ヨーコの話と民族主義

　ヨーコの話について，今度はソウル大学教授が寄稿しました（→記事）。

　韓国人の傷口に触れたのは朝鮮人が避難行列の日本女性を劫奪する場面だ。 この一節で韓国人読者なら羞恥心と憤怒と敵がい心が同時に爆発する。「お前たちはどうだったのか」と問い返す。 北朝鮮の民兵隊（作品では人民軍と誤って表現）は日本人避難行列に無差別銃撃を加え、遺体を略奪する。 あたかも日本軍がわれわれに対してそうであったようにだ。

「日本軍が韓国の一般住民の行列に無差別に銃撃を加え，遺体を略奪した」具体的事例を教えてほしいものです。

　彼女は実際に帝国日本の被害者であり、戦争の犠牲者という点で朝鮮人と違わない。

　これも誤解を呼ぶ表現だなあ。朝鮮人があの戦争でどれほどの犠牲を受けたのか。連合軍を相手に日本軍とともに戦い，戦死した人はもちろんいる。けれども，その数は極めて少ない。本土と違い，韓半島はほんど米軍の空襲を受けなかったから市民の犠牲も少ない。大きなものは，広島・長崎で米軍の国際法違反の原爆攻撃の巻き添えになった、数万人の労働者でしょうか。

　戦後ドイツとは違い、植民地支配を痛烈に反省しないまま再び国家・民族談論を強化する日本の用意周到な歴史転倒企画に対して、むしろ「ヨーコの話」は語る点が多いストーリーだ。

　ここまで来ると，あきれてしまいます。
　ドイツはどの「植民地支配」について，痛烈に反省したというのでしょうか。ドイツが行ったのは，ユダヤ人のホロコーストに対する反省（実は，ナチス断罪）であり，日本はホロコーストを行ったことがないばかりか，台湾，朝鮮の人口は，植民統治中に倍増した。

　ソウル大学教授にして，この程度の歴史認識なのですね。困ったものです。

〈関連記事〉
070125ヨーコの話（竹の森遠く）
070126ヨーコの話～検証編