昨日は「はぐくみ委員会」の学習会でした。
「はぐくみ委員」は各学校に設定されているのですが、我が校では役員の中から役割のひとつのして担当者を決めます。
そして、毎年テーマを決めて継続的に学習をしていかれるのですが、今年は「発達障害」についての学びがテーマになります。
発達障害については、専門的な知識を学んだことはないのですが、カウンセリングや相談を受けていく家庭で、この問題に直面している方のお話を聞く機会は多くありました。
また、自分の子どもに関しても、その兆候は見受けられるので遠い話ではありません。
今回は大阪教育大学名誉教授の竹田先生のお話を聞かせてもらいました。
普段は、教育現場の先生方や、これから教員になろうという学生に向けて話されていることが中心のレジュメでしたが、PTA対象ということで発達障害についての認識と、教育現場にどういうことが望まれるかと言うことを中心に抜粋して話してくださいます。
大学の先生がまとめて1時間半に納まりきらない話を、知識のない私がブログにまとめても意味がない(というか、まとめるの無理でしょう)ので、興味のある部分を中心に。
まず、発達障害の様々な兆候を「特性」と言う言葉で示してくださいました。
病気であったり、身体的な欠陥と最初から決め付けるのではなく、表に表れているひとつの「特性」
これは私自身も、いろいろ不安に思われている保護者の方に似たようなことをお伝えしています。
算数の得意な子、国語の得意な子、運動が得意な子、絵を描くのが得意な子、友達作りが得意な子
がいれば、
算数の苦手な子、国語の苦手な子、運動が苦手な子、絵を描くのが苦手な子、友達作りが苦手な子
にいますよね。
たまには全部得意だったり、全部苦手だったり。
自分の子どものある部分が「劣ってるんじゃないか」と悩んでいる親御さんに、このことをお伝えします。
みんながおんなじような成長に仕方はしませんから、それぞれの「特性」があるんですね。
発達障害の兆候でよく気にされるのが「人の話を聞かない」とか「じっとしていない」とかいうことがあります。
今回の講演会で最初にこのことをわかりやすく教えてくださいました。
「皆さんこちらを向いて」と先生が言います。
ほとんどはその言葉に先生のほうを向くのですが、向かない子がいる。
家庭でもそういうことはあるでしょうが、たいていは「言う事を聞かない」と困り、しかってしまうことでしょう。
でもまず、どうして反応しないのかを理解する必要があると言うことです。
1.先生の話を聞いていない(不注意)
2.言われている意味がわからない(理解力)
3.指示が聞こえていない(聴力)
4.指示はわかっているが優先順位が分からない
理解力によっては「皆さん」というのが自分のことかどうか理解できないこともあるでしょう。
聴力に問題がないはずという、こちらの思い込みで相手が思い通りにならないこともあるでしょう。
中には、「先生のほうを向く」ことをしないといけないのは聞こえてるし理解もしているけれど「目の前に虫が歩いているので、それがどこに行くのか確認しないとほかのことが出来ない」という考えに捉われている子もいる…そんなこと想像できたでしょうか?
これは笑い話でもなんでもなく、そういう思考の人は確かにいます。
天才といわれる人のエピソードでも良く聞きます。
それは思考力がないのでも、知識が劣っているのでもなく、思考の特性が多くの”一般”とは違うだけなんですね。
社会的に普通に過ごしている人でも、ある点についてはほかとは違った特性を持つ人もいます。
そういう例もいくつか話してくださったんですが、自分の子どもに思い当たる節があります。
私の息子にいつも「ごみはすぐにゴミ箱に入れておきなさい」と教えています。
あるとき、ごみが床に落ちていたので注意しました。
「ぼくはちゃんとゴミ箱に入れた」と言い張ります。
ふと見ると、ゴミ箱はほかのものの上に乗っかって横に向いています。
これではそこに入れてもこぼれるはずです。
それは”私の常識”です。
息子にとっては「ごみはゴミ箱に」という指示にしっかり従っている…間違ってないんです。
その後こぼれようがどうしようが、ゴミ箱に入れるというレベルでは従っている。
「お風呂見てきて」 → 「見てきた」
お湯がいっぱいなってるかどうかではなく、お風呂という場所を見に行った。
「お茶碗洗っといて」 → 「洗ったよ」
おなべやコップは洗わず、お茶碗だけを洗ってあった。
笑い話で使われますが、本人はいたってまじめで、ちゃんと要望にこたえているのです。
間違えてはいないんです。
じゃあ、こちらはどう対応すれば良いか。
そういう特性のある人もいるということを理解し、受容して
「分かってくれているはず」というこちらの物差しを横に置いて
丁寧に伝える
ということが出来るなんじゃないでしょうか。
先生のお話を、そのことを教育現場で行うことの大事さと困難さもお話してくださいましたが。
ほかにも具体的な奨励のお話がいっぱいあったんですが、このペースだと書ききれるわけがないですね。
もうひとつだけ先生が強調してくださっていたことは
育て方・環境で発達障害が起こるのではない
ということ。
これは主に周りの人が保護者に対して
「あなたの育てかたが悪い」
という風に責めてしなうことに対す大事な点です。
一番悩んでいる親御さんを周りが責めることで、なにか変化があるのでしょうか?
そのことで対応できなくなれば、ますます否定される本人が不登校や引きこもりを起こしてしまいます。
この辺は、以前「地域サポータ要請講座」でニート問題を学んだときにも教えてもらっていた部分です。
理解がないことが、別の方向に追い詰めていくことになります。
逆に、発達障害の兆候がある人でも、その特性が障害にならない分野で普通に仕事をし、時には一般人以上の活躍を見せています。
ちょっと尻すぼみになりましたが、かなり刺激を受けてる私がいるということは事実です。
さらには、今回の話を聞き、先生が話された応対のしかたの部分で、カウンセリングの学びが生きてくる気がします。
こちらのものさしで図ったり創造したりするのではない、相手を尊重した「聞き方」「伝え方」ということが、発達障害の特性を持つ子どもとの関わり方につながっていきます。
この辺を、しばらく念頭に置いてカウンセリングの学びと実践をしていきたいですね。
今回の講師の竹田先生のお話を寸劇で教えてくださるものがYouTubeにアップされています。
http://www.youtube.com/watch?v=e7J91vsNtgk
良ければごらんください。