ART&CRAFT forum

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プライスプリット展報告

2018-01-24 14:58:51 | プライスプリット展
◆プライスプリット展会場風景
会期:2005年10月11日(祝)~15日(土) 会場:千疋屋ギャラリー

2006年1月10日発行のART&CRAFT FORUM 39号に掲載した記事を改めて下記します。

プライスプリット展報告


 撚りひもの撚りを割り、そのすき間に撚りひもを通しながら平面をつくるPLY-SPLIT(撚り割り技法)はインド西北部砂漠地帯の牧畜民がらくだの腹帯づくりのために発明したユニークな技法です。
 この技法については1980年頃より欧米の研究者による調査が行われ、ついに1998年、僻地に5回も足を運びつくり手より直接学んだ貴重な技法を網羅したPeter先生の完璧な技法書が出版されました。
 私はかなり以前にこの不思議な技法の腹帯に出会い、早速入手したものの織りでも組みでもない技法は永い間謎のままでしたが、この本で謎解きができたばかりでなく、たった二種類の基本技法だけで平面より立体に多様な展開が可能なことを学びました。
 織り、編み、組み構造の要素と重なりながら更に撚り特有の作用が加わることで表現の巾が拡がるPLY-SPLIT。このプリミティブな手仕事にひそむつきない魅力を多彩な作品に展開することができた第一回展も無事に終了。これからも意欲的なつくり手のお仲間と共に、互いに学び合いながら私も制作活動を続けたいと思ってます。  嶋貫昭子

雨森浩子 Hiroko Amemori

 プライ・スプリットの織や組や編みでもない組織・構造に興味を持ち、講習会に参加したことをきっかけに、学び始めました。
 グループ展では5点作品を展示しました。4点は同じ素材(ビニロン)同じ方法で制作し、糸の太さや撚り加減(甘撚りか強撚りか)が違うと出来上がるかたちや表情がどれだけ多様になるのかを意識したものです。
 もう一点は不安定な荒い網のような組織のパーツをつなぎ合せて構成した作品です。
 私は織で立体的な作品を制作する際、製織後何か手を加えることが多くあります。手を加えることに必然性があるのか作為的になっていないか常に気にかけています。プライ・スプリットの場合そのようなことを意識せずに立体作品ができてとても新鮮でした。  

◆stem v

杉山佳子 Yoshiko Sugiyama
かなり以前になりますが、Split-Ply Twining V.I.Harvey 1976 という本が手に入りました.それによると1974年の ある会合で、新しいテクニックが議論された、そのわずか 二年後に出版された本だったことになります。オフルームの 技法のひとつとして、気になっていたのですが、島貫先生の 講習会で、教えて頂くことができました。                 
 今回の作品はなるべくシンプルにとした結果、単色、表面は スムースで、凸面(あるいは裏返して凹面)のみで構成することにしました。重いものを通って、気泡のようなものが、もがきながらも突き上げていくイメージで、‘上へ’という題にしました。意に沿ったものができたとは考えにくいですが、これからも、思いが伝わるような作品を目指したいと思います。

◆上へ

田中通子 Michiko Tanaka
織ることを中心の作品づくりでなく、糸を用いて平面、立体の作品づくりが出来ないだろうか。組む、編む、もじる、結ぶ等の技法はあるけれど・・・と新しい技法を求めていた頃、島貫昭子先生のプライスプリット・ワークショップでの出会いが私にとって今まで考えられなかった作品づくりへのきっかけとなった。
この技法を用いて、平面、立体作品を制作する過程で様々な素材、自由なデザインとコンセプトで表現できる作品につながっていくことに、この上ない嬉しさを感じています。
今はまだ作りながら考え、試行錯誤を繰り返しながら、新しい技法への模索が始まったところです。今回の作品はプライスプリットの二つの技法を平面作品と立体作品を制作してみました。

