午前中の会社で 携帯がなった。
名前の表示は出ず、見慣れない市外局番の番号表示。
岩手県岩泉町のI先生からの電話だった。
固定電話に出ていたので、先生からの電話を知ったのは、あとで携帯留守電を聞いたからのこと。
「26.5センチのスパイクが届きました。ありがとうございます。
ちょうど、足に合いそうな男子生徒がいます。
試合は6月に始まります。」
どきどきした。
感謝された。
大したことか大したことでないかという問題でもない。
ただ、陸上競技をやりたい青年たちがいて、スパイクがない。
だけど、種目別にはき分けたくなっている私は、いつの間にか5足もスパイクを持っている。
一番最初に買ったスパイクはオールラウンド用。2年目までは練習にも試合にも使っていたが、
前述のように種目別欲求に流れ始め、土グラウンド練習用にしようとしていた。
しかし、結局2年間使わないままでいる。
そんな寝ていたスパイクを、K氏の縁結び発言で、
昨日宅急便で送り出したのだった。
30分ほどして一息ついたところで、
思い切って岩泉の中学へ電話をかけた。
先生は、私が名前を告げただけで誰かをわかってくれた。
また、ありがとうと言ってくれた。
また、うれしくなった。
他にも出来ることがあればいってくださいとお返事した。
正直な気持ちだった。
被災地の手を差し伸べたいかたは何万といるなかで、やはり声を聞いた人への思いは
大きな力となる。
ただ、それ以上は話せなかった。
その中学は、きっと大きな被害があったのだろう。
スパイクの送り先は、○○中学内、△△中学だった。
校舎を借りているということだろう。
机は足りているのか、教科書はあるのか、みんな元気か。
何もわからない中で、やはり頑張れとはいえない。
たとえ無責任な性格の私でも、
その言葉が無理強いをする予感がするのだ。
それではまた、何かあれば。
お元気で。
それだけ口にして、携帯のコールを切った。