コトバヲツグムモノ

「口を噤む」のか「言葉を紡ぐ」のか…さてどちらの転がっていくのか、リスタートしてみましょう。

お礼参りツアー2018 観光編 3

2018-09-12 20:13:45 | お礼参り

3日目

この日は宮沢賢治を巡る旅を中心に

彼の作品に現れる死生観、その繊細な部分に触れることができれば、と。
連れ合いにとっても、仕事に大いに関わる体験として

前日、宿にしたのは北上市
ここに宮沢賢治ゆかりの碑が数か所あるというので、朝から巡ってみる
案内サイトにあった公園に行くが…それらしきものは見当たらない
他の数か所も観光地図頼りに行くが…

ということで、断念してメインの花巻市へ

まずは「宮沢賢治童話村」

メインの「賢治の学校」ではファンタジックな世界を体感的に

視覚的に色々仕掛けがあるので、視覚に問題のある私にはかなり足元が危うい。が、それが妙な浮遊感になって面白かった
ログハウスを巡る「賢治の教室」では、テーマに沿って「研究者宮沢賢治」の世界を
そのほかも自然あふれるスペースになっているのでのんびり過ごせた

 

次は「山猫軒」で昼食

ご存じ「注文の多い料理店」だ
「どなたもどうかお入りください。決してご遠慮はありません」という看板に迎えられて入る


案の定観光客で混んでおり、待っている間は土産物に目が行ってしまうという(笑)
そして入り口にはしっかりと、「クリームの壺」「塩の壺」が用意されるという徹底ぶり

そして「宮沢賢治記念館」へ
こちらは子どもが楽しめる「童話館」とは違い、かなり硬派な展示が中心
様々な作品の背景が楽しめる

私が宮沢賢治に深く触れたのは、これまた漫画の影響
少年誌に連載されていた「六三四の剣」が岩手が舞台で、たびたび宮沢賢治の詩に触れていた
メインはライバルである「修羅」に関わる「春と修羅」の一説



そしてもう一つは主人公の「六三四」が授業で触れたときに「なぜか涙が止まらない」となった「永訣の朝」
「めゆじゆとてちてけんじや」の一説は私の脳裏にも深く刻まれたフレーズだった

今回、展示の中にはもちろんこの部分も掲示されていた
今の私には、この詩は亡き妹にも通じるもので、様々な思いと共に立ちすくんでいた

妹が息を引き取る朝、その前の夜から私は病院に付き添っていた
呼吸器をつけながら一生懸命何かを伝えようとしていた妹
結局聞き取ることはできなかった
聞き取ろうとする努力をしなかった
そのまま、朝、妹は息を引き取った
私にとっては逃れようのない体験だ

   けふのうちに

   とほくへいつてしまふわたくしのいもうとよ

   みぞれがふつておもてはへんにあかるいのだ

      (あめゆじゆとてちてけんじや)

   うすあかくいつそう陰惨(いんざん)な雲から

   みぞれはびちよびちよふつてくる

      (あめゆじゆとてちてけんじや)

   青い蓴菜(じゆんさい)のもやうのついた

   これらふたつのかけた陶椀(たうわん)に

   おまへがたべるあめゆきをとらうとして

   わたくしはまがつたてつぽうだまのやうに

   このくらいみぞれのなかに飛びだした

      (あめゆじゆとてちてけんじや)

   蒼鉛(さうえん)いろの暗い雲から

   みぞれはびちよびちよ沈んでくる

   ああとし子

   死ぬといふいまごろになつて

   わたくしをいつしやうあかるくするために

   こんなさつぱりした雪のひとわんを

   おまへはわたくしにたのんだのだ

   ありがたうわたくしのけなげないもうとよ

   わたくしもまつすぐにすすんでいくから

      (あめゆじゆとてちてけんじや)

   はげしいはげしい熱やあえぎのあひだから

   おまへはわたくしにたのんだのだ

    銀河や太陽、気圏などとよばれたせかいの

   そらからおちた雪のさいごのひとわんを……

   …ふたきれのみかげせきざいに

   みぞれはさびしくたまつてゐる

   わたくしはそのうへにあぶなくたち

   雪と水とのまつしろな二相系(にさうけい)をたもち

   すきとほるつめたい雫にみちた

   このつややかな松のえだから

   わたくしのやさしいいもうとの

   さいごのたべものをもらつていかう

   わたしたちがいつしよにそだつてきたあひだ

   みなれたちやわんのこの藍のもやうにも

   もうけふおまへはわかれてしまふ

   (Ora Orade Shitori egumo)