◆zokei Ⅰ

原すがね Sugane Hara
 初めてこの技法に触れた時、撚りに添って紐が整然と配されること、組み方によっては自由自在な動きが展開できることに興味を持った。サンプル制作で用いた既成のロープから、どのようにしてその技法を自分の方へと引き寄せ、作品としていくか迷った。そして、普段ミシンワークに使用しているオーガンジーを細幅に切りステッチを掛けて組んでみたところ、柔らかく透明感のある表情そのままの作品が出来た。そこから発展させ、部分的には布地の状態を残し、撚りに強弱をつけ素材の変化を見せる「Metamorphosis」という作品へと結びついた。その後は和紙を撚って組んでみたり、素材づくりから関れる点が魅力だと感じている。今後はロープで組んだものに漆を施したり、大きな作品に取り組みたい、と興味は尽きず、自分の中にひとつの技法として定着したようだ。そして、引き続き研究会に参加させていただきながら、嶋貫昭子先生の指導者としてのあり方からも多くを学ばせていただきたいと願っている。

◆Metamorphosis

水谷恵子 Keiko Mizutani
 私は今まで織りの制約の範囲内で、半立体から立体に表現するのに、構造的な事を考える、張りを持たせるなどの試行錯誤を繰り返して取り組んできました。プライスプリットは織りと違って、気軽に糸によるドローイングをするかのように始めることが出来、それが面となり後で手を加えなくても自然に立体にする事もできます。それは私にとって、作る事の楽しさを改めて感じさせてくれるものでした。それに織りで表現するのが難しかった曲線を表現する事が出来るのも、魅力の一つでもあります。いつか織りとプライのコラボレーションによって、遊び心をプラスした新たな作品が展開できればなと思っております。

◆Seven


石橋みな美 Minami Ishibashi

プライスプリットという技法と初めてであったのは、島貫昭子氏の個展である。その後、東京テキスタイル研究所でのセミナーで、実際にやってみることが出来た。通常わたしが多い用いる技法は、棒針編み、鉤針編みなどの「編む」技法である。編むときには糸はほとんど切らない。一本につながっているのが基本である。ところがプライスプリットは、あらかじめ一定の長さに切られた糸を使う。何十本もの糸を測り切断しておく。このことに少々の抵抗感がある。そしてこの抵抗感に新鮮さを覚える。
 この技法はいたってシンプルである。糸の撚りの間に別の糸を通すことの繰り返しだ。単純であるがゆえに、多様な展開で作品にすることが出来る。規則性を重視した幾何学的なもの。密に組むことで出る色糸効果。硬くきっちりとした組織を生かした立体。さらには撚りを飛ばして通して透け感を出した軽やかなもの。
 今後は、その多様性の中に、更に編む技法を取り入れていきたい。どういう形で融合できるか探っていくのが当面の課題である。

◆そらにすかせば

高宮紀子 Noriko Takamiya
作品の素材はDIY店で購入した木綿コード。POTという方法(材同士が通し通される方法)で作っている。いつもはかごの方法で作品を作るので、それらの方法とどう違うのか関心があった。今回の作品は、かごの技法の組み技法とPOTの外見がよく似ていることから発展したもの。方法を限定して、どういう性質があるのかを探ってみた。
作品の中は空洞。それぞれの材の進む方向を変えて全体を曲げた。かごの組みの操作方法とは違う点があり、これでも曲がる!と思い面白かった。プライスプリットでは材の撚りの性質が鍵となっているが、私にとって撚り自体を追求することは難しい。むしろプライスプリットの原理を展開した作品を作りたいと思っている。

◆組とPOTの間

林 真紀 Maki Hayashi
私は今まで、経糸と緯糸(織り)の世界で製作を続けてきました。島貫先生と出会い、プライスピリットの技法を学ぶ機会にめぐり会い、表現方法が無限にある事に気づかされました。今回の展示会では、生糸とウール擬麻を使用し、仮織り、染色、本織し、上下の房に撚りをかけました。いくつもの房を思いままに組み、SomethingNice が生まれました。しかし漠然としたイメージのまま作業を進めた結果、自分の力不足を実感する作品となってしまいました。After Dark ではまず、どのように展示し見せるかを考え製作しました。そのせいでしょうか、いくらかまとまりのある小作品になったと思います。
これからも自分に挑戦し、作品を制作し続けていきます。第1回目の展示会を終え、いつも暖かく見守ってくださった三宅さん、熱心に指導をしてくださった島貫先生、すばらしい仲間に出会えたことを感謝いたします。

