出張先の所長から、「明日の夕飯、いっしょにしよう」と言われたとき、不吉な予感がしました。
その予感は的中し、連れて行かれたのは日本式居酒屋でした。
ニュージャージーの一角に、三軒並んだその店は、焼鳥屋、居酒屋、カラオケ。すべて同じ日本人の経営者とのことでした。
ビールもすべて日本製。キリン、アサヒ、エビス…。珍しく沖縄のオリオンビールがあったので、それを注文しました。刺し身盛り合わせに、隣の店から取り寄せた焼きとり盛り合わせ、玉子焼き、冷や奴…。
なんかアメリカ的なものがないかなあ、と探して、「カリフォルニアロール」を注文しました。カリフォルニアロールを特徴づけるのはアボガド。
アボガドと醤油の相性のよさを発見したのは、アメリカ人なのでしょうか。
私がアボガドの存在を知ったのは、たぶん1980年代末。タモリの「笑っていいとも」で、目をつぶって食べるとマグロのトロとそっくりだ、というのを聞いて、この馴染みのない野菜を買ってきてわさび醤油で食したのが始まり。
そのおいしさに感動し、以来、定期的に我が家の食卓に上ります。
昔は一個300円以上していたと思いますが、今は100円以下で手に入る。刺し身を食べるときは必ずアボガドも添えるのが我が家の慣例となっています。
前日にメキシカンレストランで食べたトルティーヤチップスにつけて食べるアボガドもいいけれど、わさび醤油にはかなわない。もしも、アボガドに醤油をつけて食べる食べ方を発見したのがアメリカ人(アメリカ在住日系人?)であれば、アメリカ人に感謝しなければなりますまい。
さて、この店への往復で目にしたのがハングルの看板。ニュージャージーには韓国系アメリカ人、あるいは韓国人移民も多数居住しているようです。
ハングルの看板をみてなつかしい気持ちになるのはなぜだろう。
ひらがなや漢字の看板もないわけではないが、つい数日前まで日本にいたわけだから、別に懐かしいという感情は沸かない。やはり、韓国に居住したのがすでにして5年前であり、この年月の経過が懐かしさを掻き立てるのでしょう。
日本語の看板は、日本人に理解させようという意図よりも、単なるエキゾチックなデザインとして使われているように思いますが、ハングルのほうは、英語のできない韓国系移民のための実用的な看板であるところが違う。
韓国人の米国移民の歴史は、今となってはそこそこ長いですけれども、つい10年前にも移民ブームがあった。教育移民ですね。
子どもの将来のために、子どもをアメリカの現地校に入れて英語ができるようにし、「国際人」として活躍することを願う親心。
私の知り合いの韓国人は、保険会社勤務のエリートでしたが、小学生の息子を英語圏の学校に入れるために、自分の職業のあてがないのに、カナダに移民しました。
この、「すべてを子どものために」という感性が、いまでも私には理解不能です。自分は食料品店や洗濯屋でもいい、子どもさえ英語ペラペラの国際人になってくれれば…。
(別に英語ができなくたって生きていけるし…)
このハングルの看板に頼って生活している韓国系移民の中には、そのような切ない思いを胸に異国に渡ってきた人も多いと思われます。
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