   ほんたうにけふおまへはわかれてしまふ

   あぁあのとざされた病室の

   くらいびやうぶやかやのなかに

   やさしくあをじろく燃えてゐる

   わたくしのけなげないもうとよ

   この雪はどこをえらばうにも

   あんまりどこもまつしろなのだ

   あんなおそろしいみだれたそらから

   このうつくしい雪がきたのだ

      (うまれでくるたて

       こんどはこたにわりやのごとばかりで

       くるしまなあよにうまれてくる)

   おまへがたべるこのふたわんのゆきに

   わたくしはいまこころからいのる

   どうかこれが天上のアイスクリームになつて

   おまへとみんなとに聖い資糧をもたらすやうに

   わたくしのすべてのさいはひをかけてねがふ



宮沢賢治は、祖父が真宗門徒で、様々な先生を招いて子どもらにも法座を開いていたようだ
なので、彼の中に真宗的な思想が垣間見える
その後、真宗を否定して他宗にも傾倒しているようだが、私にとっては底はどうでもよく、彼の「生命」への感じ方…それは当然「死」を見つめるまなざしに心惹かれているのだろう

 

 


お礼参りツアー2018 観光編 2

2018-09-08 13:38:29 | お礼参り

仙台泊のあと、ここも仙台には何回も来ながら立ち寄れなかった青葉城へ

 

メインは伊達政宗だけど、連れ合いは芭蕉の歌碑がお目当て
観光的には城のあった場所からの眺めと、伊達政宗像で終わりだろうけど芭蕉碑を求めて公園一帯を登ったり、降りたり


朝8時ごろからうろうろして、先にレポートした荒浜地区へ

仙台を後にして、これも連れ合いリクエストの奥州平泉へ
今生に「お浄土」を表そうとして作られた地と聞いていたので私も興味津々
帰省の渋滞もあり、大幅に予定が遅れて到着
一日かけてゆっくりめぐるはずが、各寺院の閉園時間までわずか

そこでまずは芭蕉の歌碑と義経ゆかりの「高館義経堂」へ

 

最近連載されていた「ジパング深層海流」という漫画で興味がわいていた地


義経堂のあたりから見下ろす平泉の景色は、漫画であらわされていたものをほうふつさせる、山と河の風景

続いて「中尊寺」
有名な金色堂へ
藤原氏の話も先の漫画で興味があった


普通のお仏壇でも「お浄土」から回向されるように装飾されているが、このすべて金色に輝く姿は少しでもお浄土に近づけようとする、ある意味人間の浅はかな思いが形になったものと感じる
そう、お浄土も諸仏も、色もなければ形も匂いもない
想像の及ばない世界
それを人間の想像の限界であらわそうとしているだけ

と同時に権力の象徴でもあったんだろうな

この二か所が、ともに高台にあったため上り下りだけで時間と体力を消費
もう一か所、池を中心にお浄土を表した庭園のある「毛越寺」を予定してたけどタイムオーバー
残念


お礼参りツアー2018 観光編 1

2018-09-08 12:22:39 | お礼参り

 

さて、この「お礼参り」には、長いこと仕事やPTAで家族サービスしてこなかったことへのお詫びの意味も

で、今回は連れ合いのリクエストで東北に行くことを先に決め、それならば、と震災の地を訪れた

ということで、間に観光スポットも訪問させていただいた

1日目、石巻市では「石ノ森記念館」
私の世代だと、サイボーグ009や仮面ライダーはどストライクだし、キカイダーやイナズマンなど、テレビでも漫画でも楽しんできた
なので、ここの展示は宝の山だ

今の子どもらにも楽しんでもらえるように、歴代の仮面ライダーマスクが原寸大で展示され圧巻だった

でも、やっぱ1号や2号が石ノ森ライダーだなぁ、と。

ここから仙台に戻る途中では松島へ
事前に調べて、島々が一望できるところをナビ登録したのだが…
着いたのは山の中でぜんぜん景色が開けていないところ
なので写真はなしで、移動中に海と島の景色を堪能

仙台市に戻って、PTAフェスティバルでお世話になった公園へ
もう暗くなっていたので歩いただけだが、いつもブースだらけの景色だったんで何もないとちょっと寂しい
そこから、いつも昼食に寄っていた牛タンの店に向かうが…なくなってた?
道を間違えたのかな(T_T)
宿のチェックイン時間もあったんで、牛タンは断念