三泊四日できる今年の京都旅行は心にも日程にも余裕があります。
昨日は西の禅寺、今日は東の禅寺です。
まずは蹴上のウェスティン都ホテルから、歩いて疎水を下って猿に会いに行きました。
京都市動物園?と思ったかたは土地勘のある方。
東山で猿、実は他に有名な場所があるんです。
金地院、小書院襖絵『猿猴捉月図』
毛のふさふさしたテナガザルが左手で枝をつかみ、右手を池に伸ばしている。その手の先には、水面に映る満月、というファンタジーが墨絵で描かれているのです。長谷川等伯 筆。
他にも、小堀遠州作の鶴亀の庭や八窓席という茶室をガイドつきで回り、江戸の武家文化が多用に花開く様子を学びました。
金地院を出ると直ぐに南禅寺が迎えてくれます。
石川五右衛門が『絶景かな絶景かな』と見栄を切った偉容の山門を見上げてくぐり、講堂を参拝してから、永観堂に向かいます。
永観堂は、紅葉の名所としてよく耳にする名前ですが、実は阿弥陀堂、釈迦堂、多宝塔など魅力的な建築が、東山の斜面を利用して配置されています。
廊下をぐるぐると巡り歩きながら、阿弥陀堂でまみえた仏様は、初めて見るお姿でした。
『見返り阿弥陀』
御本尊は首を左にひねり、穏やかな微笑みを浮かべているのです。振り返り、道を求める人を励まそうとなさっているのだそうです。
見下ろす仏ではなく、率いる仏。
そんな設定がありうるのだということを初めて知りました。
最後に多宝塔に登り、市街を一望して、東山をあとにしました。
バスで銀閣寺道まで行き、今出川通りを歩きます。京都大学を懐かしく眺めながら、向かったのは『進々堂』。
レトロなパン屋喫茶店。決してカフェではありません。
だけど、居心地がよくて、文化の香りがして、洋食系の食べ物があるコーヒーを飲ませてくれる店、という定義で言えばカフェなのですが、カフェオレがミルクコーヒーなのは喫茶店なのです。
昼一時半を過ぎてしまい、五時半からは夕飯の予約をしています。あまり食べる訳には行きませんが、メニューは魅力的に過ぎます。カレーセットを頼んで彼女と二人で分けました。
はい、正解!小麦の香りがイキイキと濃く立ち上る暖かいパンは、スープタイプの玉ねぎが甘いカレーにつけると実に旨くなるようにできていました。
ここから後も、もちろん私たちの旅は東に西に、と言いましょうか、右往左往。
百万遍から鴨川をこうして渡ります。
そして出町柳に歩いて、ふたばの餅屋が長い列の向こうになかなかたどり着けないのを見ると、商店街を歩いて、色んな業種の店が並ぶ面白さを楽しませていただきました。
そこからは叡山電鉄で一乗寺下車、
彼女が行きたがっていた本のセレクトショップに着きました。
アートや建築、絵本。
関心のなかった分野でも、いい本があると手に取りたくなるものです。
昔どこの本屋でもあった保育社のガイドブックなんて、『あった、あった!』と嬉しくなりました。
面白くて、無くなるのは時間です。
バスで洛中に戻り、祇園の買い物で時間を調整しながら、五時半に『桜田』さんへ。
年に一度、間違いなく満足できる京都の懐石料理を頂くために。
烏丸通りから奥に奥にと二度道を曲がって、街中の静穏に隠れている店内に入ります。
至福の時間。
お料理を味わい、薫りを楽しみ、器を愛で、おしゃべりをする。
カウンターに座って頂く二時間は、
リラックスして、舌が喜んで、お腹が一杯になって、そして静か。
いいのですよ、ありがとうございます。
今日頂いたもの。
エビと長芋のコノワタ合え。ミキモトバールの洋梨型カットグラスに入れて。岐阜は百春の一献とともに。
蕪の碗もの、バチコを添えて。
ブリのお刺身をおろし大根とともに。
イカとタイのお造り、楽焼きの蓋物に入ってきます。
サワラの味噌焼き、茹でガニ、大根の膾にクワイチップとゴボウをあしらいに。
柚子がまは湯葉を炭コンロでグツグツ。
小芋と淀大根、九条ネギの炊き合わせ。
ご飯はカキ飯、ただし彼女は鯛メシに。赤だしは粟麩を噛みながら。
後は水菓子。サチノカのイチゴ。ルレクチアの洋梨。紅マドンナのオレンジ。
おうすのお菓子は、ユリ根に長芋、銀杏の金団で小豆あんでおしまいです。
お腹一杯
