今日、リーガロイヤルホテル広島において、
ブレストケア・ピンクリボンキャンペーン広島実行委員会主催、
乳癌患者が治療後を元気で心豊かに暮らす方策について話し合う「ランチョン・セミナー」があり、
私も参加してきました。
★ブレストケア・ピンクリボンキャンペーン in 広島★
【1部・・基調講演】11:05~12:45
「食べて癒す~愛情あふれるケアとは~」
講演 : 藤田保健衛生大医学部 外科・緩和医療学 東口 高志教授
【2部・・ランチ】12:45~14:00
「広島の野菜で彩る和のランチ」
お話 : リーガロイヤルホテル広島 総料理長 佐伯 斉氏
お話 : (社)広島県栄養士会 理事 藤井 葉子さん
今日のテーマ「乳がんとQOL(生活の質)」は、
乳癌と肺癌を患った私としては、非常に関心が高く、
一生懸命お話を聞かせていただきました。
≪QOL(Quality of Life)とは・・生活の質≫
東口先生は、医療には「二つの愛情」が必要だと言われます。
① 患者さんが日々感じておられることを大切に思い、その方を抱きしめるような愛情と、
② 実際にきちんとした医療を責任をもって提供する愛情です。
本当にそうだな・・と思いました。
東口先生の仕事の場である「緩和医療病棟」では、医師、看護師、薬剤師、管理衛生士など、
医療に携わるスタッフが担当領域の壁を取り払ったチーム医療によって、
全人的なケアが実践されているそうです。
従来のように、悪い部分はすぐ切除とか、放射線治療だとかいうのではなく、
人間の体が持っている治癒能力を利用して、患部を修復させるために、
代謝・栄養学に精通しているチームをつくって、治療を行っているのです。
「きちんと栄養をとれば体力が回復し、自ら食べることが生きる気力にもつながる。
QOL(生活の質)の改善や、延命につながると同時に、
医療の質も上げることができる」
そして、その実践のために、NST(Nutrition Support Team : 栄養サポートチーム)を日本で普及しようと、
東口先生は先頭にたって活動してこられました。
≪緩和医療の新しい試み・五本柱≫
1.緩和ケアNSTの設立
2.全人的医療の実践
3.癒し
4.コミュニティーの確立
5.腫瘍学の導入
≪NST(栄養サポートチーム)とは?≫
医師や看護師、管理栄養士たちが、職種の壁を越え、
患者が栄養をとる方法などを管理するチームのこと。
日本人の三分の一が癌で亡くなる時代。
しかし、直接、癌で亡くなる人は少ないそうです。
癌自体の進行で直接的に亡くなる前に、
多くの人は免疫が落ちることで、感染症に陥り、高熱に苦しんで亡くなるとのこと。
とても残念です・・・
感染症の予防のために、「栄養の確保」して免疫力を高めることが大事。
東口先生のご専門でもある「代謝・栄養」というものの重要性をもっと理解する時代がくれば、
感染症で亡くなる人はグッと減るそうです。
点滴(経静脈栄養)するよりも、
口や腸(経腸栄養)から投与した方が、早く体が回復することや、
切除された組織の修復も促進することがわかってきました。
緩和ケアでは、経口摂取が基本となっています。
栄養管理がきちんとできていれば、
「生きよう」「生きたい」という希望が生まれてきて、
「どうせ死ぬんだ、もう駄目だ」という虚脱状態に陥りません。
入院時には、寝たきりで床ずれが出来ていた患者さんや、
肺炎を起こしていた患者さんが
栄養を確保して、エネルギーを蓄えることによって、元気になっていかれると聞き驚きました。
そして、最後の最後までエネルギーを使い果たし、
すーっと、楽に、亡くなられるそうです。
エネルギーを全て使うことで、苦しむことなく、亡くなられるのです。
しっかり栄養を摂り、十分な治療をしてもらったことで、納得して逝かれるのでしょうね。
終末期を迎えた癌患者さんにとって、
栄養を確保することが「生きる気力」につながるように、
癌の治療を終えた私たちにとっても、栄養の確保は必須です。
それによって、免疫力を高め、再発や転移を予防できます。
現代では、男性は2人に一人が癌になり、
女性は3人に一人が癌になるそうです。
乳癌に限らず、どんな癌でも、どんな病気においても、
QOL(生活の質)を高めながら元気に暮らして生きるのが理想ですね。
東口先生のお話のあと、
参加者でランチをいただきました。
食べることの幸せ、生きていることの幸せ、
今、元気でいることの幸せ、
この幸せをずっと感じていたいと思いました。
癌が再発したり、転移することのないように、
これからも「栄養の確保」に努めたいと思います。