まあどうにかなるさ

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赤い靴下

2017-08-12 00:19:22 | 怪談

ある冬の朝、マンションに住む若い男が着替えのためにクローゼットを開ける。

身支度をして、最後に靴下が入っている引出しを開ける。上に真新しい白い靴下がある。片方を手にしてそれを左足で立ったまま、少しよろけるようにして右足を上げて履く。もう片方を取り出そうとした時、靴下を履いた右足に激痛が走る。
ものすごい痛みに、男は悲鳴を上げてその場に倒れ込んでしまう。
男の足首から下が無くなっていて、潜血が吹き出していた。
何と、靴下が生き物のように右足を食いちぎり、バリバリと噛み砕いているのだ。
男は恐怖におびえて後ずさりをする。
靴下は白から真っ赤に色を変えていた。
しゃくとり虫のように器用に移動し、ぴょんと出窓に飛び乗ると、真っ赤になった靴下は窓を開けて出て行ってしまった。
赤い靴下は、マンションの廊下を移動して、隣の部屋の窓を開けて中にするっと入って行った。足を食べたせいか、体が膨れ、やがてニット帽に姿を変えて行く。

しばらくすると、その部屋の主である女子高生が入って来た。
「暖かそうなニット帽」
母が買ってくれたものだろうか…
彼女は笑顔で赤いニット帽を頭から被る。
「ぎゃ~!」
両手で頭を押さえ、その場に倒れ込んでしまう。
母親が悲鳴に驚いて部屋に駆け込んでくると、頭の上半分が無くなった娘が部屋で倒れていた。

同じマンションの一室
少し窓が開いたような気がして、若い人妻が寝室のドアを開ける。
ふと見ると、出窓に真っ赤なワンピースがきちんと畳んで置かれてある。
先ほど出掛けて行った主人が驚かそうと思いプレゼントを黙って置いて行ったのだと思った。
「きれいな赤、似合うかしら」
試着してみようと思い、女は鏡の前で着替え始めた…



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