クリンの広場

たまっこくりんのおもいのたけ

蝉の鳴く小説・11(吉村昭『油蝉』感想)

2021-10-24 | 本と雑誌

「ま・さ・か 後味が悪い小説だとは思っていなかった

のに

うっかり・読んじゃった

吉村昭作品から、

ちょっと怖くなってしまった短ぺん(編)『油蝉』

を 

ご紹介します

 これは、吉村さんの私小説・10ぺん(編)を

あつめたうちの

ひとつで

主人公(吉村さん?)の従姉が ガンで亡くなった時の、

「お通夜~納骨まで」が 記されています。

 



セミは どこに出てくるか?
というと、

「空襲の夜に、油蝉の鳴き声が異常に聞こえていた」

と 話す、

いとこの回想話の中に 

出てきます。。

 



「従姉は油蝉の鳴き声を聞きながら、真っ赤に燃え盛る街を、赤ちゃんをおぶって逃げ惑ったけど、ふと見たら、赤ちゃんは息たえていた」

という・・

かなしくて、むざんな

回想の中に、

です。

(※亡くなる前に、病室で、このことが 語られます・・


 だれもが、一度以上は経けん(験)する、

親族の会葬」・・


ここにも、

まさに、そんな

「葬儀所風景」が 淡々と 描かれているのですが、

 さいごに 故人の骨をしんぞく(親族)が洗う

めずらしい「洗骨」シーンが出て来て、

(えっ)って なるところが 

ハイライト

 

 

それは、

ホネをキレイに洗ってから「骨壺」におさめる、

一部地方の 

習わしだそうですが、

"骨灰に濁った水の表面に浮かぶ、意外なほど多い脂の量に、吉村さんがびっくりして終わる、、"

 読者クリンは あとから、空襲の夜の油蝉のエピソード

ふと思い出す・・

 


人間の
× アブラゼミの・・

で、オチる 

短ぺん(編)でした。。

 

 

【おすすめ度: ・・吉村ファンなら1冊全部で☆4つくらい?】

 

 

次回は、金鶴泳『あぶら蟬』を、レビューします実質的に☆5つだった、小説です

 

 

コメント (16)
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