クリンの広場

たまっこくりんのおもいのたけ

蝉の鳴く小説・5(『源氏物語』箒木・感想)

2021-10-05 | 本と雑誌

 うつせみ(空蝉)・・それはセミのぬけがら。

「仏教的無常観」をも かんじさせる、

この生命の いぶつ(遺物)に、

衣を脱いだ女のイメージを 

重ねたのが、

むらさきしきぶ(紫式部)です

 
彼女の『源氏物語』・・

そこに、「空蝉」という名の、人妻が出て来ることを、

ご存知の方は 多いでしょう。

 

~復習~

 

 主人公・光源氏は、さかりのついた17歳

たまたま泊まった家で出会った人妻「空蝉」に

夜這いをかけ、

その貞操を うばいます。

 うつせみは美人じゃないけど、ものごしに風情があり

たしなみも そなえていたので 源氏は気に入り

(またあいたいな~)と、

気軽に手紙や、使いを送りますが

拒まれます

「すべての女は俺になびく

と 

信じていたのに、、



鼻っ柱を折られた源氏は

業を煮やして 

再び 夜ばいをかけたけど、、

 うつせみは間一髪気づいて寝所から

逃げてしまったのでした。

 

はおっていた衣を 一枚だけ残して、、



(※この衣がセミの抜けがらのごとき・うすものだったので、

彼女は「空蝉」と 呼ばれることになりました


思い出しましたでしょうか?

 うつせみは、きまぐれな源氏の心を

見抜き

(中級貴族の妻にすぎない自分が、遊ばれたのに本気になったら、みんなからバカにされちゃうな・・

と・・

本当は、

若く美しい貴公子に口説かれて 

うれしかったけど

二度目の一線は こえさせないのでした。

 拒否されたことで、かえって・うつせみを

忘れられなくなった源氏は、

数十年後、

尼になった彼女の、生活のめんどう(面倒)を こっそりみる・・

という

大人の親切で むくいます。

 源氏のかりそめの相手となって・忘れられた女たちは

たくさん・いたのに、

一度きりではあったけど、

一生 忘れえない存在になった・うつせみ。。



 去る時に、
本心のかけらともいうべき

衣を のこしていったの

よかったのかも・しれません。

 


そんな・テクニシャンな彼女は 

夫の死後、

「義理の息子」から 迫られたりしているから

(地味だけど、やはり・・男好きのする、何か美味しい魅力をもった女性

だったに ちがいない。。)

 

と・・

千年もの間

読者に もうそう(妄想)を 与えつづけてきました

 『源氏物語』54帖中いちばんのやり手だな

クリンたちが 考えている、とう(登)場人物です

 

 

【おすすめ度:言わずもがな

 

 

(※次回は、近松門左衛門の『蟬丸』のレビュー、いきます

 

 

 

コメント (16)
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