犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

韓国便り~三日目 タクシー

2016-09-17 00:23:34 | 韓国便り(帰任以後)

 三日目の土曜日は移動のみ。

 ホテルの前で流しのタクシーを拾います。煙草を取り出して、火をつけようとしたとき、ピンチャ(空車)のタクシーが来ました。煙草をしまって乗り込もうとすると、

「たばこ、吸いなよ。メーター倒さないで待ってるから」

というキサニム(運転手さん)の言葉にあまえて、一服しました。

「私も煙草吸うから、気持ちがわかるんだよ」

 少し会話して、ぼくが日本人だということがわかると、いろいろと話しかけてきました。

「息子がノング(籠球=バスケットボール)やってて、日本の静岡の大学に留学させようとしたんだけど、だめだった。来年の春にまた行かせようと思ってる」

「でも、日本より韓国のほうが強いでしょう」

「若者は、海外に出て視野を広げなくちゃ」

 車は漢江に沿ってチャユロ(自由路)を快調に走行。

「いつも、空港まではいくらぐらいかかってる?」

「そうですね。3万ウォンぐらいかな」

「そりゃ高い。仁寺洞から金浦まで、せいぜい2万2000ウォンだよ」

「行きと帰りで違いますね。空港で待ってるタクシーは回り道する人が多いから」

「それがウリナラ(わが国)のタクシーの問題だ」

 キサニムは、5年前からタクシーの運転手をやっているとのこと。悪質な運転手のことを憤慨しているようです。

「昔、東部二村洞に住んでいて、そのあたりがどう変わったか知りたいから、漢江大橋を渡ってくれるように頼むこともあります。運転手まかせにすると、たいてい漢南大橋まで大回りしますね」

「そりゃずいぶん遠回りだよ」

 結局、金浦空港についてみると、メーターは2万300ウォン。紙幣で2万1千ウォン出して、おつりはチップとして渡しました。気持ちのいいキサニムだったので。

 日本に帰ってから、こんな新聞記事を読みました。(リンク

 
今年7月、カナダから韓国へ来た観光客が、仁川国際空港からコールバン(ワゴンタクシー)に乗って江原道太白市へ行こうとした。運転手は太白までの最短距離が286キロであるにもかかわらず、その道ではなく、江陵市を経由して430キロも走行し、70万ウォン(約6万6000円)を請求した。外国人に対する「ぼったくり」の一つの手口である「迂回運転」だ。仁川空港から太白までの基準となるタクシー料金は30万ウォン(約2万8000円)程度だが、中国行きの飛行機の料金よりも多額の金をせびり取ったというわけだ。通報を受けた警察は、運転手を詐欺容疑で立件した。
(中略)
 今年7月に10日間韓国を訪れたオーストラリア人観光客も、悪徳運転手の被害に遭った。この観光客は、仁川空港からソウル・鍾路にあるホテルまでコールバンを利用した。運転手はコールバンでは禁止されているメーターを取り付け、途中で11万ウォン(約1万円)の領収証を出した上、ホテル到着後にさらに12万5000ウォン(約1万2000円)の領収証を出した。適正な料金である8万5000ウォン(約8000円)の3倍近い23万5000ウォン(約2万2000円)を請求したのだ。オーストラリア人観光客は料金を支払った後、不審に思ってホテルの従業員に話した。ホテルから連絡を受けたソウル市は、料金所やホテルの監視カメラの映像を調べ、3日後に運転手を検挙した。運転手は違法なメーターを取り付けただけでなく、コールバンの運行に必要な貨物運送資格もなかったという。
(中略)
 ソウル市が料金の差額15万ウォン(約1万4000円)を運転手から回収し、オーストラリア人観光客に返そうとしたことで、違った展開を見せた。観光客は「このお金を受け取ろうとは思わない。障害を持つ子どものために寄付してくれればいい」と断った。これを受け、ソウル市は15万ウォンを社会福祉共同募金会に寄付した。
(中略)
 前述のオーストラリア人観光客がどんな気持ちで、差額の返金を断ったのだろうか。運転手を摘発して、金を返そうとした当局に感謝したのか。それとも、韓国の観光客に対する恥ずべき行為への警告だったのか。オーストラリア人観光客は私たちに二度恥をかかせたのだ。

 韓国にいらっしゃる折には、くれぐれも悪質なぼったくりにご注意ください。

 ところで、件のオーストラリア人観光客は、韓国における障害児への虐待、海外への大量の養子についてのニュースを見て、とても心を痛めたのだと思いますが…。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 韓国便り~二日目 夕食 | トップ | 慶州大地震 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

韓国便り(帰任以後)」カテゴリの最新記事