犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

アンニョンヒカセヨ/ケセヨ

2021-02-25 23:26:22 | 韓国語教室
 新大阪のBlueblueは、昨年よく通ったバーですが、カウンターに座ると、若いバーテン(男女がいる)が話し相手になってくれます。

「犬鍋さんは、韓国に住んだことがあるんですか」

「うん」


「どのくらいですか」


「長いよ。11年」


「えっ! そんなに! じゃあ、韓国語もできるんですか」


「まあね。でも、帰国してから10年以上経ってるから、だんだん忘れてきたけど」


「韓国語、ぜひ教えてください!」


 こんなふうにして、韓国語の初級レッスンが始まることもあります。たいていは社交辞令なので、真剣に勉強する気はないのですが。

 K-popや韓国ドラマが好きな人は、アンニョンハセヨ(こんにちは)とか、カムサハムニダ(ありがとう)とか、サランヘヨ(愛してます)などの基本的なフレーズは知っていますね。

 でも、アンニョンヒカセヨ(さようなら)を教えて、いざ店を出るとき、ぼくのほうが「アンニョンヒケセヨ」と言うと、相手は怪訝な顔をします。

「「さようなら」は、店に残る人はアンニョンヒカセヨ안녕히가세요と言うけど、帰って行く人はアンニョンヒケセヨ안녕히계세요と言うんだよ」

「へえ、韓国語って面白いですね!」


 アンニョンヒ(안녕히)は、漢字の言葉で「安寧に」。カセヨ가세요は「行く」という動詞のていねいな命令形で、「いってらっしゃい、お行きください」といった意味。ケセヨ계세요は「いる」のていねいな命令形で、「いらっしゃい、お残りください」。

 アンニョンヒカセヨ/ケセヨは、「つつがなくいってらっしゃい/お残りください」という、かなりていねいな表現です。

 まあ、日本語の場合は、どちらも「さようなら」なので、行く人と残る人で言い方が違う韓国語は「変わっている」、と思うかもしれません。

 ところで、先ごろ2歳の誕生日を迎えた孫(長女の娘)の言語能力が、一気に開花しつつあります。最初は断片的な単語を発するだけだったのが、最近は3語文や4語文など、かなり長い文までしゃべるようになりました。その様子が、3日に1度ぐらい、SNSで送られてくるのですね。

 ところが、長女によれば、孫が習得にてこずっている表現があるそうです。

 朝、お父さんが娘を保育園に連れて行くとき、お母さんが「いってらっしゃーい」というと、娘もオウム返しで「いってらっしゃーい」という。

「ちがうよ、いってきまーす、だよ」と言っても、理解できない様子。

「いってらっしゃーい/いってきまーす」の使い分けは、まさに、「アンニョンヒカセヨ/ケセヨ」と同じです。

 一方、保育園から帰ってきたときは「ただいまー!」と言い、お父さんが職場から帰ってきたときは「おかえりー!」と使い分けられるというから、「いってらっしゃーい/いってきまーす」の使い分けができるようになるのも、まもなくでしょう。
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