今年度、新たに参加した「アズウィッシュ 自立を望む発達障害者支援」の活動もひと段落。
最後のイベント、SSTワークも無事終わった。
SST ソーシャル・スキル・トレーニング として、室内でのワークで自分の特性と向き合うこと、肯定される場の体験を重ね、同時に 傾聴ワーク を通じて聞き方・伝え方の学びを行ってきた。
そして最後にフィールドワークとして、課題をこなしながら京都の寺社仏閣を巡るトレーニングが行われた。
どのようなワークだったのかはおいておいて、そこから見えてきた課題について。
地図を見ながら、自分たちのグループがどこを回るかをまず検討する。
神社仏閣で写真を撮れば加点というシステムなので、目的は加点される「お寺などを巡る」ということ。
私がサポートしたグループは、最初の会場からお寺の密集地を目指し、その道中のお寺・神社をチェックしていこうという作戦だ。
ここまでは、目的がハッキリしており、あとはグループメンバー内でうまく役割がこなしていけるかどうか。
途中、「困ってますか?」と声をかけてくれる親切な方々ともコミュニケーションをとりながら、マイペースながらワークをこなしていく。
今回のワークの特色のひとつは、Facebookを活用することで、他チームの状況がほぼリアルタイムでわかることと、途中お題が出されて、そのミッションに参加するかどうかでボーナスポイントがもらえるということ。
その結果「どうやら他チームのほうがポイント状況が良い」「このミッションに参加すると、最初の計画通りに動くよりポイントが高そう」という状況になった。
決断は、バスで移動してミッション先に向かおうというものだった。
ここで、まず「バス停を探す」ということが必要になる。
スマホで情報検索、現在地の確認などのスキルは十分にある。
で、バス停へ向かって移動、大通りに差し掛かり、そこにある地図看板で最終チェック。
私はサポートだけで口は出さない立場だが、その地図には神社仏閣が山ほど記載されていた。
少し回るだけでポイントゲットだ。
なんなら、ミッション目的地までも、歩いていけば数件のポイントがある。
と、このように考えるのはマルチ思考で、同時に複数の事柄を平行に考えて優先を決める。
しかし、彼らの思考は「お寺などを巡る」から「目的のバス停を探す」に摩り替わっている。
そのことが悪いといっているのではなく、タスクをこなす能力は十分にあり、なんら問題はない。
ただ、一度違う要素が入ってくると、最初の思考からは離れてしまいがちだということ。
もうひとつ現れてきた課題がある。
ワークのためにバス路線図が渡されているので、目的のH寺に行く手段はしっかり調べ上げることが出来る。
しかし、これは京都の特徴だが「循環系統」というのがあり、同じコースを周回しているものがある。
目的地へ行く系統は○○番だと把握しているので間違いないのだが、やってきたバスの正面に書かれている行き先が目的地のもっと手前の「××駅」となっている。
メンバーの判断は「このバスはなんらかの理由で目的地より前までしか行かない」というものだ。
目に飛び込んでくる「××駅行き」という情報をそのまま受け取る。
今回は駅の手前で「○○寺へ行くには、どこで乗り換えれば良いですか?」と運転手に尋ねたので、そのまま乗っていれば目的地に着くことが判り、事なきを得た。
もっとも、この表記の問題は発達障害当事者だけが困るのではなく、土地勘のない観光客や修学旅行生にも誤解を招くかもしれない。
来年度も新しくSSTワーク/傾聴ワークを始めるが、まずは参加者が不得意分野を認識することと、社会・企業が少し工夫することで、各自の能力を活かす術を探って行きたい。
ヒントは十分にあるし、特性理解のエキスパートも心強いパートナーとして存在する。
来年度の活動内容がもう少し固まったら、お知らせします。
この日の様子をブログにされた、サポータ仲間のteruさんの記事もリンクしておきます
http://ameblo.jp/terukluvsoul/entry-11753002380.html