昨日、Billy Eriot (邦題 リトルダンサー)という
映画をテレビで久々に観た。
自分で見たい人は、以下読まないでくださいね。
大筋のストーリーがばれちゃいます。
ダーラムという炭鉱の町でダンサーを夢見る少年と
その家族の話。
マイクの出身地の近くということもあり、わたしも
何度か訪れたことがあり、映画に出てくる人々が話す
独特の北西部訛りもとても懐かしい響きだったりする。
主人公ビリーがバレエに目覚め、夢中になるという
メインプロットに、労働者階級が働く炭鉱閉鎖の
ストライキと、貧しさ、母親を失くした父子家庭の
悲しみとが絡み合ってストーリーが展開していく。
妻の死から立ち直れないでいる父。
クラシックバレエのとりこになる主人公ビリー。
バレエなんて女のすること、男は強くたくましく
あらなければならないという父を始めとする周囲の
偏見。
そういった色々を情熱で乗り越えていく主人公。
そして周囲も少しづつ彼を理解しはじめる。
息子がバレエをすることに猛反対だった父親が、
コミュニティセンターのようなところで息子が
の踊る姿を見て、心動かされる父親。
そして失くした妻の形見を質屋に持っていって
換金し、ロンドンにあるロイヤルアートスクール
でのオーディションにかかる費用を用立てする父。
その前にも貧しさのゆえに、妻の愛用していたピアノ
を斧で壊し、クリスマスの暖炉にくべる薪の代わりに
したり、妻の思い出を家族のために捨てなければならない
選択を迫られるシーンとかもそうだけれど、悲しみに
くれ、失くした妻との思い出に浸っていたいだろう父が
それらと決別をするシーンがとても心に痛い。
息子(ビリーの兄)が「母さんが死んでから、父さんは
全く役立たずになってしまったよ!」と痛烈な言葉を
投げつけるシーンがあるのだけれど、父親は妻の死を
きっかけに、将来に眼をむけられなくなっていた。
炭鉱に働く父、失くした妻とその思い出に生きること、
男は強くたくましく、そして教養よりも肉体労働さえあれば
いいとされた労働者階級の価値観→過去の象徴
ビリーがクラシックバレエをすることを許すこと、
教育を受けさせるために子供をロンドンを送り出すこと
→将来、未来の象徴
子供の将来、未来のために、父親に「過去」との決別が
迫られ、父親がそれを選び取っていくのだけれど
その痛みに裏打ちされた勇気と子供への深い愛情が
この映画をとても深めているような気がする。
失くした妻への愛と悲しみを昇華させて、子供を未来
あるものへと生み出す父。
そして「妻を失くしたやもめ」という存在から、
「父親」として力強く立っていくのである。
そして子供は未来に向けて羽ばたく。
最後にビリーが出演するバレエ公演に父親と兄が
招待されて、ロンドンへと赴く。
そして舞台に立つビリーの姿を見る父親の輝いた
眼と表情がとてもいい。
一言の台詞もないのだが。
全編に渡るイギリス映画のリアリズムな姿勢がいい。
で、この映画のテーマは父子愛なんだろうと思う。
浮ついた言葉で飾られることのないストイックな愛。
そしてその裏には父親が1人背負う深い悲しみや
痛みがある。
そこに人々は純粋を見て、深く感動するのだと思う。
で、きっと多くの父親というものは、語らない(語れない)
思いを1人抱えて、孤独にひたむきに子供たちを愛している
のではないかとも思うのである。
切ないねぇ・・・
映画をテレビで久々に観た。
自分で見たい人は、以下読まないでくださいね。
大筋のストーリーがばれちゃいます。
ダーラムという炭鉱の町でダンサーを夢見る少年と
その家族の話。
マイクの出身地の近くということもあり、わたしも
何度か訪れたことがあり、映画に出てくる人々が話す
独特の北西部訛りもとても懐かしい響きだったりする。
主人公ビリーがバレエに目覚め、夢中になるという
メインプロットに、労働者階級が働く炭鉱閉鎖の
ストライキと、貧しさ、母親を失くした父子家庭の
悲しみとが絡み合ってストーリーが展開していく。
妻の死から立ち直れないでいる父。
クラシックバレエのとりこになる主人公ビリー。
バレエなんて女のすること、男は強くたくましく
あらなければならないという父を始めとする周囲の
偏見。
そういった色々を情熱で乗り越えていく主人公。
そして周囲も少しづつ彼を理解しはじめる。
息子がバレエをすることに猛反対だった父親が、
コミュニティセンターのようなところで息子が
の踊る姿を見て、心動かされる父親。
そして失くした妻の形見を質屋に持っていって
換金し、ロンドンにあるロイヤルアートスクール
でのオーディションにかかる費用を用立てする父。
その前にも貧しさのゆえに、妻の愛用していたピアノ
を斧で壊し、クリスマスの暖炉にくべる薪の代わりに
したり、妻の思い出を家族のために捨てなければならない
選択を迫られるシーンとかもそうだけれど、悲しみに
くれ、失くした妻との思い出に浸っていたいだろう父が
それらと決別をするシーンがとても心に痛い。
息子(ビリーの兄)が「母さんが死んでから、父さんは
全く役立たずになってしまったよ!」と痛烈な言葉を
投げつけるシーンがあるのだけれど、父親は妻の死を
きっかけに、将来に眼をむけられなくなっていた。
炭鉱に働く父、失くした妻とその思い出に生きること、
男は強くたくましく、そして教養よりも肉体労働さえあれば
いいとされた労働者階級の価値観→過去の象徴
ビリーがクラシックバレエをすることを許すこと、
教育を受けさせるために子供をロンドンを送り出すこと
→将来、未来の象徴
子供の将来、未来のために、父親に「過去」との決別が
迫られ、父親がそれを選び取っていくのだけれど
その痛みに裏打ちされた勇気と子供への深い愛情が
この映画をとても深めているような気がする。
失くした妻への愛と悲しみを昇華させて、子供を未来
あるものへと生み出す父。
そして「妻を失くしたやもめ」という存在から、
「父親」として力強く立っていくのである。
そして子供は未来に向けて羽ばたく。
最後にビリーが出演するバレエ公演に父親と兄が
招待されて、ロンドンへと赴く。
そして舞台に立つビリーの姿を見る父親の輝いた
眼と表情がとてもいい。
一言の台詞もないのだが。
全編に渡るイギリス映画のリアリズムな姿勢がいい。
で、この映画のテーマは父子愛なんだろうと思う。
浮ついた言葉で飾られることのないストイックな愛。
そしてその裏には父親が1人背負う深い悲しみや
痛みがある。
そこに人々は純粋を見て、深く感動するのだと思う。
で、きっと多くの父親というものは、語らない(語れない)
思いを1人抱えて、孤独にひたむきに子供たちを愛している
のではないかとも思うのである。
切ないねぇ・・・