実習というのは、実際に若者の支援をしている施設へお伺いし、現状を肌で感じる場です。
何箇所かの訪問先が提示されていたのですが、会場が家の近所ということと、11月後半は忙しかったので唯一12月の設定だったこととを考えて、12月1日 南青少年活動センターを選びました。
で、今日行ってきました。
場所はうちから歩いて5分弱。
私の子どもらが通っている小学校の隣。
という近所でありながら、中に入ったことはなく、その活動も大体のものしか知りませんでした。
「若い子が集まって、サークル活動をしたり、たむろっているところ」というイメージしかなかったですもんね。
しかし、今回実習先になっているということで、事前に説明を受けていたことは「サポートセンター」として、若者の相談場所であり、居場所であるということ。
今回は、その活動の中のひとつである、「あじプロ」というものを見学させてもらうことがメインでした。
「あじプロ」というのは、「あたまと体を使って働くことをじっかんするプログラム」ということで、南青少年活動センター内のカフェを利用して仕事の体験をするというもの。
具体的には数名の募集を受け、事前研修を2回、カフェの店員として実践体験を3回、振り返りをし今後を相談するのを1回の6回連続のプログラム。
今日は、実践体験の1回目ということで、はじめて人前で店員体験をする二人の若者に、私たちが客として応対してもらいました。
緊張しながらも、事前に教えられている接客マナーを実践しながら、人前で仕事をするという体験をしていました。
私自身、接客のバイトや仕事は結構してきていますが、これには向き不向きがあって、コミュニケーションの苦手な人にはかなりハードルの高いプログラムでしょうね。
でも、誰かが押し付ける体験学習ではなく、自分の意思で一歩踏み出そうとしているので、がんばろうという気持ちが伝わってきました。
今回、スタッフの方からの説明と、質疑のやり取りを通じていろいろ感じたことがあります。
以前、このブログで別のプログラムを講義で聞いて、「目的に引っ張りあげるプログラム」という印象をうけてちょっと違和感を感じたことを書きましたが、今回のプログラムは一応「就職支援」という側面はあるものの、一気に「社会活動できるようにする」ものではなく、傷つき悩んで「どうにもできない」という人の「相談を受ける」ことからの延長で「ちょっと試してみる?」という立場だろうなと。
本人の気持ちをできるだけ尊重しようという気持ちを感じたし、実際に動いてみて感じる「しんどさ」や「悩み」をできるだけ聞いてあげる時間も大事にしている感じも受けましたね。
前回のカウンセラーさんとの実習でも感じましたが、大きな枠としての支援は「社会に卒業していく」ことを目標にしながらも、実際の現場では「今、ここ」のその人を大事にしてあげようという緩やかさを持っているんだなと。
今回、サポートステーションの所長さんが同行してくださったのですが、以前の講義では「引っ張りあげる」「押し上げる」という目標を持って「地域若者サポーター制度」をはじめようとしているいるような印象を持っていました。
しかし、今回少し話する時間があり、「まず現状を広く知ってもらいたい」ということを大事にされていて、対策・対応よりも、まず受け入れることの大事さを軸に置かれているんだなと感じましたね。
ただ、行政が絡み、予算が絡むと「数字で表す実績」を求められるのが世の常ですので、いろいろ大変でしょうけどね。
今日、応対してくれた若者の話に戻ると、ちょっと会話した人の話で「やっぱり仕事に向いてないかな」という言葉があったそうです。
その言葉に対して、多くの方は「そんなことないよ」とか「大丈夫がんばって」という声をかけたり、思ったりしたそうです。
確かに、そうやって鼓舞してあげるのも大事でしょうけど、誰かがまず「そう、向いてないと思ってるんだ」と、その子のありのままの思いを受け止めてあげることも必要だろうなと思っています。
もしかしたら、そう返されて自分から「でもやってみる」という気持ちが生まれるかもしれませんし、周りが引っ張りあげるより、はるかに自分で決めた気持ちのほうが強いはずですしね。
あるいは、「向いてない」という思いから抜け出せないとしても、「私は大丈夫だと思うよ」というメッセージの方が寄り添っていけるんじゃないかと思いますね。
他の話題でも感じたんですが、何かに傷つき動けない人に、ただただ「それは気の持ちようだ」とか「でもがんばれ」というのだけでは、届かないと思うんですね。
「いま、そこにいる」そのままを尊重していくこと…あらためて感じています。
他にもいろいろかくネタはあるのですが、今回はこの辺で。
「ニート」という言葉で社会的に括られてしまっている「いろんな思いのパーソン」がその人の数だけ種類があるという現実。
家族という組織だけではどうしようもない、コミュニケーションが難しくなっている現実。
一方で、なにか道をつけることができないかと取り組みが行われていること。
知っていたけどもっと深く知れたことや、知らなかったことがあるということを、このサポーター研修で知りましたね。