日々ふさおまき

走って跳んで歩いてます。

京都旅行三日目 2013年12月30日

2013-12-30 21:32:05 | 旅行記
今日もお天気の京都です。
張り切って、といいつつ、朝はゆっくり出かけました。

蹴上から三条京阪まで下山(笑)、京阪と叡山電鉄を乗り継いで一乗寺へ。
東山と比叡山の境、詩仙堂へ出かけました。





漢字と庭の庵は、まさに清貧の趣です。心に染みるなあ、鹿威しのコン、と乾いた音!

宮本武蔵、一乗寺下り松の決闘跡地やゆかりの神社を見学して、



中谷というお菓子やさんへ。賑わう店内に忙しそうな店員さんは、気遣いに溢れて、私たちにもお勧めを明るく教えてくれます。本当は『絹ごし抹茶てらみす』が、天下のおすすめ品のようですが、要冷蔵なので諦め、乳菓とカステラの切り落としをいただきました。

さてその頃には昼になり、若干惑いの時が訪れます。目的地は下鴨神社なので、移動経路のどこかで名物かラーメンを、という奇妙な腹の虫の要求が、私たちを困らせたのです。

出町柳も川沿いに歩くと見えるのは住宅ばかり。頭に描いた、キトキト脂の京都ラーメン屋さんは見つからず、ただ一軒、彼女が思い出した『生研会館』をGoogleマップ頼りに見つけるしかありません。
下鴨神社の西に沿って北へ向かうかと五分、有りました。欧風料理の看板。
でも、賀正の筆文字が踊るポスターも。つまり、年始まで休業で残念でした。

では、我慢。先に下鴨神社にお参りです。





糺の森は、年始の屋台準備で忙しく人が行き交い、そんななかでも足早に小石の道を歩く妙齢の女性が、鳥居を潜るごとに頭をさっと下げて歩くその自然すぎる振る舞いに、場所と共に生きる人々を見た思いをしたりしておりました。
私たちも出来るだけ歴史を重ねた神域に頭を低くして手を合わせ、参拝したあと、特別展示中の『大炊殿(おおいどの)』を見学しました。お供えする食べ物を調理する社殿です。





五穀とともに、鯛の切り身や大きめの鰯、鱒も並んでいるのが意外でした。精進料理とごっちゃにしていたようです。

神様の食事を見て、お腹はさらに空いてきました。それでもまだ境内には見るべきものが残っています。
河合社は、神武天皇の母を祀って、女性の守護神となっているので、彼女が見逃すはずがありません。
私もついていくと、そこには鴨 長明が作ったという方丈庵も建っていました。





鴨 長明は、方丈記の引用で入社試験を勝ち抜いたと信じている私にとって、足を向けられない存在です。
彼が平安末期の人で、源平武士の世へと移ろうなか、神職として時代に翻弄され、いく道を見失わないようにするために50歳で隠居した、などとは知りませんでしたけれども。

深く例をして下鴨神社を後にします。
もう昼御飯の時間はとおに過ぎてしまいました。
小腹を満たす、しかありません。ならお菓子です。
では、下鴨神社といえば、の『御手洗だんご』、レッツゴー?



甘いタレに焼き目も香しい団子が腹に染みます。





その後は、ズーット南へ、七条まで下ります。『養源院』です。





淀君が発意したものの程なく焼失して、お江さんが再建を願ったとき、なぜか戦いに破れた伏見城の廊下を天井用の財として用いました。
それが血天井です。壁の幽霊の影のごとく説明を受けると、倒れた人の姿に確かに見えてきます。
そんな説明を聞き、国宝の俵屋宗達襖杉戸絵などを眺め、大晦日の前日は夕方になったのでした。

文化と歴史で頭は一杯になって、お腹は小腹です。
七条から東大路を北へ歩き、祇園に入ったところで左折、六波羅蜜寺近くの、喫茶店ビロンを探し当てました。





最近の、美味しくコーヒーを追求する店特集に出ていたのを覚えていました。
丁寧に入れた深煎りのガテマラは、少し甘味さえ感じる粘度のある仕上がりです。雑味はないところが、味の濃厚さとは別の透明感を感じさせてくれます。
彼女の頼んだカフェオレは、これまた正しく牛乳と混ぜ合わされた熱々の飲み物で、目の覚める爽やかなチーズケーキのコントラストと共に、喫茶店の憩いに深く誘ってくれました。
深いソファーの椅子に身を委ね、うとうとしていたら、さあ行くよと彼女に声をかけられました。
ちなみに若い店主は、ゆっくりと暖かい声で話す、喫茶のあり方を正しく体現した、柔和な表情の持ち主でした。

夕暮れた京都、鴨川をわたり返します。



夕飯は、軽く、だけどこの街らしくと自分が思えるように。
寺町から錦市場に入った、食堂マルキ。東京で言えばお蕎麦屋さんの範疇なのでしょうが、なぜか食堂なのです。



私は親子丼、彼女は肉うどん。



どちらも九条ネギと山椒が欠かせません。
かしわと卵が渾然一体となり、甘いお汁がご飯に染み通って、掻き込むように食べると、ことにうまい親子丼。
柔くしなる丸い断面のおうどんが、その動きで口の滞在時間を伸ばし、いい風に気持ちも緩めてくれる肉うどん。

こちょこちょと食べ終わり、年末の慌ただしさはどこへやら。
おおらかになって、三条通を蹴上へ登る私たちでした。


追伸。帰ってきたら、みっちり水泳で30分。心拍数138まであげて、体には刺激を入れておきました。