写真:朴正煕と盧武鉉
中央日報に、「韓国の恥ずかしい過去、拙劣な隣国日本」という記事が載りました。
読んでみると、意外なことに、「拙劣な日本」についての記述はほとんどなく、もっぱら「韓国の恥ずかしい過去」のことが書かれていました。
中央日報日本語版2023年3月8日(リンク)
【時視各角】韓国の恥ずかしい過去、拙劣な隣国日本
日本側:被害者個人に対して補償してほしいという話か。
韓国側:われわれは国として請求する。個人に対しては国内で措置したい。
日本側:韓国人被害者に対してできるだけ措置しようと思うが韓国政府が具体的な調査をする用意があるのか。
韓国側:被害者に対する補償はわれわれの国内で措置する性質のことと考える。
日本側:日本援護法を援用して個人ベースで支給すれば確実になると考える。
韓国側:それをわれわれは国内措置としてわれわれの手で支給したい。
日本側:被徴用者の中には負傷者もおり、死亡者もおり、また負傷者の中でもその程度が違うはずだが、それを知らずにむやみにお金を支給することはできないのではないか。両国国民の理解を促進し国民感情を和らげるためには個人別に支給するのが良いと考える。
韓国側:補償金支給方法の問題だが、人員と金額の問題がある。とにかくその支給はわれわれ政府の手でしたい。
これは、2004年に公開された、韓日会談予備会談(1961年5月10日)の議事録からの抜粋だそうです。
日本側は、「被徴用者」に補償金の個別支給を主張したが、韓国側は国家がまとめて受け取ることを主張したやりとりです。
結局、日韓は、「被徴用者に対する補償金は、日本が無償で提供する3億ドルの中に含む」ことで合意。1965年の韓日請求権協定で「両国は請求権問題が完全かつ最終的に解決されたことになることを確認する」ことになりました。
協定に従い、日本から韓国へ、合計8億ドル(無償3億ドル、公共借款2億ドル、商業借款3億ドル)が支払われ、その資金は、浦項製鉄(現ポスコ)、韓国電力、韓国道路公社、韓国鉄道公社、韓国水資源公社、KT、KT&G、外換銀行(後にハナ銀行と合併)などの企業を通して、韓国のインフラ、産業の整備に使われ、韓国は「漢江の奇跡」と言われる経済成長を成し遂げました。
一方、韓国政府(朴正煕政権)は韓日基本条約締結の10年後の1975年、日本で死亡した労働者、8552人の遺族に30万ウォン(計約26億ウォン)を支払いました。
2005年、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は、「1975年の韓国政府の補償が不十分だった(死亡者だけ補償し、負傷者を除外した。死亡者も金額が少なかった)」として、あらためて死亡者の遺族に2000万ウォン、重傷者にも最大2000万ウォンが支給されました。
2009年、ソウル高裁は、日帝被害者団体がポスコを相手取って起こした「慰謝料請求訴訟」で、「ポスコの法的責任はない」という判決の中で、「ポスコの設立経緯と企業の社会倫理的責任を考慮すれば強制動員被害者と遺族に相当な努力をすることが望ましい」と判示したそうです。
中央日報が「恥ずかしい過去」と言っているのは、日韓基本条約のときの交渉で、日本が補償金の個別支給を主張したのに韓国政府が国としての一括受領を主張したこと、韓国政府の二回に渡る補償が時期も遅いし、対象者も限定的、金額も日本からもらった額に比べて少なかった、ということなんでしょう。
もっとも恥ずかしいのは、完全かつ最終的に解決された問題、盧武鉉もそれを認めていた問題を、韓国大法院が覆したことだと思いますが。
いずれにしても、このような記事が韓国の大手マスコミに載ることは、きわめて異例です。
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