◆After Dark 2

星野泰子 Yasuko Hoshino
 編んだり組んだりして出来上がったものを目にした時、その形ができる迄のプロセスはどのようであっただろうか、と考える。思いもよらぬ方法でできていることもある。
 結果的に縒りの間を他の糸が通っているということは、トワイニングでも、ブレイディングでも、ループ操作組紐などでも起こりうる。縒りの間を割って通すということは、思いもつかなかったので、虚を衝かれたような気がした。
 プライ・スプリット技法で、POTとSCOTとを組み合わせて立体をつくってみた。紙素材であることを利用して、片方又は両方共端をループにして、端が見えることを試してみた。縒ると同時に縒りを戻すことによっても、別の表情が現れることに面白さを感じた。

◆静物

渡辺由紀子 Yukiko Watanabe
 プライを初めて見た時、不思議でおもしろくて、どこからでも始められ、交差でき、立体になり、すぐに魅力に引かれてしまいました。なんとか球にしたい欲求にかられ、何度か挑戦し、球体ができあがりました。始めは4本を1本の帯として作っていく時の糸の動きが見えにくいので、多色で制作していましたが、一色にしてみると何かもの足りない気がして、制作後に染めてみることにしました。撚りをこじ開けて組む技法なので、水に浸して水を含んでいる時は硬くパンと張りがあったものの乾燥すると糸の間がスカスカになってしまい残念でした。これもやってみないとわからないこと、また新しい形や組み方にチャレンジしていきたいと思っています。

◆Al棒 Alボール


ピーターコリンウッドさんの本は研究会のメンバーにとってバイブルのような存在です。展覧会の写真をお送りしたところ下記のようなメッセージをいただきました。

I was VERY impressed with the catalogue of the ply-split exhibition. You in Japan seem to have taken the technique to new areas. You are so inventive with shapes, materials, concepts. I now think Japan is the Ply-split Capital of the World!
Congratulations
Peter Collingwood

プライスプリット展のカタログはとても印象深いものでした。あなた方は独創的な形や素材、コンセプトにより、日本でその技術の新しい境地を開きました。今や世界の中で日本がプライスプリットの中心地だと思います。
おめでとうございます。
ピーター・コリンウッド

昨年、アメリカ・ポートランドでプライスプリット展を企画したリンダヘンドリクソンさんからも、「形、素材といい現代におけるプライスプリットの最も興味深い作品は、日本で展開されているのではないでしょうか」というメッセージを頂きました。

プライスプリット展2nd報告

2017-09-14 10:40:12 | プライスプリット展
◆ プライスプリット展2会場風景
会期:2007.4.23(月)~28(土) 会場:千疋屋ギャラリー

2007年7月10日発行のART&CRAFT FORUM 45号に掲載した記事を改めて下記します。

プライスプリット展2nd報告


この4月に、前回から約一年半を経て、第二回プライスプリット展を第一回展と同じ千疋屋ギャラリーで開催することができました。当研究所のセミナーで出会ったメンバーを中心に、島貫先生を囲んでの隔月の研究会も軌道に乗ってまいりました。織、バスケタリーなどの他分野での経験の長いメンバー達は、それぞれの分野とプライスプリットを合わせて研究する事で独自の作品を生み出そうとしています。
プライスプリットは紐やロープの撚りを割って通していくという単純な技法ですが単純なだけに応用できる範囲が広く、まだまだ何か出てきそうです。亀の歩みの私たちに辛抱強くご指導くださる島貫先生をはじめご来場くださった皆さま、応援してくださっている東京テキスタイル研究所の三宅氏に改めて感謝したいと思います。
これからも研究会を重ねながら制作を続け、次回展覧会では更なる展開をお見せできるように一同励んでまいります。


