クリンの広場

たまっこくりんのおもいのたけ

蝉の鳴く小説・7(中山可穂『蝉丸』・感想)

2021-10-10 | 本と雑誌

前回、取り上げた

百人一首のせみまる(蟬丸)

 

びわ(琵琶)の名手であった彼から

秘曲を伝授された

と いうのが、

きぞく(平安貴族)の みなもとのひろまさ(源博雅)・・

 そんな今昔物語集』のエピソードを

ほんあん(翻案)し

今、大流行のBL小説に 

仕立てた

小説『蝉丸』を、今日は 取り上げます

(中山可穂『悲歌(エレジー)』より。)2009年の小説です


 小説に出てくる「蝉丸」は、

19さいのシンガー。

天上の声の持ち主で、女とみまごう美形男子

です。

(※美形男子 BLあるあるですね)

 彼は、有名音楽家を父に持ち、かなりズタズタな家庭で

成長したため

ゆいいつ、子どものころから・守ってくれた大人男性

「宮本博雅」を 

あいするようになりました

(※明らかに、上記の源博雅のもじりです・・ちなみに、博雅は蝉丸バンドの音楽プロデューサーをやってます

 ・・クリンたち、(ボーイズラブ)

って、

よくわかっていませんが・・

 

この作品に かんしては、

実にうまく男性が男性を愛する心理が描かれているな

と 

思いました。

 現実のBLは・・、
小説に描かれているような

「そこに向かってつきすすんでしまう、どうしようもない理由

なんて、

存在しないのかも しれない。。


もっと・・

本能や、

官能にもとづく

ラノベな世界なのかも しれません。。

 

 

この小説に出てくる「蝉丸の愛」は、

不幸な生い立ちをもつ人特有の

とぎすまされた・あい(愛)であり

その、

ギザギザで

「純度の高い愛」を ぶつけられた時

 相手はそれが、たとえ・同じ

社会的に 受け入れられない・ほん(奔)流で 

あったとしても・・

 

常しき(識)を ふりかざして

逃げをうつことなど、

ゆるされない

 

(と・・、

 

ミョ~に 読者にナットクさせてしまう、上手な心理描写攻めで丸め込んできますこの作者さん


 蝉丸(19歳)は言います。


「ぼくは、ぼくのことを百パーセント受け入れてくれる人としか、そういうことできない。」
「ぼくは、98パーセントじゃいやなんだ。それじゃ安心できないんだ。」
「百でないならゼロでいい。わずかでも欠けた愛なら欲しくない。そういう相手と出会えないなら、一生セックスなんかしなくてもいい」

と。

 100%のこだわりなど、

どこかに行ってしまった・大人たちからしてみれば、

(んあっ


な、けっぺき(潔癖)発言ですが、


 そんな、けっぺき性、ピュアさ、ひけめ、こじれ

タブー

くなん(苦難)

それでもつらぬく・いし(意思)

ドトウの如き、こっぱずかしい・セリフの数々・・

 

それら・王道の品目が

ふじょし(腐女子)の どうこう(瞳孔)をひらかせるポイントなのかもしれないな👀

 

なんて・・

 

ちょっと・べんきょうになりました~

 

 

【おすすめ度: 生臭さが少なく、BL初心者の方でも大丈夫でしょう🔰】

 



(次回「蝉の鳴く小説特集・8」は、角田光代の『八日目の蝉』です

 

 

 
コメント (13)
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