一昨日の夜、霜月の初日に古い友人と
蕎麦屋で夕食を頂いた。
私の最初の食べ友達、季節を追って店を探すのが習いになっている。
新そばは外せないが、東京には老舗から新興店までまさに星の数がある。
色々候補を出しあって、店を決めるまでに一週間、更に予約が取れるまでに一週間かかった。
何故か。
その店に電話をしたら、留守番電話の応答メッセージはこう言う。
『一週間お休みさせて頂きます』
自家栽培の蕎麦の収穫のようだ。これは期待が増す。
そして当日。出掛けたのは裏原宿と言うのだろうか。明治通を中に入った住宅街の中にある『玉笑』だ。
そば前に豆腐と焼きのり、板わさを頂く。
これがうまい。質が極上だ。香りと食感がえもいわれない。
焼酎の蕎麦湯割りも、期待を高める。
また器がいい。板わさの乗った緑釉皿は、格子模様に組まれてことに面白い。
醤油皿は一品ごとに代えられ、これも皆形が違うし味が移るのを防いでいる。
店の佇まい、そば前、器。
では、蕎麦は?
これが驚くべき出来映えだった。
せいろを頼んだのだが、粗びきの星が蕎麦の角からはみ出す異様な面構え。
そして立ち上がる香りが半端ではない。
包み込むような甘い香りが、蕎麦らしい瑞々しさを放つのである。
箸で手繰るのがもどかしい。
口に放り込むと、元気にはねあがり、
先程の香りが鼻奥に渦を巻くトルネード。
連れもウホウホ言っている。同じ驚きを感じているようだ。
直ぐに追加を頼んだのは言うまでもない。
何年かぶりに蕎麦にはまりそうだ。
今日も、彼女が山登りに行って1人夕御飯になったので、初台の『かわしま』さんへ出かけ、新そばの札を確かめててんぶら蕎麦を頂いた。
こちらは丁寧、実直。
これもまたよし、ご馳走さまでした。