雨森浩子 Hiroko Amemori
cross overは、プライ・スプリットによる、ある規則性を持たせたユニットを組んでいくことによって構成した作品です。1つ1つは単純で幾何学的な構造体でも連続性をもたせ組み合わせることによって広がりのあるかたちへ変貌していくことを意識して制作しました。そして見る人にさまざまなイメージを喚起させることを意図しました。プライ・スプリットは大変シンプルで素朴な技法であるができあがった組織・構造は大変しっかりしているので今後は実用的なものも制作していきたいです。今回「インド・ラバーリ社会の染織と儀礼」の著者上羽陽子氏に作品展を御覧頂きました。現在もラバーリ族の男性たちは、山羊の毛や身のまわりにある繊維を撚ってプライ・スプリットのらくだの腹帯を作っていると伺い、ますます興味を深めました。

◆cross over

杉山佳子 Yoshiko Sugiyama
 プライスプリットでは、作業中にそのまま途中で手を離しても組織が崩れることもなく、安定した平面を保ち続ける。その面に折り目をつけて曲げようとしても、まったくできない。しかし、安定した組織の均衡を破ってみると、平面が自ら鋭角に曲がってくる。糸が勝手に立ち上がったという趣が不思議で面白く、今回は角度をつけた形にしてみた。組織が平面上でジグザグに動くのに加えて、それが空間に起き上がってくれば、できてくるかたちは、 無限にある、かもしれない。

◆北へ

田中通子 Michiko Tanaka
 プライスプリット技法との出会いから、第1回作品展を開き、その後も島貫先生を中心にグループの方々と共に研究会を重ねてきました。その成果を今年第2回作品展で発表する機会を持つことが出来ました。
 今回私は作品創りをする上で、テーマを「新しい素材で」、「糸創りから形あるものを」、「表現の自由で立体を」などの可能性を作品展開に取り入れ、模索してみました。 「造形Ⅰ」の作品は異素材のステンレス線を用い、柔らかな光をもつ魅力が表現出来るようにと制作しました。「造形Ⅲ」の作品は二色の糸を四本撚りの糸に創り、表と裏の異なる色を表現し、立体作品に展開しました。それぞれの素材と色相のもつ魅力を表現する難しさを今回の作品をとうして学び、反省と共にこれからもこの技法のもつ魅力をひきだせる新しい作品が展開できるように研究を重ねたいと思っています

◆zokei Ⅲ

原すがね Sugane Hara
 テキスタイル素材の魅力は、曖昧ながらも空間を支配する力を持つところだが、そのフレキシブルなところが物足りなく感じる時もある。その点プライ・スプ リットは織組織のようにしっかりとした緻密な構造による可能性と、自由な造形性を併せ持っている。それらを活かし、今回の展示作品には用途性を持たせる ことにした。工業製品のロープで制作したアクセサリーと綿ロープを漆仕上げにする作品を試みた。プライ・スプリットの作品を型取りした陶器を焼く作業 は、残念ながらまだ成功していないが、いずれ「縄文土器」ならぬプライ・スプリット文の作品を完成させたい。自分の中に新しい面を発見できるこの技法へ の興味は尽きない。

◆黒い果実(ブローチ)

水谷恵子 Keiko Mizutani
 今回の私の作品は、前回のプライ展で出品した作品の延長にあるもので、より大きくユーモラスになるように展開しました。織りの制約では表現できない形を、プライによってどれだけ自由に形にすることが出来るかが今回のテーマでした。これからのプライの可能性としては、また新たな形に取り組んでみたいと思っていますが、少しの形の面白さの発見が次の可能性へと繋がり広がって行くのではないかと思います。其の枝葉はプライ以外の表現をプラスする事もあるかもしれませんが・・・今はまだプライの制約の中の可能性を見つけているところかと思っています。

