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犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

韓国の映画事情~力道山

2006-09-14 06:42:46 | 韓国雑学
 近年,力道山を扱った本がいくつか出ましたが,
『夫・力道山の慟哭-没後40年 未亡人が初めて明かす衝撃秘話』(双葉社,2003年)
もその一つ。題名がセンセーショナルですが,内容は力道山の未亡人の落ち着いた回想録。

 その中に次のような一節があります。


 後日,韓国日報から取材を受けることになったのですが,韓国で「力道山物語」という娯楽映画を製作するらしいんです。そのときは企画の段階と言ってましたが,それについてどう思うかという質問がありました。私は「いちレスラーの力道山ではなく,事業家としても手腕をふるっていたから,そういう面もアピールして楽しい映画にしてください」とコメントをしたんです。

 あくまで名目上は観光目的だったのでマスコミの取材攻勢は多くありませんでしたが,韓国日報では「訪韓した田中敬子・力道山未亡人」と題し,「没後40年が経ったが,私はいまも力道山に対し,彼との思いを大事にしている。力道山は韓国のヒーローであり,映画の話も進んでいる。未亡人は韓国と日本がスポーツを通じ,さらなる友好関係を深めることを願っている」という記事が載りました。

 上にある「力道山物語」という映画は,昨年封切られた「力道山」のことだろうと思うけど,未亡人が見たらさぞがっかりするだろうなあ。

 なにしろ,戦後最大の言われた豪華結婚式も出てこなければ,そもそも奥さんさえ出てこないんだから。スチュワーデスの田中敬子さんとは,大恋愛のすえに結婚したことが本書にもありますが,映画の中では、相撲力士時代に知り合った芸者(電車男にも出ていた中谷美紀)が最期まで添い遂げることになっている。確か,内縁の妻との間に二児がいたはず(田中さんと結婚後同居)だけれど,映画の中では子どもも出てこない。北朝鮮にいるとされる妻と娘の話もなし。


 ほかにも,ハングルが読めないはずなのに,映画の中ではすらすら手紙を読んでたり,韓国語がしゃべれず,韓国に行ったときには通訳をつけてたはずなのに,映画ではぺらぺらだったり,と史実に合わないことは多かったですね。

 だいたいの筋は

 
日本社会の差別の中で苦しみ,栄光に輝いたのも束の間,後ろ楯になってたヤクジャ(ヤクザの韓国式発音)から引導を渡され,落ちぶれて,失意の中でチンピラに刺されて死ぬ……。

 よくもまあ,ここまで歪曲したもんだ。

 最期の最期までスーパースターだったはずなんだけど。

 日本でも公開されたらしいけれど,抗議の声はあがらなかったんでしょうか。

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