まあどうにかなるさ

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いじめについて

2010-01-26 18:37:41 | 書評

余り考えたくないことだが、もし、自分の子供がいじめに遭ったら・・・
僕は幸いにも、ほとんどいじめとは無関係にこれまで過ごしてきた。
小学校でも、中学校でも周りにいじめはなかっと思う。
高校の時は少しはあったが、現代に報道されてるような深刻ないじめではなかった。せいぜい使い走りがあった程度。
現代のいじめは大人が想像する以上に残酷で、誰もが被害者になりうるという。
息子が小学校のときに学校でいじめはあるの?と訊いたことがあるが、ないとの返事が返ってきた。
ほっとしたが、水面下のいじめに息子は気がついていないだけだったかもしれない。
もし、わが子に火の粉が降りかかったとき、親として何が出来るだろうか?
『教室の悪魔』という本がある。
児童相談所に勤める児童心理司が著した本で、いじめに対する対処方法が具体的に書かれている。
それまでのいじめに関する本は、命の尊さを書いたような少し的外れなものや、格闘技を習わせるのも一法などと、非現実的なことが書いてあったりするものが多かったように思う。
この『教室の悪魔』はいじめの恐るべき実態や具体的な対処法が書かれてあり、とても興味深い。
いじめの実態の中で特に衝撃的だったのは、日によっていじめのONとOFFを使い分けるというもの。
クラスの全員からいじめに遭っている子が、ある日学校に行くと、みんな普通に接してくれる。ああ、いじめは終わったのだと喜ぶのもつかの間、喜んで次の日に学校へ行くと、再びいじめが待っている。
いじめる側の子供たちは大人にも想像できないような人の心を弄ぶ術を知っているのだ。
この本を読む限り、いじめは本人にも原因があるというような意見が全く的外れであることがわかる。
そして、現代のいじめは大人の想像をはるかに超えるほど残酷で凄惨だ。
いじめの対策として、まず、最初に親がすること。
それは、自分の子供がいじめに遭っている事実を知ることだ。
いじめに遭っている子供は、そのことを親に隠そうとするので、親が気づかないことが多い。
・最近、よくものをなくすようになった。
・学校のノートや教科書を見せたがらない。
・学校の行事に来ないで欲しいと言う。
など、32項目のチェックリストがこの本に書かれてあり、まず、親が自分の子供がいじめに遭っていることを把握することが重要だと述べている。
子供がいじめに遭っていると確信したら、最初にすることは学校を休ませることだそうだ。
その上で必ず子供の同意のもと、学校に相談に行くわけだが、このときは担任の先生だけでなく、教頭か学年主任に同席してもらう。
いじめは担任の先生だけでは解決できない場合が多いためだ。
このとき、学校の責任を追及することはしないで、協力を要請するという立場をとること。責任を追及すると学校とは敵対関係になってしまうからだそうだ。
本では、このあと、いじめを解決した具体例が書かれてあるが、いじめは誰に対しても行われる可能性があり、また、誰もがいじめをする側になる可能性もある。
この本を読み、感じたことは、昔に比べ、明らかに子供たちの人間関係が変わってきているということだ。
いじめの質も、「1対その他のクラス全員」という構図になっている。
昔はいじめっ子もいたが、いじめられっ子と仲良くする子供もいたと思う。
いじめに参加しないと次は自分の番という恐怖感が、いじめの側に立たせているのだという。
本屋で探しても、いじめられた側の本はあってもいじめた側に立って書かれた本はない。
恐らく、いじめに遭った人間以上にいじめたことのある人はいると思うが、その事を正直に発表する人はいないのだろう。
もし、自分の子供がいじめる側になったら・・・
それも、余り考えたくないが、こちらの対処方法もかなり難しいことだと思う。