◆green circle 共生


石橋みな美 Minami Ishibashi

 編む技法とプライスプリットとを組み合わせて制作してみた。まだまだ試作である。
素材について考える必要があるし技法の組み合わせ方についてももっと複雑にしなければならない。
まだまだ面白い事が眠っていそうである。焦らず追及していこうと思う。

◆……

高宮紀子 Noriko Takamiya
 PSは『通し、通され』という二つの技術だけというのが面白く、その意味、機能を形にしたいと考えた。『通し、通され』というのを、お互いの動きや方向という点で考えてみると、『通し』の場合は動きに余裕があるが、『通され』の場合はそれまでの動きが止まる、このことを構造として捉えたいと思い、組織の間を長く開け、20mのきつく撚ったロープの両端を動かして『通し、通され』を繰り返した。翌朝、形を見てみると、少し動いている! 一晩の間にお互いのエネルギーが関係して少し動いたようだった。全体の形は限られたスペースの中で『通し、通され』の関係を繰り返した結果の形となっている。偶然か必然か、どちらともいえる形だろうか。

◆Twined connection

林 真紀 Maki Hayashi
 数年前、知人に韓国のちょ麻をいただきました。いつかこの糸を使い作品を制作したいと思いつつなかなか実行できませんでした。今回、織りとプライ・スピリットの技法を組み合わせ、風が通りぬける透けた作品をイメージした時、この糸を使ってみようと思いました。作品 uf ちょ麻の扱いに苦戦しながらも小さな正方形の布ができ、赤木のふし糸で織った布と重ねました。三方の房に撚りをかけ、そこに別に用意した2種の撚りをかけた糸を足し、プライをしました。この時に糸の違いによって生じる膨らみ、縮みの面白さが現れ、思いもよらない造形が生まれました。作品 uff 平織りの布の透明感を生かし、撚りを開いて通す間隔をあけることで織り布と一体となり、軽快な作品になりました。

◆uff

星野泰子 Yasuko Hoshino
 今回試みたことのひとつは、手漉き和紙を積層することである。これは、フェルト造形の時に何層も積層した経験から着想したものだ。積層した和紙をテープ状に切って撚りをかけると、和紙にシワができて立体になってゆく。撚りヒモ同士でプライ・スプリットを行うと、更に複雑なシワが生まれた。切り込みの穴の部分の変形と、ヒモが組まれていく部分の変形の対比が面白い。
 もうひとつは、リンキングである。編み袋のリンキングのように組み目が動くものとは異なり、プライ・スプリットのリンキングは組み目が固定されて、空間のドローイングのような楽しさがあった。緻密な面の構成や、ドローイング等様々な可能性がありそうだ。

◆Lost and found

渡辺由紀子 Yukiko Watanabe
 プライスプリットの魅力は撚りのある糸であれば、どこでも作業できること、道具も使わずに持ち運んで行え、平面も立体もひも状ののものも、袋もいろいろな形を作ることができることです。
特に織物をやっていたことのある人は道具とスペースを必要とする作業から開放され、平面から立体への変化ができ、糸の動きの自由さから魅力を余計に感じられると思います。
しかし、なかなか思いどうりにはたやすく作らせてくれません。造形の可能性は限りなく広く、素材との組み合わせなど、これから探っていきたいと思っています。

◆花びらのかご


松岡るみ  Rumi Matsuoka



◆さだまらないもの


●プライスプリット(Ply-Split)とは
 インド北西部の遊牧民に古くから伝わる、この地域独特の技法です。撚り合わせた繊維(主に山羊)の撚りの間にもう一本通し入れる「撚り割り」技法で、この地方ではラクダの腹帯に用いられてきました。実用的な面と、お祭りに用いられる等装飾的な側面を持っています。現代ではその技法を活かし、世界各地で様々な素材により造形作品が生まれています。日本では嶋貫昭子先生が先駆者として研究・制作発表なさっています。