
図版:ばんそうこうの呼び方マップ(リンク)
小学校低学年のとき、遠足だったか運動会だったかの持ち物確認で、担任の先生が「サビオも持ってきて」と言ったとき、私は意味がわからなくて、質問しました。
「サビオって何?」
すると同級生が、
「サビオ、知らないの? これだよ、これ」
といって、自分のひざ小僧を指さしました。
「なんだ、カットバンのことか」
その昔はけがをするとガーゼ(とか脱脂綿)に薬を塗って傷口を押さえ、固定するために絆創膏で巻いたものでしたが、このころ(1960年代後半)にはテープとガーゼが一体化したテープが売られていて、家庭に常備されていました。
わが家ではもっぱら「カットバン」という商品を使っていて、その商品名で呼んでいたのです。
しかし世の中には、サビオとかバンドエイドとかいう商品も売られていて、一定のシェアをもっていたようです。
いつしかわが家ではカットバンではなくバンドエイドを使うようになりましたが、バンドエイドのこともずっとカットバンと呼んでいた気がします。
調べてみると、アメリカのジョンソン・アンド・ジョンソン社が日本で最初に「バンドエイド」を発売したのが1959年、翌60年にはリバテープ社が国産初の「リバテープ」を発売。61年には「カットバン」、63年には「サビオ」が発売されたということです。
地域によって商品の浸透度が違うらしく、呼び方の分布を地図にしたページ(冒頭図版)もあります。
小学校の担任の先生はそのとき神奈川県の戸塚に住んでいて、担任が変わるときに同じ組の生徒が数人ずつご自宅に招待されたことを覚えています。
現在、神奈川県は「バンドエイド」と呼ぶ人が多いようですが、50年前はサビオだったかもしれず、あるいはその先生は「サビオ」優勢地域から引っ越してきたのかもしれません。
今、サビオが優勢なのは北海道、和歌山、広島と新潟県の佐渡島。
リバテープ(私は聞いたことがありませんが)が、九州4県と沖縄、奈良。
富山県は唯一、キズバンで異彩を放っています。
なお、三省堂国語辞典に載っているのは、ばんそうこうだけでした。
ところで、ホッチキス(ホチキス)も正式名称ではないと以前、読みました。更に大学の言語学の講義で、ホチキスの針を何と呼ぶかという話になりました。私は「ホッチキスのタマ」と呼んでいました。このタマは、私の感覚では「弾」だったと思います。
私は「はり」と言う気がします。
三省堂国語辞典には、はり(針)の項に、「形や用途が針に似たもの」とあり、注射器の針、時計の針、ホチキスの針、という用例が載っています。
たま【弾・玉】②〔俗〕ホチキスの、針