幸せな気持ちで夜道を蹴上まで歩いて戻りました。
昨日は西の禅寺、今日は東の禅寺です。
まずは蹴上のウェスティン都ホテルから、歩いて疎水を下って猿に会いに行きました。
京都市動物園?と思ったかたは土地勘のある方。
東山で猿、実は他に有名な場所があるんです。
金地院、小書院襖絵『猿猴捉月図』
毛のふさふさしたテナガザルが左手で枝をつかみ、右手を池に伸ばしている。その手の先には、水面に映る満月、というファンタジーが墨絵で描かれているのです。長谷川等伯 筆。
他にも、小堀遠州作の鶴亀の庭や八窓席という茶室をガイドつきで回り、江戸の武家文化が多用に花開く様子を学びました。
金地院を出ると直ぐに南禅寺が迎えてくれます。
石川五右衛門が『絶景かな絶景かな』と見栄を切った偉容の山門を見上げてくぐり、講堂を参拝してから、永観堂に向かいます。
永観堂は、紅葉の名所としてよく耳にする名前ですが、実は阿弥陀堂、釈迦堂、多宝塔など魅力的な建築が、東山の斜面を利用して配置されています。
廊下をぐるぐると巡り歩きながら、阿弥陀堂でまみえた仏様は、初めて見るお姿でした。
『見返り阿弥陀』
御本尊は首を左にひねり、穏やかな微笑みを浮かべているのです。振り返り、道を求める人を励まそうとなさっているのだそうです。
見下ろす仏ではなく、率いる仏。
そんな設定がありうるのだということを初めて知りました。
最後に多宝塔に登り、市街を一望して、東山をあとにしました。
バスで銀閣寺道まで行き、今出川通りを歩きます。京都大学を懐かしく眺めながら、向かったのは『進々堂』。
レトロなパン屋喫茶店。決してカフェではありません。
だけど、居心地がよくて、文化の香りがして、洋食系の食べ物があるコーヒーを飲ませてくれる店、という定義で言えばカフェなのですが、カフェオレがミルクコーヒーなのは喫茶店なのです。
昼一時半を過ぎてしまい、五時半からは夕飯の予約をしています。あまり食べる訳には行きませんが、メニューは魅力的に過ぎます。カレーセットを頼んで彼女と二人で分けました。
はい、正解!小麦の香りがイキイキと濃く立ち上る暖かいパンは、スープタイプの玉ねぎが甘いカレーにつけると実に旨くなるようにできていました。
ここから後も、もちろん私たちの旅は東に西に、と言いましょうか、右往左往。
百万遍から鴨川をこうして渡ります。
そして出町柳に歩いて、ふたばの餅屋が長い列の向こうになかなかたどり着けないのを見ると、商店街を歩いて、色んな業種の店が並ぶ面白さを楽しませていただきました。
そこからは叡山電鉄で一乗寺下車、
彼女が行きたがっていた本のセレクトショップに着きました。
アートや建築、絵本。
関心のなかった分野でも、いい本があると手に取りたくなるものです。
昔どこの本屋でもあった保育社のガイドブックなんて、『あった、あった!』と嬉しくなりました。
面白くて、無くなるのは時間です。
バスで洛中に戻り、祇園の買い物で時間を調整しながら、五時半に『桜田』さんへ。
年に一度、間違いなく満足できる京都の懐石料理を頂くために。
烏丸通りから奥に奥にと二度道を曲がって、街中の静穏に隠れている店内に入ります。
至福の時間。
お料理を味わい、薫りを楽しみ、器を愛で、おしゃべりをする。
カウンターに座って頂く二時間は、
リラックスして、舌が喜んで、お腹が一杯になって、そして静か。
いいのですよ、ありがとうございます。
今日頂いたもの。
エビと長芋のコノワタ合え。ミキモトバールの洋梨型カットグラスに入れて。岐阜は百春の一献とともに。
蕪の碗もの、バチコを添えて。
ブリのお刺身をおろし大根とともに。
イカとタイのお造り、楽焼きの蓋物に入ってきます。
サワラの味噌焼き、茹でガニ、大根の膾にクワイチップとゴボウをあしらいに。
柚子がまは湯葉を炭コンロでグツグツ。
小芋と淀大根、九条ネギの炊き合わせ。
ご飯はカキ飯、ただし彼女は鯛メシに。赤だしは粟麩を噛みながら。
後は水菓子。サチノカのイチゴ。ルレクチアの洋梨。紅マドンナのオレンジ。
おうすのお菓子は、ユリ根に長芋、銀杏の金団で小豆あんでおしまいです。
お腹一杯
幸せな気持ちで夜道を蹴上まで歩いて戻りました。