきましたね。」
「なんか、この光景、前にも見たことがある気がするんですが。。。」
「ええ、実は私もなんです。なんか風、すごく強くなって来ましたね。」
「ええ。ちょっとやり過ぎじゃないですか??これ、マジで危ないですよっ。」
「見て下さい!!信じられませんっ!!雲に穴が開きましたっ!!!」
「・・・思い出しましたっ!インディージョーンズですよっ!!」
「て、ことはっ!!!」
「いけないっ!!みんな目をづふってっ!!決して目を開けてはいけませんっ!!」

 ・・・

「ビューティフォー・・・」

 ・・・

「治まりましたね。みんな大丈夫ですかっ!?」
「幸い子供達は皆、『日食観測用メガネ』をしていたので、全員無事です!」
「いや、さすがに、メガネの有無にかかわらず、映画のような超常現象が発生しなかっただけじゃないですか?」
「いや、そうでもないようです。アライグマさんとこのお父さんが、持って行かれたようです。」
「あぁ、あの、『曇天用』を自慢してらした方ですね。」

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